自動車で私を育んでくれた、V8は残念ながら、私の部生活卒業を前に原型を失ってしまい、その後は後輩達の努力で、昭和27年まで姿をかえて部の歴史を刻んでくれた、成行きは、昭和24年の秋、恵比寿の ビール会社に向かった時のこと。
山手線のガード下を抜けて坂を登り始めた(現在の恵比寿 ガーデンブレイスの傍ら)ビール会社の正門目前、突然甲高い金属音が鳴響いた、急遽、車を停めさせた、坂道、足元に水が流れ出した、水はラジエーターにしか無いはず、オイルパンの継目から水が滴り落ちていた。
オイルパンを外して視たら、オイルパンの中に砕けたピストンの残骸が散らばっていた。
ピストンが破損して ピストンロッドでピストンを砕き、ピストンロッドは シリンダースリーブを突抜いていたのである。
繋引に自動車を呼ぼうとも考えたが、時間が掛かる、思い切って帰れるところまで自走させようと決断し、ピントンロットをクランク軸から外し砕けた ピストンも取除いた。
孔の開いた シリンダーを グリースで固めた ウエスで出来るだけ硬く詰込んで、水をラジエーターに補給しエンジンをかけてみた、流石に8気筒、あまり気にならないくらい円滑に エンジンは回転した、水漏れは完全に止めることは出来ないが、数kmは走れると判断。無理をかけぬよう平素より少し速度を落として走ることに決め、学校に向かった。
山手道路から国道246を経由、道元坂に辿り着き、点検したら予想以上に水漏れも少なく、水を補給、途中更に1回程度補充すれば学校までは帰れると、走り続け自力で帰校した。