V8では、2度怪我をした、今でもその痕跡が脚の脛と二の腕にある。
1回目の怪我は、先輩達も卒業し部員も数人となつたある日、エンジンをかけて車庫(移転前の古い車庫)の前に車を停車させておき、車庫の扉を閉めていたら、サイドブレーキが外れて自走し始めた、気付いて追いかけドアーを明け、左足でブレーキを踏んだが手遅れ、文学部の地下室入口の階段に右前輪は食み出し、私はドアとサイドステップの間に脚を挟まれてしまった、動けない、通行していた学生に声をかけ車を押しさげてもらい、助かったが、脚は挫傷、大きな傷跡となって今でも薄く色が違う、骨折しなかったのが幸いであったが、ビッコを引きながら運転は続けたものである、当時、その失態は恥ずかしく、そんな事故は誰にも説明せず過ごしたのである。
2回目の怪我は、王子から池袋に向かっていた時のこと、エンジンの機嫌が悪い、度々咳をするのであった、学校に帰ってから調整しょうと帰りを急いだ、運転していた金井君が、先輩、此れ持ちません何とかなりませんか言う。
それではと走りながら調整した、ボンネットを外してフェンダーに身体を横たえ走らせながらドラバーでキャブレターの調整に挑んだ。
暫く調整を続け調子が戻ってきたので金井君に少しスピードを上げて見ろと言ったら聞き違いか勘違いが、急ブレーキをかけられた、不安定な場所に横たわっているので掴まるところもなく振落とされた、右手を思わず何かに掴まろうと伸ばしたので排気管に当ってしまった、火傷するし身体は道路に叩きつけられた、今でも薄っすらと火傷の跡が残っている。