東洋大学国際学部・金子ゼミでは、2026年8月2日から4日にかけて、静岡県浜松市にある南米系外国人学校「ムンド・デ・アレグリア」にて夏合宿を行いました。3年生10名、4年生8名の計18名が参加し、教育活動や異文化交流を通じて、日本で学ぶ外国ルーツの子どもたちの教育について実践的に学びました。金子ゼミでは夏合宿を実施するにあたり、まず2年の秋ゼミでJICA横浜の海外移住資料館を訪問し、ムンド校で学ぶ子どもたちの先祖にあたる日本人の海外移住の歴史や日系人の就労と生活状況、日系人のファミリーヒストリーなどについて学んでいます。
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その後、3年春学期には4年生と合同で、日系移民の教育やムンド校創設者の手記、ダブルリミテッドに関する文献を読み、学校現場で何を明らかにしたいか、どんな観察を行いたいかなど、関心を絞りました。また、ポルトガル語やスペイン語の事前学修を行い、クラスになじめるよう準備を重ね、合宿当日を迎えました。
母語授業体験
中学2年生の数学の授業に参加した経験について述べたいと思います。授業ではプリントが配られ、3つのグループに分かれて、生徒たち自身で問題を解いていきます。どのグループでも生徒たちは積極的に問題に取り組んでおり、意欲的に学ぶ姿が印象に残りました。
一方で、問題文はすべてポルトガル語で、数学の授業とはいえ、東洋大生は問題の内容を理解することに苦戦しました。そんな私たちのために、ムンドの生徒が裏紙に絵やグラフを描いたり、ジェスチャーを交えたりしながら、一問ずつ丁寧に教えてくれました。
また、グループ内で問題を解けずに困っている生徒がいると、理解している生徒が自然に教える姿も見られました。そこには、先生から一方的に教わるだけではない、生徒同士が支え合いながら学ぶ姿がありました。
中学2年生・数学の授業体験
スポーツ交流
ムンド校の生徒および浜松市のバスケットボールクラブチームONEの中学生たちとともに、バレーボール交流を実施しました。この活動は国の休眠預金活用事業の一環で、地域の課題解決や人材育成を目的としたものです。東洋大学がアイスブレイクを担当しましたが、バナナ鬼を行ったことで緊張がほぐれ、協力し合ったり、仲良くなることができたと感想を言って頂きました。
ムンド、中学生、東洋の混成チームを作り、バスケットボールで交流した後、バレーボールのトーナメント戦を行いました。言葉の壁がある中でも、プレー中のハイタッチや励まし合い、またやさしい日本語を使ったり大きな声を意識するなど工夫を行うことで、コミュニケーションが取れることを学びました。年齢や言語が違っても通じ合うことができるのだと、交流会を通じて気づくことができました。
バレーボール交流
夏祭り
幼稚園生の子どもたちと一緒に色探しゲームや折り紙を行った経験について記します。最初の色探しゲームでは、ルールを説明しようとしても、なかなか子どもたちの注目を集めることができず、活動を始めるまでの難しさを感じました。しかし、いざゲームが始まると、子どもたちはすぐにルールを理解し、夢中になって色探しを始めました。
後半では折り紙で紙飛行機を作りました。私たちが担当した4~5歳の子どもたちは、折り紙に慣れている子も多く、みんな上手に紙飛行機を完成させることができました。一緒に作った紙飛行機を飛ばしたり、絵を描いたりしながら、少しずつ距離が縮まっていくことを感じました。
活動の最後には、子どもたちからハグやハイタッチをしてもらったり、描いた絵のプレゼントをもらいました。短い時間ではありましたが、子どもたちとの交流を楽しみ、充実した時間を過ごすことができました。
夏祭り(縁日)
夏祭り(幼稚園)
校長講義
ムンド校創設者の松本雅美校長先生の講義では、同校のこれまでの歩みや、学校が大切にしている想いについてお話を伺いました。開校当初、金銭面で多くの苦労があったことは事前学修の文献調査で学んでいましたが、その課題が現在も続いていることを知りました。学校を運営していく中では、教育そのものだけでなく、さまざまな課題と向き合い続ける必要があることを改めて感じました。
また、開校当初は「子どもたちに学ぶ楽しさを知ってほしい」という思いから始まった学校づくりが、現在では「ムンド式統合を社会に示していきたい」という目標へと発展していることも印象的でした。現場で多文化共生に取り組み、さまざまな困難や課題に向き合ってきた経験が、学校教育だけにとどまらず、社会全体に多文化共生のあり方を発信していくという考えにつながっているのだと感じました。
校長先生自身は、移民の受け入れには反対の立場であることがとても衝撃的でした。今後の社会で避けては通れない多文化共生についての話は、今の若者は一度は聞くべき貴重な話なのではないかと思います。
子どもたちへの教育を大切にしながら、その先にある社会のあり方まで見据えて活動する校長先生の姿から、ムンド校が果たしている役割について考える機会となりました。
校長講義
(執筆者:国際学部国際地域学科 平田茉那葉(4年)、古谷海晴(3年)、金子聖子准教授)