私は早稲田大学の政治経済学科に入学して理論としての自動車概論を学んだが、その殆ど全てが理論であり、具体的な将来性については模索の範囲を出なかったが、幸いにも自動車部の研究グループの一員として、横浜市子安にあったアメリカ直営のフォード横浜工場を見学する機会に参加し、目から鱗が落ちる思いで茫然と立ち竦む有様でした。
先ず建物がガラス張でこれも初めて、役員室、事務室、現場係室、がガラス張りで、作業が一望出来るオープン方式である。第一工程は数台の工程テーブルが低速で作動してその両側には作業工員がいない(二か所の受け持ち区間を保守している)ここでは、乗用車のフレームリベット打ちであり、フレームは逆に置かれ、フロントハウシングが取りつけられる。当然ドラムアッセンプリーがセットされている。次いでリヤハウシング(デフレシャルアッセンプリー付き)がフレームにセットされる。すかさず四本のタイヤがセットされ、ついでブレーキシステムが作動できる状態に取りつげられられる。
この段階で,四輪装着のフレームがひっくり返され、すかさずステヤリング装置が付けられ、後は手動で簡単に移動させられる。
別室ではエンジンブロック(ラジエーター付き)、クラッチ、トランスミッション、ジョイント部までが宙吊りからフレームに装着される。これでラジエーターに水を入れガソリンタンクにガソリンを注入、バッテリー搭載、各配線結合でシャーシー自動車の機能は完成するのだ。