東大環境放射線情報ページの変化

私たちが2011年6月13日に要請文を提出後、6月14日付で東京大学「環境放射線情報に関するQ&A」の内容に重要な変更が行われました。

本サイトに掲載されている要請文は、変更前の内容に基づいて書かれていたものなので、変更前の上記ページの内容と、6月14日付の変更の内容について記しておきます。

上記ページは少しずつ改訂されていましたが、2011/5/21時点でのページが、こちらに保存されています。

(要請書提出の6/13時点では更なる改訂によって内容は変化していましたが、重要な点での見解は同じでした。)

私たちが主に問題にした箇所を以下に抜粋して引用しておきます。

Q:本郷や駒場と比較すると、柏の値が高いように見えますが、なぜですか?

A:測定点近傍にある天然石や地質などの影響で、平時でも放射線量率が若干高めになっているところがあります。現在、私たちが公表している柏のデータ(東大柏キャンパス内に設けられた測定点です)は、確かに、他に比べて少々高めの線量の傾向を示しています。これは平時の線量が若干高めであることと、加えて、福島の原子力発電所に関連した放射性物質が気流に乗って運ばれ、雨などで地面に沈着したこと、のふたつが主たる原因であると考えています。気流等で運ばれてきた物質がどの場所に多く存在するか、沈着したかは、気流や雨の状況、周辺の建物の状況や地形などで決まります。結論としては、少々高めの線量率であることは事実ですが、人体に影響を与えるレベルではなく、健康にはなんら問題はないと考えています。

2011/6/16時点でのページの記録は、こちらになります。この時点での、上記に対応する箇所を以下に引用します。

最も重要な変更として、「人体に影響を与えるレベルではなく、健康にはなんら問題はない」という記述が消滅しました。

Q2:本郷や駒場と比較すると、柏の値が高いように見えますが、なぜですか?

A2:現在、私たちが公表している柏のデータ(東大柏キャンパス内に設けられた測定点)は、確かに他に比べて高めの線量を示しています。測定点近傍にある天然石や地質などの影響で、平時でも空間線量率が若干高めになっている所があります。また、福島の原子力発電所に関連した放射性物質が気流に乗って運ばれ、雨などで地面に沈着したことが原因であると考えています。気流等で運ばれてきた物質がどの場所に多く存在するか、沈着したかは、気流や雨の状況、周辺の建物の状況や地形などで決まります。

Q3:キャンパス内で測定されている放射線量(空間線量率)は人体への影響はありますか?

A3:事故前より高い空間線量率が測定されています。従来の疫学的研究では、100mSv(1回または年あたり)以下の被ばく線量の場合、がん等の人体への確率的影響のリスクは明確ではありません(自然被ばく線量は世界平均で1年間に2.4 mSvです)。ICRP(国際放射線防護委員会)は、2007年勧告を踏まえ、本年3月21日に改めて、「長期間の後には放射線レベルを1mSv/年へ低減するとして、これまでの勧告から変更することなしに現時点での参考レベル1mSv/年~20mSv/年の範囲で設定すること」(日本学術会議訳)とする内容の声明を出しています。

※ICRP声明 3月21日 http://www.icrp.org/news.asp

Q9:柏キャンパスにおける空間線量率のバックグランド(表中では「平時の値」と記載)は、どのように評価されたものですか?

A9:柏(1)のバックグランドは、福島第1、第2原子力発電所の事故以前に、放射線管理の専門家によって、まさにその地点で実際に測定されていた値を基にしています。0.08~0.16μSv/時程度ですので、平時の値としては、まるめて0.1~0.2μSv/時としました。柏(2)は柏(1)のすぐ近傍(約10m離れた地点)にあります。原子力発電所からの事故による飛来物の量は柏(1)と柏(2)でほぼ同じと推定されますので、柏(2)の自動測定を開始したころの相互の測定値を比較して、柏(2)の平時の値を0.05~0.1μSv/hと評価しました。この値は、柏(2)における過去のバックグランド測定値(0.07~0.10μSv/時)とよく整合しています。

測定された値から、平時の値を差し引いた値が、主に原子力発電所の事故由来の放射性物質による影響と考えています。