私たち、国際地域学科の3年生24名が赴いた島根県隠岐郡海士町は 人口減少、少子高齢化、財政難といった課題に対し、地域資源の活用や人的交流の様々な取り組みなど、独自の地域活性化の取り組みを行っており、その意味で近年大変注目されている自治体である。海士町は「ないものはない」というスローガンのもと、離島であることをハンディキャップにせずに強みに変えている。
海士町でSFSが実施されるのは、今回が初めてである。本研修では、現地に行く前に、まず地理・歴史、伝統文化、経済・産業、地域活性化など海士町の基礎的な特徴を調べ、理解するところから始まった。そして、海士町の方から地方活性化の取り組みの歩みに関する講義を受けた上で、グループに分かれそれぞれが調査課題を設定した。
海士町には、6月24日~29日まで6日間滞在し、調査課題に関連して、多くの地域の人々に聞き取りを行った。私のグループでは、生徒数減により廃校寸前だった島前高校が、現在は島内外から生徒が集まっていることに着目し、その理由を探ることを調査課題として設定した。仮説として、隠岐学習センターをはじめとした教育環境の整備、島前高校特有の地域課題を学べる地域共創科の設立が理由であると考えた。しかし、実際に同校の生徒の話から、生徒が挑戦できる環境があること、地域の方々が島外の生徒にもとても温かく接していること、海士町が豊かな自然をもっていることも理由であることに気づかされた。
聞き取りと並行して、様々な体験活動も行った。こうした活動を通じて、地域課題解決のヒントや海士町が人々を引き付ける魅力を理解することができた。たとえば、島の人々は自分の島に誇りを持っていること、また、生活で不便な面がないとはいえないものの、それ自体が海士町であり、海士町の良いところだという堂々とした雰囲気などである。
また本研修では、Student-led Filed Studyと銘打たれているように、現地での日程の調整や活動内容の決定など全てを学生主体で行うことが求められる。私はこの研修のリーダーとして、海士町の担当の方々と連絡をとり、日程や活動内容の調整を行った。初めてのことばかりで苦戦することもあったが、担当の先生や副リーダーの支えに助けられ、非常に充実した研修を形づくることができ、とても嬉しく、達成感に満たされた。一方で目配りが足らず、担当の方や地域の人々にご迷惑をかけてしまったこともあった。リーダーシップをとるために必要な力や地域に入るということはどういうことかを改めて学ぶことができたので、この経験を今後の自分の糧にしたいと思う。
本研修を通して、海士町の人々を引き付ける魅力は理解できたことはもちろん、フィールドワークをする上での心得、主体性やチームワーク力の向上という点においても深い学びを得ることができ、自己成長につながった。
国際学部国際地域学科 3年 高橋郁帆・岡本郁子教授