電子,イオン,原子などのミクロな粒子は,粒子の性質と波の性質を併せ持っています。そのような粒子を総称して量子(Quantum)と呼びます.量子はその二面性故にとても興味深い振舞いをするので,新たな医用材料,分子標的薬,診断・治療法の開発に期待が高まっています。 現代物理学の発展に伴い、電子以外の様々な量子が次々と発見され、それらを科学技術に応用することが可能になってきています。
当研究室では、量子ビーム、放射線、プラズマといった様々な量子群を医療に応用する研究を行っています。これらはいずれも物質の表面や内部に入り込み、その状態を変える能力を持っています。例えば、電子ビームやイオンビームを高分子材料に照射すると,細胞や組織への接着性を高めることができるので、人工骨や人工臓器の部品として安全に使用することが可能になります。また、プラズマ照射では、医療用具を室温で滅菌したり,がん細胞を選択的に死滅させることが可能です。その他、高エネルギーのイオンビームで人体の奥深くにある腫瘍を狙い撃ちする重粒子線治療や、薬剤を分子サイズのカプセルに包んで病巣へ届けるドラッグデリバリーシステムなど、人への負担が少ない新たな治療法の開発を目標とした基礎研究も行っています。
当研究室では、失敗を恐れず新しいことに果敢に挑戦する人を歓迎します。研究のバックグラウンドは物理学ですが、物理が得意でない人も安心して扉を叩いて下さい。基礎から丁寧に指導します。
実験系の研究室ですが、基礎学習にも力を入れています。3年次秋学期の仮配属期間中に放射線工学の基礎を教科書輪読と実験により学習します。4年生では、週1コマの教科書輪読で放射線物理学と放射線生物学を学習します。その他、週1コマの論文輪読と週2コマ(連続授業)のゼミでテーマに対する調査や議論を深めることにより、各人が主体的に研究に打ち込める体制を整えています。装置の設計・開発や様々な実験を通じて、研究者・技術者にとって不可欠な論理的思考能力や問題解決能力を育成します。
学内共同研究の他、学外研究所(日本原子力研究開発機構、理化学研究所、核融合科学研究所等)との共同研究も行っており、希望者は学外の研究にも参加することができます。