研究分野

情報技術の医療・健康応用:理論と応用

情報技術の中でも,人工知能(AI),特にソフトコンピューティング(SC)の中のファジィ論理理論(Fuzzy Logic Theory) は不正確さや不確実を数学的に取り扱う理論体系です.特徴としては,制御のしやすさ,頑健であること,現実に即していることが挙げられ,これらの結果は従来のハードコンピューティングによってなされる物よりも優れている場合が多々あります.ソフトコンピューティングはファジィ理論,ニューラルネットワーク,進化論計算,確率的推論,進化的アルゴリズム,ラフセット,カオス理論,ベイジアンネットワークや学習理論を含みます.ソフトコンピューティングの分野では,問題解決のために様々な手法が相補的に用いられます.

その中でも私の研究室は、ヒトが行う推論,医用画像処理,医用信号処理,ヘルスデータ解析,ヘルスケアシステムの実現に関心を寄せています.

医用信号・画像処理システム

医用画像化装置は,近年のコンピュータ,信号回路技術,計算処理技術の進歩に伴い,爆発的な進化を続けています.たとえば,高解像度の3次元な解剖学的情報は磁気共鳴影像法(MRI)やX-ray Computed Tomography(CT)によって,血流と代謝情報の三次元機能画像は陽電子放射断層撮影(PET)や機能的MRI(fMRI)から得ることができます.また,超音波装置の発展も目覚ましく,4次元の動き情報も得ることが可能です.これらの装置から得られる画像枚数や信号量は非常に膨大(例えばX-rayMDCTでの肺撮影画像は1データで500メガバイト)で,データ測定後の画像処理,信号処理は医師の診断に必要不可欠なものとなっています.

そのなかで,特にソフトコンピューティングの技術はこの医用画像処理で強力なツールとして用いられ始めています.また最近の機械学習(ML)の進展でOpenpose等の人の動き解析や、DeepLabCutなどで動物や部位の動きをコンピュータで高速に計算できるようになりました.

ソフトコンピューティングの特徴

  1. ソフトコンピューティングは不確かな情報を数学的に取り扱う方法を提供します

  2. ソフトコンピューティングーティングは医者の知識を表現することができます

  3. ソフトコンピューティングーティングの空間解釈能力が撮影画像や測定信号が有する不正確性を表現できる為、信号・画像処理に適しています

ITと画像・信号処理・パターン認識の融合は,医用画像信号処理の基幹技術である”領域抽出”,”位置合わせ”,”画像強調”、"分類"、”認識”に特に有効です.

私の研究室では、今後はこれらに”予測”の技術を加えて、皆さんの医療・健康産業へ貢献していきます.これらの新技術は,工学技術者と医療従事者の関心・議論を同じ机上に乗せることができ,医工学の発展にますます寄与することが可能です.これによって人類の生活の質(QoL)の向上を学生の皆さんとともに図りたいですね.

新聞・ニュース

  • 嚥下機能の保持・向上方法に関する実証実験を丹波市で実施に関する報道 「誤嚥予防に合唱役立つ?市民230人「ごっくん」脳科学で裏付け探る」(丹波新聞 2019.10.6掲載記事より) 「日本人死因3位の「国民病」発生と嚥下機能の関係調査」(丹波新聞公式HP ニュース 2019.10.7 掲載記事より)

  • 令和元年兵庫県科学賞 受賞者発表に関する報道(神戸新聞NEXT 2019.10.21)

  • 第40回井植文化賞 受賞者発表に関する報道 (科学技術部門受賞) (神戸新聞NEXT 2016.09.14, 毎日新聞 2016.09.29, 産経新聞(朝刊25面)2016.9.24(土), 読売新聞(朝刊33面)2016.9.27(火))

  • 井植文化賞: 3人と4団体受賞 来月1日表彰式/兵庫 (毎日新聞 2016.09.29 )

  • 「井植文化賞」 3個人4団体が決まる (神戸新聞 2016.09.14)

    • デジタルヘルス事例 「不妊治療にも人工知能の力」 (日経デジタルヘルス2016.04.13)

  • 関西の羅針盤 「最先端施設使いこなせ」 第8章産業の芽(2) (日本経済新聞 2015.3.4) Web刊: http://www.nikkei.com/article/DGXLASHD13H4L_T00C15A3962M00/

  • 「医工連携で機器開発へ -不妊症診断など臨床目指す-」(神戸新聞 2013.8.19 掲載記事より)

  • 旺文社進学応援サイト「パスナビ」の学校ニュース(学校注目情報) 「シートに寝転んでストレス度を計測する装置を開発」(2012.4.16掲載記事より)

  • 寝ころぶだけストレス計測 「被災者の体調管理に活用を」(神戸新聞 2012.02.25 掲載記事より)

  • 非破壊検査・計測・診断技術 「安全・安心な医療のためのデジタルイメージング」 (日刊工業新聞 2010.10.25 掲載記事より)

TV

    • サンテレビニュース (2016.10.01) 「第40回井植文化賞受賞式」

    • NHKニュースKOBE発 (2016.09.23) 「井植文化賞 3団体3人が受賞」

特許

  • 特許願2012149165 - 超音波を用いた線状体の外形測定装置

  • 特許願2012149399 - 超音波精細管検査装置

  • 特許願2014099347 - 姿勢推定装置、姿勢推定システム

  • 【登録番号】ZL2015 80022 460.7

【名称】姿勢推定装置、姿勢推定システムおよび姿勢推定方法

【登録日】2019/7/5

【発行国】中国


  • 【特許番号】特許第6731600号

【発明の名称】姿勢推定装置、姿勢推定システム、姿勢推定方法、 姿勢勢推定プログラム、

および姿勢推定プログラムを記録 したコンピュータ読み取り可能な記録媒体

【発明者】畑 豊, 中嶋 宏, 谷口 雄亮, 相田 冨実二, 田中 純一, 土屋 直樹

【出願番号】特願2015-096261

【出願日】2015.05.11

【登録日】2020.07.09

【特許権者】オムロン株式会社, 公立大学法人兵庫県立大学

【広報発行日】2020.07.29

  • ヨーロッパ特許

名称:姿勢推定装置、姿勢推定システム、および姿勢推定プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体

権利者: オムロン、兵庫県立大学

【登録日】2020.07.09

【登録番号】3143931

【登録日】2020/12/9

掲載雑誌

2011年5月 臨床整形外科

工学からみた整形外科 -情報工学からみた整形外科-


2011年7月 検査技術

超音波による医療診断装置の開発

  1. Computational Intelligence Volume II (H. Ishibuchi ed.) Computational Intelligence and Medical Applications, Encyclopedia of Life Support Systems , UNESCO EOLSS, pp.172-201, Dec. 2015

  2. Fuzzy Logic Theory and Applications: Part Ⅰ and Part Ⅱ (Lofti A Zadeh and Rafik A Aliev ed.), Fuzzy logic in medicine, World Scientific, pp. 531-546, Dec. 2018.

ISBN: 978-981-3238-17-6 (hardcover) , ISBN: 978-981-3238-19-0 (ebook)

  1. Systems of Systems Engineering: Principles and Applications in Computational Intelligence ( Mo Jamshidi ed.), Medical and health management system of systems, CRC press, pp.233-250, 2008.

ラジオ

ラジオ関西558 三上公也の情報アサイチ!

2013年11月12日出演

『健康の秋〜画像処理技術の医療診断システムへの活用〜』