フィールド調査実習(SFS韓国)
フィールド調査実習(SFS韓国)
2025年度のSFS韓国(担当教員:田中美彩都)は、日韓を軸として、他者に向き合い、自らを知ることをテーマに実施されました。秋学期に行われた事前研修では、日韓の歴史や文化について延世大学校未来キャンパス(江原特別自治道原州市)の学生の皆さんとオンラインで議論を重ね、知識を深めました。この議論をふまえて各グループが宗教・戦争・スポーツといったテーマを選定して調査計画を立て、現地での研修に臨みました。
2月初めからおよそ1週間のあいだ、学生たちはソウルと原州を行き来しながらフィールドワークに励みました。現地の案内板のさりげない言葉遣いや人々の振る舞いを通して、日韓の価値観の違いや共通点を肌身で感じ取りました。事前に知識を蓄えておくことで、より細やかな違いに気づくことができ、事前に調査し準備することと、実際に自分の足で訪れ体験することの重要性を、それぞれが実感したようです。
学生たちの成果発表では、韓国の学生から「なぜそれを調べようと思ったのか」「なぜ面白いと感じたのか」という質問が相次ぎました。韓国の学生にとっても、自らの「当たり前」を問い直す良い機会となったようです。フィールドワーク最終日となる11日目には、日韓の学生全員で江陵を踏査し、朝鮮を代表する儒学者李珥とその母申師任堂がくらした烏竹軒や朝鮮王朝の儒教教育を担った郷校などを訪れ、韓国の儒教文化と歴史への理解を深めました。冬の江陵の海の美しさも印象深いひとときとなったようです。今年度のSFSでは事前研修から現地研修に至るまで、延世大の学生の皆さんが積極的に参加してくれました。日韓の学生間には深い絆が生まれたようで、担当教員としてこれほど嬉しいことはありませんでした。
最後に、参加した学生の感想を一部抜粋してご紹介します。
今回の研修を振り返ると、多くの学びと同時に自分自身の変化を感じています。私たちのグループは日韓関係の中でも比較的デリケートなテーマを扱っていたため、韓国の学生と一緒に調査し、意見を交わすことで、対立してしまう可能性があるのではないかと不安を感じていました。しかし実際には、韓国の学生と日韓について率直に話し合う時間は非常に有意義で貴重なものでした。互いの考えを尊重しながら意見を共有することができ、対立ではなく対話が生まれていたと感じています。この経験を通して、意見の違いを恐れるのではなく、理解を深める機会として向き合う姿勢の大切さを学びました。今後も、多様な立場を意識しながら物事を考え続けていきたいと思います。(国際地域学科2年 飯田智也)
韓国に興味を持っていたとはいえ、実際に12日間現地で生活してみると、旅行では感じることのできない日常の空気を知ることが出来た。韓国人学生との交流はもちろん、先生、町で出会った様々な人々との何気ないやり取りの中からも、多くの気づき得ることが出来た。インターネットや勉強から得られる情報ではなく、現地の人々の言葉や表情、価値観に直接触れることで、韓国という国もより深く理解することが出来たと感じる。
さらに印象的だったのは、言語が十分に通じなくても、関係を築くことが出来るということである。お互いの言語が完璧に話せるわけでもない中でも、相手の言葉を理解しようとする姿勢や、自分の気持ちを伝えようとする工夫や努力があれば、距離を縮めることが出来た。身振り手振りや英語を使いながらも楽しく話し合えた時間は、言語以上に大切なものを教えてくれた。
今回の研修を通じて強く感じたのは、歩み寄る姿勢の重要性である。歴史の理解においても、人間関係においても、自分の立場だけで物事を見るのではなく、相手の背景や考えを知ろうとする姿勢があってこそ、本当の理解や信頼関係が生まれると感じた。この経験を今後の学習や人との関わりの中でも生かしていきたいと考えた。(国際地域学科3年 杉本護)
この研修に参加するまでは、韓国語を全く勉強したことがなくハングルすらも読めない状況だったため、不安で直前は正直行きたくないという気持ちもあったが、延世大学の学生や先生方に非常に親切に親しみを持って接していただいたため、いつの間にか居心地の良さすらも感じていた。また、延世大生と話すときに、翻訳機などを使用してできるだけ自分の話そうとしていることが伝わるように心がけたが、やはり翻訳機では超えられない言語の壁があるように感じた。また、分からない中でも学生がその場で覚えた日本語を使って話そうとしてくれたことがとても印象に残っている。よりリアルに韓国の友人たちが伝えようとしていることを理解するために、韓国語を勉強したいと考えるようになったのはこの研修を通じて私自身の最も大きな心境の変化である。本研修を通じて、韓国における戦争の記憶継承に関することや、文化の違いなど様々なことを学んだが、違う国同士、違う民族同士、違う宗教を信じる者同士、様々な立場がある中でそれでも歩み寄ろうとすることが何よりも大切であり、国家間の隔たりを軽減するための第一歩になるのではないかと感じた。今後の目標としては、韓国でできた友人たちと韓国語で会話ができるように勉強に励むこと、そしてまだ自分が訪れたことのない国に行って、日本や韓国とはまた違った文化や、そのルーツを学んでいきたい。(国際地域学科3年 尾上歩夢)
(文責:田中美彩都)