2024 年5月25日(土)〜26日(日)、6月8日(土)〜9日(日) の合計4日間で、空間表現研修を実施しました。本授業は、事前学習、事後学習、施設視察を通して複数の表現手法(スケッチ、図面、CAD)の基本技術を理解し、演習を通してその方法論、役割、課題について理解することを目的としています。実習では、旧猪股邸(吉田五十八設計)と江戸東京たてもの園を訪問しました。(科目担当教員:国際学部国際地域学科 牧野冬生)
<受講生コメント>
私たち2年生にとっては初めてのProject Study科目の授業で、建築に関する知識も全くなかったため最初は不安を感じていました。しかし、授業が進むにつれて段階的に学び、理解を深めていくことができました。授業の2日目には都内で公開されている住宅を訪問し、スケッチやお話を聞きながら見学しました。そして3日目の授業内でその見学に基づいた発表を行う機会がありました。「空間表現」と一言で言っても、建築、インテリア、空間づくり、まちづくり等、関わってくる分野は多岐にわたります。そのため、人によって異なる視点があり、それを共有することで自分の考えをより深めたり、新しい発見があったりしました。後半に行われたCADを用いた演習では、パソコン操作が得意でない私たちでも先生の丁寧な解説により、基本的な操作方法やCADの概要を理解することができました。(2年 大久保さん、福留さん、安西さん)
空間表現研修では、空間表現の手法、とりわけ建築図面を中心とした専門的な実習をした。4日間と限られた研修期間ではあるが、建築図面の作成やデッサンのみに留まらず、著名な建築物を実際に訪れる課外演習も実施される。課外演習は研修の2日目に行われ「猪俣庭園」での解説付き建築ツアーへの参加、さらに「江戸東京たてもの園」での見学も行った。見学する中で、建築物について各自さまざまな視点からの観察・調査をし、後日のプレゼン発表へと繋げた。この研修の中心となった建築図面の作成では、AutoCADの操作方法から学び、簡易な平面図や立面図の作成に取り組んだ。内容としては建築学の領域にあたるものの、イントロ部分を初歩の初歩から学ぶ。そのため建築分野に僅かでも関心があるのならば、その興味を一歩広げる足がかりとして面白い経験になりうると思う。教授曰く、海外において建築学は、理系分野ではなく“芸術分野”であるそうだ。(3年 関戸さん)
空間表現研修は、”空間”を表現する方法のうち①デッサンと②図面を用いて学生が独自の考察を行い、建造物の魅力を見出すことを目的としている。課外演習では、猪俣邸と江戸東京たてもの園を訪れた。そこで、各自事前に立てたテーマで空間の観察をし、デッサンを行った。デッサンを通して、日頃、私たちは空間というものを見ているようで見ていないということに気がついた。例えば、扉の位置や柱の長さ、形、色、柄などを“自分の目で見て描く”ことで細部の特性にも注意が払われる。建築家のこだわりや造りの魅力を感じる楽しさを知ることができた。実際に、各学生がデッサンしたものは一つとして同じものはなく、各々が魅力を感じた空間の切り取りやディテールなどが描かれていた。デッサンという表現方法は、完成した空間を考察、理解するためにとても重要であると考えられる。CADのソフトを使用した演習では、『住吉の長屋』の図面を制作した。図面を書くことが初めてだった私たちにとって、製図は簡単な作業ではなかったが、寸法を正確に読み取って図面に線を引くという製図の仕組みを理解することができた。図面は、空間のスケールやフォルムを理解する上で最も重要な役割を担っている。現に、設計者が寸法や形を正確に施工者へ伝えるツールとして建築現場でも使用されている。しかし、平面で表現された空間を立体で捉えるには、技術が必要である。したがって、実際の空間の構えや造りを表現した模型などを活用する場面もあるだろうと考えた。(4年 杉本さん)