2025年度国際地域学研修(能登研修)活動報告
2025年度国際地域学研修(能登研修)活動報告
国際地域学科の学生たちは、2016年から石川県志賀町の鵜野屋地区・地保地区において秋季祭礼の実行支援をしてきました。2024年の能登半島地震では、この地区でも地滑りや家の崩壊など甚大な被害を受け、さらなる崩壊のおそれのために集落住民の方たちは半年以上にわたって避難指示下におかれました。そのなかで、昨年も集落の方たちと学生たちが一緒になって小規模ながら祭りを実施したところですが、今年は祭りの本格的な復活を目指しました。能登研修では、お祭りの実施手伝いを通して能登半島の集落の伝統文化を理解し継承することに加え、フィールド調査を実施して震災後の周辺集落の生活とコミュニティの変化を把握すること、裏山の旧道を踏査して被災した里山の保全のための情報を得ることを主な目的として活動を実施しました。鵜野屋地区・地保地区がある稗造第二地区では両地区だけでなく、全集落(在所)を訪問し、区長へのインタビューを行い、全戸の観察調査を実施しました。
以下、学生からの活動報告です。
2025年9月4日から7日までの3泊4日、石川県志賀町稗造地区にて国際地域学研修(能登ゼミ)を実施しました。今年度は藪長千乃先生、村田由美恵先生、髙橋一男先生の指導のもと、国際地域学科の49名の学生が参加し、震災後の地域復興支援と伝統文化の継承を目的として、秋祭り(秋季祭礼)の手伝い、集落調査、里山の保全活動、地元商工会イベント準備、太鼓を通じた子どもたちとの交流などの、多様な活動を行いました。
初日(9月4日)
羽田空港から能登空港へ移動後、学生たちは小グループに分かれて稗造第二地区の各集落を担当し、調査活動を開始しました。また、交替で里山の保全活動にも入りました。保全活動では、能登定住交流機構の指導とガイドのもとで、裏山の被災状況を確認し、下枝払いなど保全活動を行いました。夕方には地元商工会が取り組んでいる復興祈念イルミネーションイベント「光の絆 増穂浦のきらめき」の設営準備作業に協力し、イルミネーションの枠の作成や電球の準備をしました。そのあとのバーベキューで緊張もほぐれて一気に学生同士の気持ちが盛り上がりました。
2日目(9月5日)
初日から継続して、各班に分かれて集落への調査などを実施し、震災後の生活の変化や課題について深く聞き取ることができました。また、仮設住宅に入居されている方にも昨年に引き続きインタビューを実施することができました。夜には富来神幸太鼓子どもグループ「煌」の練習に参加し、地域の子どもたちと太鼓を通じて交流を深めました。学生は子どもたちから太鼓の打ち方を教わりながら、地域の伝統文化に触れる貴重な体験をしました。
3日目(9月6日)
この日は秋季祭礼の日でした。朝早く現地に集合して祭りの準備をし、昼からは神輿を担ぎ、地域住民とともに祭りを盛り上げました。最後はお祭り広場で祝膳をかこみながら、地域住民と食事や会話を通して、交流を楽しみました。また、金沢大学川澄ゼミからも本学科卒業生の川澄厚志先生と学生さんたち10人が参加し、祭りの活気も一層高まりました。
最終日(9月7日)
祭りの後片付けや宿舎の清掃を行った後、各班で調査のまとめや補足調査など最後の調査活動を実施しました。午後には一部の学生が地元壮年会の稲刈りとはざ干しのお手伝いもさせてもらいました。その後、金沢駅へ移動し、帰京しました。短い期間ながらも、学生たちは地域の方々と深く関わり、震災後の現状や課題、そして未来への希望について多くの学びを得ることができました。
研修を通じて
今年度の能登ゼミでは、昨年に引き続き地域の祭りへの参加や子どもたちとの太鼓交流を行いながら、新たに山の手入れや集落調査など活動の幅を広げることができました。参加学生が増えて規模が大きくなりましたが、BBQやグループワークを通じて学生同士の交流も深まりました。実際に現地で活動する中で、私たち学生は、住民の方々との対話や作業を通じて多くの気づきを得ることができました。地域の方々から「学生の明るさに元気をもらった」と言っていただけたことは、私たちにとって何よりの励みであり、活動の意義を実感する瞬間でもありました。
最後に、研修の実施にあたりご協力いただいた志賀町稗造第二地区、鵜野屋地区、地保地区の皆様、そして滞在施設を無償で提供してくださった志賀町の皆様に心より感謝申し上げます。
東洋大学国際学部国際地域学科3年 齊藤あずさ、太田聖士、得能あかね
担当教員 藪長千乃