いじめは、生徒の心身の成長や人格の形成に重大な影響を与えるとともに、将来にわたって、いじめを受けた生徒を苦しめるばかりか、人間の尊厳を侵害し、生命又は身体に重大な危険を生じさせるおそれのある絶対に許されない行為であるとの認識を強くもち、平成24年度に本校にて発生した重大なる出来事を教訓とし、その再発を断じて許さないとの強い決意を職員一人一人がそれぞれの心に深く自覚して取り組まなければならない。
そのためには、常に、保護者や地域住民、関係機関等との連携を図りつつ、学校全体で組織的にいじめの防止及び早期発見に努めるとともに、生徒がいじめを受けていると思われるときは、迅速かつ適切に対処し、さらにその再発防止に努める。
ア いじめの防止等に組織的に対応するために、学校長が任命した構成員からなる、「学校いじめ防止
対策委員会」を設置する。
イ 学校いじめ防止対策委員会の構成員は次の通りとする。
企画委員会(校長・教頭・教務主任・生徒指導主任・学年主任・養護教諭)場合によって、
人権主任・特別支援教育コーディネーター・SC・関係職員が加わる。
ウ 学校いじめ防止対策委員会は次のような役割を担う。
(ア)学校基本方針が、学校の実情に即してきちんと機能しているかを点検し、必要に応じて
見直すというPDCAサイクルの検証の中核となる役割
(イ)いじめの相談・通報の窓口としての役割
(ウ)いじめの疑いに関する情報や生徒の問題行動等に係る情報の収集と記録、共有を行う役割
(エ)いじめの疑いに係る情報があったとき、緊急に会議を開いて、いじめの情報の迅速な共有、
関係のある生徒への事実関係の聴取、指導や支援の体制・対応方針の決定と保護者との連携
といった対応を組織的に実施するための中核としての役割等
ア 道徳教育及び体験活動等の充実
日常生活における言葉づかいや行動を見直させ、ささいな事からいじめにつながるという認識を
持たせていく。また、コミュニケーションスキルや思いやりを育てる取り組みを通して、学んだ事
を実生活で生かせる生徒を育てる。道徳教材「希望へのかけはし」の「今しかない」などを用い
て、いじめは絶対に許さないという強い心や、一人ひとりが勇気を出して正義の実現に努める姿勢
を育て、人を大切にする気持ちを育成する。特に、本事案を教訓化し、道徳の授業で取り扱うこと
で、いじめ・自殺防止について主体的に考えさせ、「命」を大切にする情操を培う。
体育大会の取り組みを、集団の中の一員として自己肯定観を育む豊かな取り組みとしても位置付け
ていく。また花植えボランティアや清掃活動などの地域のボランティア活動や、自然に関わる活動
を通して、豊かな情操と道徳心を培う。
様々な思いや悩みをそれぞれに抱えている生徒達に、教育活動全体を通して他者と深くかかわる
体験を重ねていき、「命」を大切にする心を養う。
イ 特別支援教育の充実
通常学級における配慮を要する生徒については、全ての教員が職員会議、学年会議等各種の会議で
生徒の課題、支援の方法等について研修をし共通理解を図る。また、特別支援教育コーディネータ
ー、各学年の特別支援担当教員はそれらの生徒についての日頃の状況を把握し特別支援の視点を
意識するように心がけ職員の共通理解を図るようにする。
特別支援学級の生徒については、全教職員が理解し、支援方法等について協力して取り組む。
また、交流学級生徒には特別支援学級についての生徒理解を道徳や各授業で図っていく。
担任は学習状況、学校生活の状況を常に把握し、家庭と連携をとりスムーズな学校生活を送ることが
できるように心がける。
ウ 生徒会活動等の活性化
豊かな人間関係を築き、他者理解を深めるために、「異年齢集団による活動」の活性化を図る。
特に、委員会活動の時間を確保し、生徒が自主的に考え活動する時間を各委員会で設けるなど、
生徒会本部を中心に生徒主体の活動の推進に努める。このように、生徒の自主的・主体的な活動が
「いじめを許さない勇気」を育てることにつながると考える。
生徒会本部から通信等で呼びかけたり、道徳等とも連携し、いじめ問題を授業でも取り上げ、標語
やポスターを作成するなど、委員会、学級、個人が「いじめをなくす」ということを深く考える
ための活動を行い、日頃からいじめをなくす取り組みを行う。
エ 生徒の人権意識の向上
職員は、学校生活において生徒の実態把握に努めるとともに、個々の生徒の変化を見逃さない
よう、生活の様子や連絡ノートをしっかり見ていく。さらにアンケート調査や二者面談なども
定期的に行っていく。
また「命」を大切にする心を育てるために道徳的な授業を取り入れ、人や社会との関わりの中で
大切にしなければならないことについて共に考え指導していく。またコミュニケーション能力を
向上させることで、お互いを認め合い、自分とともに他の人の大切さを認めようとする意欲や
態度、行動力を育成する。さらに学校が生徒一人一人にとって、居心地の良い環境になるように
努める。
オ 授業づくりの改善と工夫
授業においては、生徒一人ひとりが「できた」という達成感や「認められた」という自己肯定感
を実感できるような「わかる授業」を工夫する。また、特別支援の観点から、すべての生徒が
授業に主体的に参加し、向上心をもって取り組める授業を構築する。その中で、生徒がお互いの
発表や考え方を尊重し、いじめを生まない人間関係をつくる。
そのためには規律正しい態度で授業に参加できるようにするとともに、日頃から教材研究や授業
研究に取り組み、職員間で互いに授業を公開し研修するなど、指導方法の工夫と改善に努める。
カ インターネット上のいじめの防止
情報モラルに関する授業を継続的に実施し、児童生徒にSNS等を含むインターネット上の
不適切な書き込み等が重大な人権侵害行為であることを理解させる。また情報機器の利用状況や
モラル等に関するアンケートを定期的に行い、状況把握に努める。さらに外部の専門家等を
招き、現在のネット利用における問題の事例等を取り上げてもらい、生徒のリスク回避能力の
向上に努める。
ア 早期発見
いじめの発見の遅れは、早期解決を困難にさせ、問題の複雑化、深刻化につながることがある
ため、日頃から生徒の見守りや信頼関係の構築等に努め、生徒が示す変化や危険信号を見逃さない
よう意識を高く保つとともに、教育相談体制を整え、いじめを積極的に認知することに努める。
(ア)生徒理解
毎日の「連絡ノート」のやりとりを充実させ生徒の日々の心の変化を把握する。特に休憩時間
は、生徒同士の人間関係を知るという点において有効であると考え、業間の休憩時間においても
授業を終えた教師は教室に残り、次の授業の教師に引き継ぎを行い、昼食指導後も時間が許す
限り生徒の様子を見守る。授業中・部活指導中の生徒の様子を注意深く観察し、気になる生徒
については、必ず声かけや話ができる機会作りを行う。また、教職員間の共通理解を深める。
保護者との連携を密にする。生徒理解を進める上で知り得た情報については、これまで通り
「学年部会」「生徒指導部会」「企画委員会」「職員会議」等で共通理解を深めていく。
以上の点を踏まえ、生徒理解を進めていくためには、教職員の資質の向上も併せて行っていかな
ければならない。そこで、現職教育において「生徒理解について」の研修を実施していく。
(イ)アンケート調査
アンケート調査実施の際には調査の趣旨を事前に生徒に説明・指導を行い、悩みを抱えている
生徒が周囲に気兼ねすることなく書けるような質問項目を設ける。また、生徒理解を深め、生徒
の悩みをくみ取り、生徒の心情の変化を見て取ることができるよう定期的に行う。
時期はアンケート調査を年間5回(5,7,10,12,2月)、学期の反省を年間3回
(7,12,3月)実施する。これらの調査が有効な手立てとなるように、調査を学校で行うだけ
でなく、家庭に持ち帰って回答したり、場合によっては無記名で回答する等、より生徒が書き
やすい調査内容や方法で行う。
(ウ)面談
定期的に実施する面談については、アンケート調査後に二者面談(生徒・担任)を行う。三者
面談(生徒・担任・保護者)については、実施時期等できるだけ時間を確保できるような方法
や、また、保護者が悩みや意見を学校に相談しやすいように、学校側から積極的に働きかけて
いく。面談で聞くべきことは、あらかじめ各学年で意思統一しておき、他の教員と共通理解を
図るために面談時の記録を残す。また、日頃から、生徒とのコミュニケーションを深め、悩み
などを相談しやすい雰囲気をつくっていき、定期的な面談以外に日常の生活での中でも気軽に
希望があれば、面談ができるよう体制を作っておく。
(エ)教育相談体制の充実
教育相談計画を作成し、目標や重点事項、組織及び運営、相談計画等、教育相談体制を明確に
する。次に全ての職員が教育相談に対する意識を高め、相談窓口であることを共通理解すると
ともに、学校組織をあげて生徒一人一人の状況の把握に努める。いじめ等の訴えがあった場合、
生徒の思いや不安・悩みを十分受け止める。また、教育相談体制について、生徒や保護者への
周知など広報の在り方を見直し、わかりやすい情報提供に努める。さらに、「学校いじめホット
ライン」を実施し、教育相談体制の充実を図る。また、スクールカウンセラーや、関係機関等を
活用しながら、いじめを訴えやすい環境を整える。
イ 早期対応
いじめを認知した場合、次の(ア)~(エ)に留意して、組織的に迅速かつ適切に対応する。
(ア)安全確保
いじめを認知した場合、直ちにいじめを受けた生徒やいじめを知らせてきた生徒の安全を確保
する。職員が組織だった体制を整え対応する。
(イ)事実確認
いじめを認知した場合や、生徒がいじめを受けていると疑われる場合は、直ちに当該生徒及び
関係生徒にいじめの事実の有無を確認する。
(ウ)指導・支援・助言
いじめがあったことが確認された場合は、直ちに加害生徒にはいじめをやめさせるよう直接的な
指導を行う。また、その再発を防止するため、スクールカウンセラーやソーシャルワーカー等の
協力を得ながら、必ず複数人の教職員等によって、いじめを受けた生徒やその保護者への支援
や、いじめを行った生徒への指導又はその保護者への助言を継続的に行う。その際、指導や対応
した事を時系列にまとめ記録を残しておく。
(エ)情報提供
いじめの早期解決を図るため、事実関係が明確になった情報を、いじめを受けた生徒の保護者や
いじめを行った生徒の保護者に、家庭訪問を行い内容の説明を行う。その際、内容については、
管理職に報告を行い指示を仰ぐと共に、必ず複数人の教職員で訪問する。
ウ 関係機関との連携
生徒の安全確保及び犯罪被害の未然防止のため、事案の内容にかかわらず、いじめと認められる
事案については、児童相談所や青少年センター、家庭児童相談所等の関係機関との情報交換を適宜
行う。又必要に応じて関係機関の協力を得ながら指導を進める。
いじめが、犯罪行為として取り扱われるべきものであると認められる場合は、直ちに警察に通報
し、連携した対応をとる。
エ インターネット上のいじめへの対応
インターネット上に不適切な書き込み等を行っているとの連絡を受けた場合、ただちに関係生徒に
事情を確認し、そのサイト等を記録した上で、削除に立ち会う。また、個人でそのデータを保有し
ている場合もあるので、関係生徒に調査を行い、削除に努める。なお、不適切な書き込み等が犯罪
行為と認められる場合は、削除要請を依頼する前に警察に通報・相談する。
学校として部活動のあり方について、方針を立てて全職員で共通理解を図る。
各顧問は生徒一人一人が抱える問題の把握、理解に努め、指導に際しては生徒の集団の中での状況を
考え、結果として集団から孤立させる指導にならないように注意する。また、教科指導、生徒指導と
連携させた指導を行う場合、指導の趣旨を生徒に理解させておく。体罰は許されないことはもちろんで
あるが、生徒の人格を損なう言動による指導は行わない。また、勝利至上主義に偏らないようにし、
互いに高めあったり、他者を思いやる中で連帯感を育てていこうとする集団の形成を図る。
生徒の取り組みについては、部活動を生徒が自主性を持って、自ら展開させて行くことを大切にさせた
い。そのためには、キャプテン会などの組織を活性化し、部活動での問題点を話し合う機会を設け
る。
また、各部活動において、キャプテンを中心として、部の問題点を話し合う機会を作る。
事故防止の為、必ず職員が部活動について指導を行うものとするが、つけない場合、練習計画や方法
など指導の徹底を図る。
部活動において生徒同士のトラブルが生じた場合、顧問一人で対応するのではなく、当該生徒の担任、
学校いじめ対策委員の共通理解の下、生徒の背景やトラブルが発生するまでの経過を十分考察した
うえで、学校として全職員が意思統一を図って、対応していく。
全ての教職員が児童生徒としっかり向き合い、いじめの防止等にきっちり取り組める資質能力を身に
つけられるようにする。また、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等の心理や福祉の
専門家と連携し、学校における教職員のカウンセリング能力の向上や関係機関と連携した取り組みの
事例検討等についての校内研修の充実が図られるようにする。
また、自殺(未遂)を防止するため、文部科学省が平成21年3月に作成した「教師が知っておきたい
子どもの自殺予防」、令和4年12月に改訂した「生徒指導提要」をもとに校内研修を実施する。
学社融合を進め、社会全体で児童生徒を見守り、健やかな成長を促すため、学校関係者と地域、家庭
との連携が必要である。また、より多くの大人が子どもの悩みや相談を受け止めることができるように
するため、学校と地域、家庭が組織的に連携・協働する体制を構築する。また、児童生徒の友人関係や
家庭状況について小学校と引き継ぎを行い連携を深めていく。
学校対策組織やスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等を交えたケース会議等を定期的
に行い、生徒の人間関係を継続的に注視していく。いじめを受けた生徒については、継続的な心のケア
に努めるとともに、自己有用感等が回復できるよう支援する。
いじめを行った生徒については、いじめの背景にある原因やストレス等を取り除くよう支援するととも
に、相手を思いやる感情や規範意識が向上できるよう粘り強く指導する。
いじめを行った生徒に同調し、はやしたてる等の行為を行った生徒、また、いじめを知りながらもそれ
を傍観、黙認した生徒に対しても、同様の指導を行っていく。さらに、被害生徒の保護者と継続的に
連絡を取り、家庭での様子や生徒の言動を把握していく。
学校いじめ対策委員会は、年間計画の策定を行う。
1)年間の取り組みについての検証を行う時期は学期末に設定し、学年末に総括をする。
2)長期休業に入った直後「取り組みアンケート」の集計や組織の会議を行い、対策委員会を中心
に学校基本方針を点検し、必要に応じて見直しを行う。
3)未然防止の取り組みは、すべての学年で統一し、体系的・組織的な取り組みを学校全体で進め
ていく。
4)面談の実施時期については、時間の確保や保護者が十分相談しやすい時期を考慮し決定する。
① 重大事態の意味
重大事態の意味については、次の通りとする。
ア いじめにより当該学校に在籍する生徒の生命、心身または財産に重大な被害が生じた疑いがあると
認めるとき。
○ 生徒が自殺を企図したとき
○ 身体に重大な障害を負ったとき
○ 金品等に重大な被害を被ったとき
○ 精神性の疾患を発症した場合
イ いじめにより当該学校に在籍する生徒が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑い
があると認めるとき。なお「相当の期間」ついては、年間30日を目安とする。ただし、日数だけ
でなく生徒の状況等、個々のケースを充分把握する必要がある。
ウ 児童生徒や保護者から、いじめられて重大事態に至ったという申し立てががあったときは、その
時点で学校が「いじめの結果ではない」あるいは「重大事態とはいえない」と考えたとしても、
重大事態が発生したものとして報告・調査等に当たる。
② 重大事態の報告
学校は、重大事態と思われる案件が発生した場合には、直ちに教育委員会に報告する。
(報告を受けた教育委員会は、重大事態の発生を田辺市長、及び和歌山県教育委員会に報告する。)
③ 調査の趣旨及び調査主体
調査は、重大事態に対処するとともに、同種の事態の発生の防止に資するために行うものである。
学校主体の調査を実施する場合、教育委員会の必要な指導、人的措置を含めた適切な支援の下、
調査を行う。ただし、学校主体の調査が、重大事態への対処及び同種の事態の発生の防止に必ずし
も十分な結果を得られないと判断する場合や、学校の教育活動に支障が生じるおそれがあるような
場合には、教育委員会に調査をゆだねる場合もある。
④ 調査を行うための組織
学校はその事案が重大事態であると判断したときは、当該重大事態に係る調査を行うために、
速やかにその下に組織を設ける。学校が調査を行う際には、必要に応じて「学校いじめ防止対策
委員会」を招集し、調査に当たる。
⑤ 事実関係を明確にするための調査の実施
「事実関係を明確にする」とは、重大事態に至る要因となったいじめ行為が、いつ(いつ頃から)、
誰から行われ、どのような様態であったか、いじめを生んだ背景事情としてどのような問題があっ
たか、学校・教職員がどのように対応したかなどの事実関係を、可能な限り網羅的に明確にするこ
とである。
この調査は、学校が事実に向き合うことで、当該事態への対処や同種の事態の再発防止を図るもの
である。
ア いじめられた生徒からの聴き取りが可能な場合
いじめられた生徒からの聴き取りが可能な場合、いじめられた生徒から十分聴き取るとともに、
在籍生徒や教職員に対するアンケート調査や聴き取り調査を行うことなどが考えられる。
この際、いじめられた生徒や情報を提供してくれた生徒を守ることを最優先とした調査実施が
必要である。
また、調査による事実関係の確認とともに、いじめた生徒への指導を行い、いじめ行為を止め
る。
学校は、事案の重大性を踏まえ、必要に応じて教育委員会から指導・支援を受けるとともに、
関係機関ともより適切に連携して、対応に当たる。
イ いじめられた生徒からの聴き取りが不可能な場合
学校は、生徒の入院や死亡など、いじめられた児童生徒からの聴き取りが不可能な場合は、生徒
の保護者の要望・意見を十分に聴取し、迅速に当該保護者と今後の調査について協議し、調査に
着手する。
(自殺の背景調査における留意事項)
生徒の自殺という事態が起こった場合の調査の在り方については、その後の自殺防止に資する
観点から、自殺の背景調査を実施することが必要である。この調査においては、亡くなった生徒
の尊厳を保持しつつ、その死に至った経過を検証し再発防止策を講ずることを目指し、遺族の
気持ちに十分配慮しながら行うことが必要である。
いじめがその要因として疑われる場合の背景調査については、法第28条第1項に定める調査に
相当することとなり、その在り方については、以下の事項に留意のうえ、「児童生徒の自殺が
起きたときの調査の指針」(平成23年3月子供の自殺予防に関する調査研究協力者会議)を参考
とするものとする。
○ 背景調査に当たり、遺族が、当該児童生徒を最も身近に知り、また、背景調査について切実な
心情を持つことを認識し、その要望・意見を十分聴取するとともに、できる限りの配慮と説明
を行う。
○ 在校生及びその保護者に対しても、できる限りの配慮と説明を行う。
○ 死亡した児童生徒が置かれていた状況として、いじめの疑いがあることを踏まえ、学校は、
遺族に対して主体的に、在校生へのアンケート調査や一斉聴き取り調査を含む詳しい調査の
実施を提案する。
○ 詳しい調査を行うに当たり、学校は、遺族に対して、調査の目的・目標、調査を行う組織の
構成等、調査の概ねの期間や方法、入手した資料の取り扱い、遺族に対する説明の在り方や
調査結果の公表に関する方針などについて、できる限り、遺族と合意しておく。
○ 調査を行う組織については、「学校いじめ対策委員会」が当たるものとする。
○ 背景調査においては、自殺が起きた後の時間の経過等に伴う制約の下で、できる限り、偏りの
ない資料や情報を多く収集し、それらの信頼性の吟味を含めて、客観的に特定の資料や情報に
のみ依拠することなく総合的に分析評価を行うよう努める。
○ 客観的な事実関係の調査を迅速に進めることが必要であり、それらの事実の影響についての
分析評価については、専門的知識及び経験を有する者の援助を求めることが必要であることに
留意する。
○ 学校が調査を行う場合においては、教育委員会から、情報の提供について必要な指導及び支援
を受ける。
○ 情報発信・報道対応については、プライバシーへの配慮のうえ、正確で一貫した情報提供が
必要であり、初期の段階で情報がないからといって、トラブルや不適切な対応がなかったと
決めつけたり、断片的な情報で誤解を与えたりすることのないよう留意する。なお、亡くなっ
た児童生徒の尊厳の保持や、子供の自殺は連鎖(後追い)の可能性があることなどを踏まえ、
報道の在り方に特別の注意が必要であり、WHO(世界保健機関)による自殺報道への提言を参考に
する必要がある。
⑥ その他留意事項
法第23条第2項においても、いじめの事実の有無の確認を行うための措置を講ずるとされ、学校
において、いじめの事実の有無の確認のための措置を講じた結果、重大事態であると判断した場合
も想定されるが、それのみでは重大事態の全貌の事実関係が明確にされたとは限らず、未だその
一部が解明されたにすぎない場合もあり得ることから、法第28条第1項の「重大事態に係る事実
関係を明確にするための調査」として、法第23条第2項で行った調査資料の再分析や、必要に
応じて新たな調査を行うこととする。ただし、法第23条第2項による措置にて事実関係の全貌が
十分に明確にされたと判断できる場合は、この限りでない。
また学校は、事案の重大性を踏まえ、必要な場合、教育委員会における対応・措置に従う。
具体的には義務教育段階の児童生徒に関して、出席停止措置の活用や、いじめられた児童生徒
またはその保護者が希望する場合には、就学校の指定の変更や区域外就学等の弾力的な対応等で
ある。
ア いじめを受けた生徒及びその保護者への適切な情報提供
学校は、いじめを受けた生徒やその保護者に対して、調査により明らかになった事実関係に
ついて、いじめを受けた生徒やその保護者に対して説明する。
イ 調査結果の報告
調査結果について学校は教育委員会に報告する。
(教育委員会は市長及び県教育委員会に報告する。)