過半数が免許が取れて、一息つく間もなく夏休みとなり、待望の1928型フオードの全分解整備が一週間を掛けて始まった。真夏の炎天下はなかなか暑く、パンツーつでメンバー5人で取り組んだ本物のエンジン分解は生まれて初めての事で最後の仕上げの後のエンジンの音を聞いた時は感激で涙が止まらなかった。
ここで、車は運転させる前にメカニックを十分手人れしてからと痛いほど教えられたし、一つのネジ、ボルト、ワッシヤー、ナットの重要性を徹底的に教えられた。
部の車は概して試運転するためには多くのテストを経なげれば実行しないように知らされている。整備に自信がつくと作業も早く進み、テスト練習となるので、部のコーチ班とドライプ班とは一心同体で行動しなげれはならない。必然的に家に帰るのは完成した後になる。一人前の選手を作り出すには数多くの知識と技術の積み重ねによる。
遊んでいるように見えても競技に時つためには幾多の試練を経験しているので、簡単に試合に臨むことは出来ないのだ。これは野球のリーグ戦においても然りである。
我が自動車部も春夏秋冬、季節の変わりを感じつつその間に試験あり実習もあり、いつも緊張の連続苦しみは日常、それが青春だと思っていた。負けるのも青春なのだ。
自動車部のポンコツ車は自慢じやないが東京一と思えた。このポンコツを滑らかに走らせたら、そりゃあ芸術的腕前と云える。これをマスターしたら自信も着き、それで箱根の峠を越えれば、更に自信が青くというもの、不思議さと恐ろしさを持った車であった。