作物の生産性は,何を(どのような遺伝子型の作物を),どのような環境で,どのように管理して栽培するのかで大きく異なってきます.つまり,実際の生産現場での作物の生産性を向上させるには,これらの要因を包括的に理解した上で,生産現場での問題点を抽出し,問題点の解明に取り組んでいく必要があります.
我々の研究室ではこの点を強く意識しながら,イネなどの主要作物を対象にして様々な環境条件下で作物の生産性を向上させる技術を開発することを目指しています.これまでにアジアやアフリカで実際に作物栽培を行いながら,現場での問題点の抽出とその克服に取り組んできています. 現在,当研究室で行っている研究テーマには以下のようなものがあります.
近年,欧米を中心にスマート農業に関する技術開発が活発に行われています.
しかし,開発途上国ではその導入事例はほとんどありません.開発途上国の農業現場では栽培管理を適正に行うことで生産性を大幅に向上できる余地が先進国以上にあり,このような地域にこそ活用できるスマート農業の形があると考えています.そこで,我々は開発途上国に導入できるようなスマート農業の形を模索して,その導入を試みています.
キヌアは南米高地を原産にしているアカザ科の作物です.この作物は一時的に歴史の表舞台からは姿を消したのですが,近年,その栄養学的価値が非常に高いことや,様々な環境ストレスを有していることからスーパーフードとして着目されています.
しかし,このキヌアブームによる生産面積の拡大や,地球規模の環境変動により,その生産の持続性が懸念されています.我々はボリビアを対象に,現地の生物資源を最大限に活用した持続的キヌア栽培体系の開発に取り組んでいます.
プロジェクトの詳細についてはSATREPS スーパーフード ボリビアのページをご覧ください.
アフリカというとイモやトウモロコシを主食としているイメージがあるかもしれませんが,近年アフリカでのコメの需要は急増しています.しかし同地域のイネ生産性は依然として低いままです.その生産性制限要因は,施肥法や播種法などの基本的な栽培技術であったり,品種の能力の問題であったりと地域によって多様です.
本研究室ではアフリカの天水田や大規模水田などの多様な生産環境を対象に,イネの安定多収のための栽培技術の確立や育種戦略の提案などを行うことを目標にしています.近年はガーナ,ケニア,タンザニアなどの稲作現場で研究活動を行っています.
ここに示したテーマ以外にも,作物の栽培や生理に関する研究を広く行っています.当研究室では一緒に研究していただけるメンバーを随時募集しています.研究内容に少しでも興味を持たれた方はお気軽にご連絡ください.
Copy right (C) Lab. of Crop Production Science, Tokyo University of Agriculture and Technology