【Plenary Session】9:40-10:20 大講義室
生成AIエージェント時代の英会話ロールプレイ教材設計 ―vibe codingによる教師の実装可能性を探る―
山田優(立教大学 教授)
本発表では、生成AIを活用した英会話ロールプレイ教材の設計と実装を報告する。背景には、自己調整学習やプロンプト設計の理論を学習者に直接求めるだけでは負荷が高いという課題がある。教材は、キーフレーズ練習、モデル会話、AIとの自由対話を段階化し、学習者が過度に考え込まず発話を継続できる構造を持つ。さらに、生成AIエージェントやvibe codingを用い、教師自身が対話制御、フィードバック、振り返り、会話ログ分析を組み込んだ学習環境を構築できる可能性を検討する。
キーワード:生成AIエージェント、英会話ロールプレイ、vibe coding
【Parallel Session】10:30-11:10 大講義室
生成AIによって読解活動はどう変わるか―日本語学習者のためのチャット型アセスメントの可能性―
松井佑樹(早稲田大学 大学院生)
発表者は、日本語教育において自由記述の回答を生成AIが言語を問わず判定し、段階的なヒントを提供しながら語彙力の評価および学習支援をするダイナミック・アセスメントの研究に取り組んできた。本発表では、その対象を語彙および文章理解へと広げたチャット型読解アセスメントシステムを、デモや実例を交えて紹介し、学習者52名の利用調査から見えてきたことを報告する。選択式テストへの回答だけでは見えない学習者の文章理解過程を、自由記述と自己評価からどう捉え、どう学習支援につなげるか、会場の皆さまと考えたい。
キーワード:多言語回答、自由記述、ダイナミック・アセスメント
【Workshop】前半10:30-11:10, 後半11:20-12:00 教室
初修外国語学習・複言語学習におけるAI活用―「学び」を「形」にするー
大前智美(大阪大学 准教授 )・岩居弘樹(藍野大学 特任教授 )
発表者らは,初修ドイツ語学習や複言語学習といったいわゆる初級の外国語学習の段階で,生成AIを活用した授業を行なっている。生成AIの活用により,外国語の授業を「説明→暗記→テスト」だけにせず,学習者の興味・関心・経験をもとに「何を,どの順番で,どう経験し,考え,使うか」という学習設計が実現できると考えている。
生成AIをどのように活用するか,どう楽しむか,またAIで作成したものをどのように加工するかといった実用例を参加者の皆さんと共有する。
キーワード:初修外国語、複言語学習、学び方の学び
【Parallel Session】11:20-12:00 大講義室
フランス語学習における生成AIの受容と活用―日本人大学生の動機づけと有能感に着目した探索的調査―
杉山香織 (西南学院大学 教授)
生成AIの普及から一定の時間が経過し、外国語学習におけるその利用は、新奇な技術の試用という段階から、日常的な学習手段の一つとして定着する段階へ移行しつつある。Sugiyama(forthcoming)は、生成AIおよび翻訳AIを活用したフランス語教材を用いる日本人大学生を対象として、AIに対する認識、フランス語学習の動機づけおよび有能感に関わる複数の心理的次元と学習者プロフィールを探索的に示した。しかし、学習者が生成AIの使用に慣れ、その機能や限界について一定の理解を持つようになった状
況において、AIをどのように受容・活用しているのか、また、その認識が動機づけや有能感とどのように関連しているのかについては、あらためて検討する必要がある。
本研究は、生成AIの利用が定着しつつある時期にフランス語を学習する日本人大学生を対象として、生成AIの利用状況と、それに対する学習者の認識を探索的に明らかにすることを目的とする。生成AIを活用したフランス語教材を使用する授業の受講者を対象に質問紙調査を実施し、生成AIの使用経験、使用頻度、使用目的、知覚された有用性、利用時の感情、フランス語学習の動機づけおよび有能感について検討する。また、自由記述を通して、生成AIを利用する利点、困難、懸念に加え、学習者が生成AIとの適切な距離をどのように捉えているのかについても分析する。
記述統計および項目・尺度間の関連に関する探索的分析を中心とし、自由記述の質的分析を組み合わせる。Sugiyama(forthcoming)の知見も参照しながら、生成AIの新奇性が相対的に低下した状況における学習者の受容と活用の特徴を明らかにし、生成AIを一時的な補助ツールではなく、継続的な学習資源として位置づける際の教育的課題について考察する。
キーワード:自己決定理論、AI受容、学習動機、情意的反応
【Plenatry session】13:00-13:40 大講義室
AIは作文を採点するのか、思考を支援するのか―jWriterが照らす「赤ペン」の向こう側ー
李在鎬(早稲田大学 教授)
本講演では学習者作文評価システム「jWriter」(https://jreadability.net/jwriter/)におけるAIフィードバック機能を事例に、作文教育におけるAIの利用価値と課題を考える。まず、日本語教育における自動採点研究の展開を概観し、「jWriter」の位置づけを示す。次に、学習者の利用ログを定量的に分析した結果を紹介し、AIフィードバックが文章の改善点を具体化し、学習者の「思考支援」として機能しうることを論じる。最後に、AIによる評価と人間教師の指導をどう接続するかという観点から、今後の展望を述べる。
キーワード:自動採点技術、AIフィードバック、作文教育
【Parallel Session】13:50-14:30 大講義室
初修外国語(フランス語)における学習支援教材の開発 ―Web教材・デジタル教科書・AI活用型音読教材―
有富 智世(常葉大学 教授)・喜久川 功(常葉大学 教授)
これまで科学研究費基盤(C)の研究課題を進めながら「ポートフォリオ付きWeb教材」や「デジタル教科書」の開発を進めてきた。学習者と授業者の双方にとって、独自の学び方や学ばせ方が可能となる「学習支援教材」を目指した。そして、2026年4月、紙媒体の「教科書」改訂版を制作し、デジタル教科書とWeb教材の三位一体で使用できる学習環境を提供するに至った。現在、本環境に組み込む「AI活用型音読教材」を探究している。これまでの開発事例と個別最適化が図られる新たな教材の展望について呈したい。
キーワード:初修外国語教育、学習支援教材、AI活用型音読教材
【Parallel Session】13:50-14:30 教室
「AIに支配されない教育」とは何か-1―AIライティングと人間オーサーシップー
松岡弥生子(University of the People Instructor & Faculty Evaluator)
ライティングは、長く、大学教育の根幹を担ってきた重要な要素であるが、生成AIの影響を最も受けやすい分野でもある。本発表では、大学の英語L2ライティングにおけるAIツールの活用を、学習プロセス、提出課題、そして教師による評価という3つの側面から解析する。これにより、既にAIありきの現状となりつつある大学英語教育の未来を念頭に置き、「人間が書くということ」の意味を再考する。
キーワード:生成AI、ヒューマン・オーサーシップ、高等教育におけるライティング
【Parallel Session】14:40-15:10教室
AIに支配されない教育」とは何か-2 ―エージェント型AIがいる語学授業―
杉山滉平(立命館大学 研究員)
生成AIは、単なる文章作成支援ツールから、与えられた目的に応じて自律的に複数の作業を行う存在へと進化しつつある。教師がAIで課題を作り、学生がAIで課題をこなし、教師がAIで採点する時代も遠くないだろう。そのとき、私たちは何をもって「学んだ」と判断するのだろうか。本発表では、エージェント型AIを活用した新たな語学学習支援の構想とその可能性を紹介するとともに、学習と評価の双方にAIが介在する未来を見据え、「AIに支配されない教育」とは何かを参加者とともに考えたい。
キーワード:生成AI、教育評価、主体性
【Parallel Session】14:40-15:10 大講義室
AIとVRで「中国語を学ぶ」から「文化を体験しながら伝える」へ―学習者主体のマルチモーダル・コミュニケーションの設計―
杉江聡子(北海学園大学 教授)
生成AIの普及により、外国語教育の目的は、知識・技能の習得と運用だけでなく、学習者がAIを活用しながら情報を調べ、判断し、価値ある知識を形成し、発信する学習経験のデザインへとシフトしている。本発表では、学習者の関心に基づく中華文化の調べ学習、生成AI支援の中国語ガイド作文、VR空間構築とバーチャルツアー発表で構成した初 級中国語のPBLについて報告する。本実践を通じて、AI時代の初修外国語教育におけるマルチモーダル・コミュニケーションの可能性と、学習者の主体的な意思決定を支援する教授設計について探究する。
キーワード:マルチモーダル・コミュニケーション、VR、プロジェクト型学習(PBL)
【Parallel Session】15:20-15:50 大講義室
メタバースにおけるAIアバターを活用した会話練習―課外学習環境の構築と授業内外での運用実践―
渡邉ゆきこ(大阪大学 招へい教員・沖縄大学 名誉教授)・小渡悟(沖縄国際大学 准教授 )
外国語習得には継続的な学習機会が必要であるが、通常授業のみでは学習時間が不足し、課外学習の充実が求められる。発音や文法学習ではICT活用が進んできた一方、会話練習は相互作用を必要とするため課外実施が難しかった。そこで筆者らは、生成AIをメタバース上のアバターと連携させ、1年間にわたり学習者が随時会話練習できる環境を構築し、運用してきた。本発表では、その実装方法と授業内外での運用実践について報告する。なお、学習者の利用状況および学習効果の詳細については、後続の関連発表において報告する。
キーワード:AIアバター、メタバース、会話練習
【Parallel Session】15:50-16:20 大講義室
メタバースにおけるAIアバターを活用した会話練習 ―利用実態と学習者評価に基づく効果分析―
小渡悟(沖縄国際大学 准教授)・渡邉ゆきこ(大阪大学 招へい教員・沖縄大学 名誉教授)
本発表では、先行発表で報告されるメタバース上のVR・AIアバターを用いた中国語会話練習について、ARCS動機づけモデルに基づく学習者評価と会話ログにより教育的効果を検討する。分析では、VR・AIアバターを活用する学年の異なる中国語講義と、通常講義形式の中国語講義を対象とし、授業形態と学年の違いが動機づけ、課外利用、発話行動にどう関わるかを比較する。発表では分析結果に基づき、教育的可能性と課題を考察する。
キーワード:AIアバター、メタバース、学習者評価
【Parallel Session】15:20-16:20 教室
Native teacher’s blues ―Foreign language education in the Age of AI―
Jean Francois GRAZIANI (Kyoto University, Associate Professor)
With the emergence of interactive generative AI, the role of native teachers in foreign language education in Japan may soon become a serious issue, considering that the country has long relied on direct contact with native speakers to compensate for a lack of oral practice. Now, AI can play this part and replace native teachers, at least to some extent. This raises the question of whether native teachers have lost their purpose entirely, or whether it is still possible for them to adapt to this paradigm shift. (英語による発表)
Keywords: Native teacher, Foreign language, AI
【日本語訳】ネイティブ講師の悩み ―AI時代の外国語教育― グラヂィアニ ジャンフランソワ(京都大学 准教授)
対話型生成AIの登場により、日本では長らく口頭練習の不足を補うためにネイティブスピーカーとの直接的な接触に依存してきたことを考えると、外国語教育におけるネイティブ教師の役割がまもなく深刻な問題となる可能性がある。現在、AIがこの役割を担い、少なくともある程度はネイティブ講師に取って代わる可能性がある。これにより、ネイティブ講師の存在意義は完全に失われたのか、それとも彼らがこのパラダイムシフトに適応することは依然として可能なのかという疑問が生じている。 (英語による発表)
キーワード:ネイティブ講師、外国語、AI
【Parallel Session】15:50-16:20 教室
Generative AI and General Education English Teachers
Toshiko ODA(Tokyo Keizai Unviersity, Professor)
Although there is much talk of a “paradigm shift” driven by generative AI, only a limited number of English teachers have adopted teaching methods that involve students using generative AI. Such a shift in English education will not occur unless many more teachers embrace this approach. This presentation discusses why some teachers of general English courses, despite their interest, have not yet incorporated generative AI into their teaching due to practical and institutional constraints. It also presents simple and versatile examples of generative AI use that are likely to be accepted by those teachers. (英語による発表)
Keywords: general English courses, simple activities
【日本語訳】生成AIをめぐる「普通の大学英語教員」の現在位置 小田登志子(東京経済大学 教授)
生成AIによる「パラダイムシフト」が叫ばれつつも、学生に生成AIを使用させる教育方法を取り入れている英語教員はまだ少数にとどまっている。多くの教員が賛同しない限り英語教育の「パラダイムシフト」は起きない。本発表では、一般教養英語を担当する「普通の英語教員」の中には、様々な制約により、関心はあるものの生成AIの利用に踏み切れない教員がいることを紹介する。そして、幅広い教員に受け入れられやすい簡単で汎用性のある生成AIの利用例を挙げる。(英語による発表)
キーワード:一般教養英語、簡単な生成AI利用法
【Plenatry session】16:30-17:10 大講義室
対話型生成AIによる外国語教育研究のパラダイムシフトー3つの罠からの脱出ー
大木充(京都大学 名誉教授)
対話型生成AIが18世紀後半から始まった産業革命に相当するような影響を社会全体に与えている。外国語教育、研究も例外ではなく、パラダイムシフトを迫られている。AIの台頭により、教育・学習における時間的限界は打破された。しかし、既存の教育、研究の多くは、依然として時間的制約が存在していた「AI以前の環境」を前提にしている。つまり「タイパの罠」に陥っている。さらに、CEFRで否定されている日本の外国語教育の「4技能信仰」、「ネイティブ信仰」からのAIによる脱出も考える。AI時代に優先して実施するべき教育、研究とは?
キーワード:研究のパラダイムシフト、時間的制約、タイパの罠