難燃・防炎・不燃と防融のちがいとは?
最近衣料のシーンでも聞くようになった難燃・防炎の文句ですがどのような違いがあり、どのような注意が必要なのか、ご存じでしょうか?
繊維業界では
難燃・・・物質自体が燃えにくいように性質を変えてあるもの
防炎・・・燃えやすいものに難燃剤などを付与して燃えにくくしているもの
と区別しています。
どちらも自己消火作用があるというのは変わりありませんが「難燃繊維」・「防炎加工」と言い分けています。
自己消火作用=一旦火が着いても燃え広がらず炎が収まる。
不燃と言うのはそもそも燃えない物質ということになります。
結構誤解が多いのがこの不燃と防炎・難燃を混同しているかたがいるという事です。
不燃の場合炎が上がらない、溶けたりもしないですが、難燃、防炎は火をつけると燃えます。
また合成繊維の場合は融点というものがあります。例えばポリエステルは255℃~260℃で、
ナイロンはPA6が225℃でPA66が265℃です。それ以上の温度になると溶け(溶融)ます。
防融とは生地の表面を熱に強い樹脂で覆い、溶けるのを防ぎます。なので長時間炎に晒されると生地が脆化したり最悪溶けます。
※難燃・防炎・防融とも燃えない、溶けないということはなく、いざという時の身を守る保険のようなものです。
あくまで自分の身は自分で守り外的要因からの負荷を軽減するものとして扱いましょう。
目安としてLOI値(ろいち)の検査を取得していて数値が26を超えているものが難燃性があると判断できます。
遮熱と断熱の違いとは?
遮熱と断熱についても混同しがちな人が多いです。
遮熱・・・日光の熱を反射し内部の温度上昇を防ぐもの
断熱・・・外気の熱を断熱物質内に留め置き内部の温度上昇を防ぐもの
内気の熱を断熱物質内に留め置き外部への熱放出を防ぐもの
となります。
厳密に言うと断熱の中に遮熱も含まれていますので混同しても問題はないですが、
遮熱は外部の熱を遮断(または遮蔽、反射)するときのみ使われます。
2レイヤー(2L)、2.5レイヤー(2.5L)と3レイヤー(3L)の違いや機能性について
透湿防水メンブレンと呼ばれるものが現在多数のメーカーから販売されています。
ePTFEという疎水性(水を寄せ付けない)素材を表地に貼り、親水性(水を引き寄せる)PUコーティングをしたものが主流です。
ですがそれ自体は非常に薄い被膜ゆえ破れやすく、むき出しの状態で使うのはリスクがあります。
2L・・・表地+被膜のみ
基本的にそのままで使うことはなく、裏地が付いたり、中綿などと組み合わせて使います。
3L・・・一枚もので使えるように裏に極薄のトリコット編みのメッシュを付けた物です。
メッシュで覆われているので擦れたり引っ掛けたりして破くリスクは下がりますが、透湿性は低下します。
2.5L・・・3Lのトリコットメッシュの代わりに滑りの良いプリントをしています。
1枚使いを想定した軽量化とストレッチシェルなど、メンブレンのストレッチ性を活かした製品に使用されています。
3つのレイヤーのいいとこ取りをしています。
耐水圧と透湿性について
■耐水圧
一般的にどれだけの水圧に耐えればいいのか、、、目安として
①小雨~300~800mm
②中雨1,000mm~2,000mm
③大雨5,000~10,000mm
④(風を伴う)嵐10,000mm~20,000mmくらいだと言われています。(※耐水圧=防水性能と考えてOKです)
タウンユースで考えた場合、傘を併用しますので②の2,000mm程度の耐水圧があれば十分と言えます。
10,000mm~20,000mmのハイスペックは冬季山岳、縦走、またはマリンスポーツなどの予期せぬ天候に備えたスペックと言えます。
■透湿性
水を防ぐだけなら生地に樹脂を塗ったり、貼ったりすればいいことなのですが、人間の肌は常に水分を放出しているため通気性がないとムレを感じます。
しかしながら防水性と通気性は相反する機能ゆえ、開発されたのが多孔質メンブレンというものです。多孔質の穴は水の粒子よりも小さく、水蒸気よりも大きいので水は通さず水蒸気は通す性質があります。これを透湿性と言います。
単位はgram per sqm(g/㎡)でほとんどのメーカーはこれを24時間換算しています。
一般的なもので5,000g/㎡・24h~10,000g/㎡・24hです。ハイスペックなものは20,000g/㎡・24hや50,000g/㎡・24hというものまであります。
高性能なものほど高価です。このスペックは発汗量や運動強度で求めるスペックは違いますので、それぞれお財布と相談しながらスペックを決めるのがいいです。