こちらでは自賠責保険なるものはなく、自分の責任で任意自動車保険または財政的な責任を果たせるように現金を預ける必要があります。車検がなく強制的に保険の有無を確認する仕組みがないので、任意保険に入っていないでクルマを使っている人が10数%いると聞いています。今年2023年から法律が変わり、保険会社はもし加入している保険が途中でキャンセルされた場合、DMVに報告する義務ができ、保険を途中で解約してしまった場合、毎年の登録ができなくするようにしたようです。一定の拘束力はあるかもしれませんが、日本みたいに強制にならないのが不思議です。
任意自動車保険は、基本、日本とほぼ同じ仕組みなのですが、一番の違いは、「対人無制限」という選択肢がありません。私の使っている保険会社AAA(日本のJAFに相当しますが、自動車保険も扱っています)では最高$500,000です。何しろ訴訟社会と言われているので、万が一、人身事故を起こしてしまった時にこれでは足りないと考え、当初、任意自動車保険の上限を補填する役目を果たすアンブレラ保険の最低額である$1,000,000に加入しました。ただ、こちらの給与水準を考えるとこれでも足りないのでは、と考えるに至り、$2,000,000への変更手続きをしようとしました。
AAAのオフィスに行き、追加で$100程度支払えばすぐに変更ができるかと思ったのですが、担当してくれた係の人が渋ります。「家は持っているの?」「収入はいくら?」… 保険が売れていいはずなのに、その時は何でそんなことを聞かれるのか分からなかったのですが、「とにかく心配だから」と変更してもらいました。
渋られた謎が頭の中に残り、悶々としていたのですが、あるリモートワークの日に妻と昼食取りながらローカルのテレビを見ていると、10分程度の間に5件の異なる法律事務所のコマーシャルがあり、「あなたの責任ではなく、交通事故でケガをしたらすぐに我が社に電話ください。我が社では○○件の実績があり、保険会社の査定額の××倍にもなる最良の結果をお約束します」などと宣伝しているではありませんか。その瞬間「なるほど」と結びつきました。日本では事故が起きたらその人が将来受けるだろう収入に対する損害分を補償するのが普通ですが、ここではそうではなく、「弁護士が中に入り、財産がある人からは最大限取り立てる」だから、アンブレラ保険の上限が高いとそれだけ保険会社は支払いしなくてはならなくなる可能性がある、なので保険会社は高額のアンブレラ保険はなるべく避けようとしている、に違いない…。
万が一事故を起こして補償額の交渉になった際には、自己資産や保険の額は極力秘密にする、というようなことが書かれているインターネットのページがありました。幸い今のところそのような状況に陥ったことがないので実際のところは分かりませんが、弁護士事務所のテレビコマーシャルを見るたびに安全運転しないといけない、と心に誓っています。
AAAのオフィス。
全米各所にあり、たいてい空いていて、対応も親切です。ちなみに日本から旅行されるとき、JAFの会員証があればAAAのロードサービスが受けられます。
訴訟社会と言われているアメリカでは、ほとんどこじつけとしか思えないことで訴訟が起きます。こちらに来て間もない頃、クラスアクション(集団訴訟)でトヨタのハイブリッド車が突然加速してしまうとされ、所有者全てに一定の金額を補償することで和解した事例があり、トヨタ・ハイブリッド車を所有する我が家にも突然小切手が送られてきました。額は$20前後だったと記憶していますが、全所有者に送金しているので総額は半端な額ではなかったことでしょう。訴訟や法律関係者が介在すると理解を超えることが起きる、という点で、通じるものがあるように感じています。
⇒ 09. 交通ルールあれこれ…飲酒運転可?(coming soon...)