組合せ論セミナー

次回以降の予定

4365日()

場所:61-306

時間:13:00--14:30

講演者: 篠原雅史(滋賀大学)

タイトル:Erdős distinct distances problem と関係する格子予想について


アブストラクト:

平面上の n 点集合 X に対し,X の異なる 2 点間の距離の個数を a(X) とし,g(n)=min {a(X)| |X|=n} と定める.g(3)=1, g(4)=g(5)=2 であり,例えば,正多角形がその最小値を与える.Erdős(1946) は g(n)\ge cn/\sqrt{\log n} であると予想した.  であると予想した.正方格子や正三角格子上の点配置として a(X)=cn/\sqrt{\log n} となるものが構成できるため,それよりもよい点配置が存在しないという予想となる.また,正方格子と正三角格子を比較した際,定数部分で正三角格子が正方格子よりよい点配置を与えることが観測されている.本講演では,Erdős の予想を格子の言葉で表現し,小さいところでの考察を行う.また,この予想に関する幾つかのアプローチについて提案する. 

時間:15:00--16:30

講演者:田中優帆(早稲田大学) 

タイトル:

ネットワークの複雑性解析へ向けたグラフ・デザイン理論的アプローチ


アブストラクト:

 グラフや符号はネットワークを抽象化した数学モデルと考えられ、ネットワークの複雑性を解析するため用いられる。

本講演では複雑性の解析手法として、グラフ上のランダムウォークにおける期待到達時間(確率論的アプローチ)、符号から得られるデザイン(代数的アプローチ)に関する研究を紹介する。

 前半では、ある有向Cayleyグラフや重み付きCayleyグラフの族に対して、期待到達時間の閉じた公式を与える。本研究で考案した、ラプラシアン行列を用いた行列方程式を解く手法を用いると、スペクトルグラフ理論の知識をほとんど必要とせず、直接的に期待到達時間の公式を得ることが可能である。その計算過程における、行列方程式の係数行列の分解に用いる手法について説明する。

 後半では、Jacobi多項式を用いて、線形符号から組合せデザインを構成する手法を紹介する。与えられた符号からどのようなt-値を持つt-デザインが得られるか、これを解決するためにJacobi多項式が有用である。本研究の主結果として、複数の参照ベクトルに関するJacobi多項式を定義し、一般化されたt-デザインとの関係性について述べる。さらに、非 2 元符号のいくつかの例における計算結果についても紹介する。 

第42回 517日(水)

場所:61-405

時間:13:10--

講演者: 高林歩悠人(慶応大学)

タイトル:群作用を持つ符号の双線形形式によるMacWilliamsの恒等式とその応用 

アブストラクト:代数的符号理論において、代数的符号の代数的性質を調べる研究は盛んに行われている。特に、線形符号と、その内積による直交補空間である双対符号との間の関係を表すMacWilliamsの恒等式は、現在に至るまで様々な形で拡張や一般化が行われている。本発表では、Chakraborty, 三枝崎が示した、対称群の部分群が座標置換で作用している符号に対する、Euclid内積によるMacWilliamsの恒等式を、一般の双線形形式の直交和の場合に示す。また、それだけでなく、そのMacWilliamsの恒等式を用いることで、Nebe, Rains, Sloaneが示した、自己双対で等方的な符号のfull weight enumeratorが、Clifford–Weil群とよばれる群の作用で不変になることを、対称群の部分群が座標置換で作用している符号の場合に拡張する。

これまでの記録

第41回 1月12日(金)

場所:61-4-413 (61-413)

時間:15:05--16:45

講演者:西村優作(早稲田大学) 

タイトル:


アブストラクト:

第40回 1128日()

場所:61 号館 4 階 409 室 

14:00--14:30: 内田圭亮,Terwilliger algebra for directed H(D,3)

14:30--15:00: 石川麗菜,符号の被覆半径の一般化について 

15:10--15:40: 粟田円佳t-designs obtained from power residue codes 

15:40--16:10: 西村優作The average hitting times in a simple random walk and equitable partition 

16:20--16:50: 藤井直輝

16:50--17:20: 山口諒介,Jacobi polynomials for some codes

17:20--17:50: 瀬藤亞由菜,最小彩色数の期待値

391117日(金)

場所:61-405

時間:15:00--16:00

講演者:谷口哲至(広島工業大学)   


タイトル:

辺符号グラフのライングラフとその最小固有値による表現


アブストラクト

ライングラフやグラフの最小固有値の研究において、A.J.Hoffman, D.Cvetkovic, P.Rowlinson, S.Simic 達の研究がよく知られている。ライングラフの最小固有値は -2 以上であることが容易に確かめられる中で、-2 以上の最小固有値を持つグラフの分類や特徴付けが行われてきた。本講演ではホフマングラフの表現からくる自然な辺符号グラフ(edge signed graph)のライングラフの研究について、話します。


時間:16:10--17:10

講演者:盧暁南(岐阜大学)


タイトル:

非適応型グループテストのための組合せ構造について


アブストラクト:

グループテストは,大量の検体から少数の陽性検体を効率的に識別するため,複数の検体をグループにまとめてテストを行い,陽性検体の集合を推定する手法である.これにより,陽性検体が少ない場合にテスト回数を削減することができる.本講演では,非適応型のグループテスト,すなわち,すべてのグループ分けを最初に決めてから並行的にテストを行うことを想定し,そのための組合せ構造および符号・デザインとの関連について紹介する.また,時間が許せば,複数種類の陽性検体が存在する場合に対して,グループテストの組合せ構造についても触れる. 

38回 1117日(金)

場所:61-405

時間:13:10--14:50

講演者:粟田円佳(早稲田大学) 

タイトル:

小関多項式を用いた符号の被覆半径の計算


アブストラクト:

符号に対して被覆半径を求めることは、符号理論の大きな課題のひとつである。今回は、F_3上の自己双対符号の被覆半径の計算と、不変式論を用いた計算の工夫を紹介する。本講演の内容は、小関道夫先生の論文、原田昌晃先生、小関道夫先生、田辺顕一朗先生の論文が元となっている。 

第37回 10月13日(金)

場所:60-03-06 / zoom 

時間:15:05--16:35

講演者:田中優帆(早稲田大学)  

タイトル:Weighted cycle graph 上の乱歩における期待到達時間の解析

第36回 7月14日(金)

場所:60-301

時間:15:00--16:30

講演者:野崎寛(愛知教育大学)  

タイトル:Spherical analogue of the Galois theory of graph coverings

アブストラクト:

可換アソシエーションスキームの隣接代数において,隣接行列{A_i}と原子冪等元{E_i}は,それぞれグラフの隣接行列,球面有限集合のグラム行列と見なすことができ,A_iとE_iの隣接代数内でのふるまいを観察することで,グラフの性質と球面有限集合の性質のなかに類似物を見出すことが出来る。この類似の関係を,ここでは双対な関係とよぶ。例えば,固有値の値と2点間の距離の値,内周の大きさと球面デザインの強さ,グラフのcovering と部分集合が,それぞれ双対な関係にある。

Stark and Terras (1996,2000,2007)は,有限グラフとそのcoveringに対して,ゼータ関数,素数,ガロア拡大などの対応物を用いて,数論における諸定理の類似を得ている。本講演では,グラフのcoveringにおけるガロア理論の基本定理を取り上げ,それの球面双対版を提案したい。

グラフのcoveringにおけるガロア理論の基本定理は,ある特別なcoveringが性質の良い自己同型群を持っていて,その自己同型群の部分群と「中間」coveringとの対応を見るものだ。ここでのcoveringグラフの内周はもとのグラフの内周より小さくならないことに注意したい。coveringと部分集合,内周とデザインが双対な関係として対応していることを鑑み,群が可移に作用する球面有限集合の,互いに直交変換で写りあう部分集合への分割に,ガロア理論の類似を構築する。

本研究は,平尾将剛氏と田坂浩二氏との共同研究に基づく。

3577日(金)

場所:60-301

時間:15:05--16:35

講演者:内田圭亮(早稲田大学)  

Title: Brief introduction to Terwilliger algebra for graphs

Abstract: In this seminar, I'm planning to show basic definitions and notations of Terwilliger algebra (T-algebra), especially for graphs. Then, some results on trees are briefly explained. 

第34回 5月26日(金)

場所:60-301

時間:15:05--16:35

講演者:西村優作(早稲田大学) 

タイトル:Paley グラフの性質

第33回 5月12日(金), 19日(金)

場所:60-301

時間:15:05--16:35

講演者:鳥山怜愛(早稲田大学) 

タイトル:研究紹介と Riemann-Roch の定理について

第32回 2023年2月24日(金) 4月14日(金)となりました.

場所:オンライン

時間:16:30--18:00

講演者:風間皐希 (早稲田大学) 

タイトル:Private Information Retrievalと符号の関係

アブストラクト:Private Information Retrieval(以下,PIR)は,複数のサーバを利用した情報検索システムの一つである.このシステムでは,システムの各ユーザが情報検索を行う時に,ユーザの検索対象が何かというプライバシーを,システムのサーバー側に秘匿可能である.

Chorらは1995年にPIRを提案し,情報理論的・符号理論的に定式化・構成したが,2016年,SunらがPIRを新たに定式化・構成した.

近年,情報理論・符号理論の分野において,この新しい定式化の下でのPIRの研究が爆発的に増えている.

本発表では,主に2016年以降のPIRの基本的な説明について述べる.さらに,時間があれば,代数的符号の一つであるSmooth Locally Decodable Code(以下,SLDC)との関係について述べる.


第31回 2023年1月13日(金)

場所:61 号館 512

時間:16:30--18:00

講演者:西村優作 (早稲田大学) 

タイトル:サイクルグラフの Paley index について

30回 2022年1223日(金)

場所:60 号館 301

時間:16:30--18:00

講演者:Da Zhao (京都大学)

タイトル:The complex conjugate invariants of Clifford groups

アブストラクト:以下の pdf ファイルをご覧ください

Da_Zhao-abstract.pdf

第29回 2022年11月18日(金), 11月25日(金)

場所:オンライン開催

時間:16:30--18:00

講演者:Hyungrok Jo (横浜国立大学)

タイトル : Algebraic constructions of Ramanujan graphs and their cryptographic applications.

アブストラクト:

 An expander graph is well known as a ubiquitous object in various research areas, especially in computer science for designing communication networks. It is said to be a sparse, but highly connected graph. Ramanujan graph is one of the well-balanced objects with the sparsity and the high connectivity in a sense of spectral analysis.

 In this talk, we give an introductory of Ramanujan graphs and their cryptographic applications. In Day 1, we give some mathematical backgrounds for explaining algebraic constructions of LPS (Lubotzky-Phillips-Sarnak 88’) and LPS-type Ramanujan graphs. In Day 2, we introduce some cryptographic primitives (mainly on [Charles, Goren and Lauter 06]’s hash functions) and their security, constructed from the explicit constructions of LPS Ramanujan graph. 

第28回 2022年11月14日()

場所:61-5-12

時間:14:45--16:15

講演者:石川麗菜 (早稲田大学)

タイトル:Gneene の定理の一般化

時間:16:30--18:00

講演者:田中優帆 (早稲田大学)

タイトル:ヤコビ多項式とデザイン理論

第27回 2022年114日(金) (参加をご希望の方は,事前にご連絡ください)

場所: 60 号館 301 

時間:16:30--18:00

講演者:Cid Reyes Bustos  (NTT)

タイトル:Cayley-type graphs for group-subgroup pairs 

アブストラクト:

In this talk we give an introduction to a generalization of Cayley graphs for a pair of group and subgroup called group-subgroup pair graphs, or simply pair-graphs. The motivation for the definition comes from the study of certain analogs of the group determinant for group and subgroup pairs. In general, pair-graphs are not regular but the degree structure is related to the coset structure of the group and subgroup. 

One of the most interesting properties of the pair-graphs is that, in certain cases, the spectrum can be described in terms of the characters of the subgroup, mirroring the case of Cayley graphs. These results extend partially to the Laplacian spectrum and the Ihara zeta function. In particular, the explicit formulas for the eigenvalues may be useful for the computation and estimation of expansion constants or graph invariants like the complexity. 

In the talk we describe the main results related to the group-subgroup pair graphs, with examples and possible applications. 

第26回 2022722日(金)

場所:オンライン

時間:16:30--18:00

講演者:中島規博 (名古屋工業大学)

タイトル:ハミング重み多項式とコバウンダリー多項式の変換公式について

アブストラクト:

誤り訂正符号のハミング重み多項式は,復号化アルゴリズムの訂正可能な誤りビット数の評価に関する多項式である.一方で,超平面配置のコバウンダリー多項式は,交叉半順序集合の任意の要素の制限配置に対して,特性多項式を計算することで得られる多項式である.ハミング重み多項式とコバウンダリー多項式には,簡単な変換式が存在し,本質的に同じ多項式であることが知られている.本講演では,この変換公式を通してコバウンダリー多項式からハミング重み多項式を計算する方法と,今後の課題について説明する.

第25回 2022年7月5, 12, 19, 26日()

場所:対面

時間:7/5, 12, 19 16:30--18:00, 7/26 は 13:00--16:00

タイトル:有限保型形式の勉強会

第24回 2022年5月13日(金), 6月10日(金)

場所:オンライン

時間:16:30--18:00

講演者:木村直記 (早稲田大学) 

タイトル:Topological Tutte polynomials of ribbon graphs

アブストラクト:

A ribbon graph is an embedded graph into a surface.  A delta matroid is a generalization of a matroid in terms of bases.  A ribbon graph induces its delta matroid in the same way as the cycle matroid of a graph.  Topological Tutte polynomials are invariants of ribbon graphs or delta matroids.

In this talk, we first introduce definitions of ribbon graphs and delta matroids.  Then we introduce topological Tutte polynomials and observe their properties.  Finally we consider the relation between topological Tutte polynomials and (virtual) knot invariants.

第23回 2022年1月14日(金), 2月4日(金)

場所:オンライン

時間:16:30--18:00

講演者:Chong Zheng (早稲田大学) 

タイトル:離散モース理論とその応用について

アブストラクト:

 Introduced by R. Forman for the first time, discrete Morse theory is a combinatorial version of smooth Morse theory. The idea of discrete Morse theory is to collapse pairs of simplices with adjacent dimensions. 

 Discrete Morse theory has proven to be useful to study the topology of spaces. Also, applications of discrete Morse theory are miscellaneous in many areas, such as calculating the persistent homology and data analysis. In this talk, we will first introduce definitions and main theorems of discrete Morse theory from both topological and combinatorial perspectives. Furthermore, we will introduce some applications of discrete Morse theory. In the end, we will discuss about the relationship among multiple discrete Morse functions and classify them.

第22回 2021年123日(金), 12月17日(金)

場所:オンライン

時間:16:30--18:00

講演者:木村昭太郎 (早稲田大学) 

タイトル:保型微分方程式とその構成について

アブストラクト:

  保型微分方程式とは、解空間がある群に対する保型性を満たす微分方程式である。金子、Zagier氏らにより楕円モジュラー形式に対する保型微分方程式が初めて導入された。この微分方程式は保型形式解が超幾何級数を用いて記述できたり、頂点作用素代数への応用があるなど、整数論に留まらない興味深い対象である。このような保型微分方程式を他の種類の保型形式に対しても構成できるかというのは自然な問題である。

 本講演では保型微分方程式の先行研究について概説する。その後、講演者が得た、正則ではない保型形式である歪正則ヤコビ形式に対する保型微分方程式を紹介する。また、いくつかの種類の保型微分方程式は重さ2のアイゼンシュタイン級数にまで拡張したRankin-Cohen bracketを用いて統一的に理解できることを紹介する。

第21回 2021年10月15日(金)

場所:オンライン

時間:16:30--18:00

講演者:佐藤巌 (小山工業高等専門学校) 

タイトル:グラフのゼータ関数とその行列式表示

アブストラクト:

 グラフの伊原ゼータ関数とその拡張として、digraphのゼータ関数や、Bartholdiゼータ関数を取り扱い、それらの重み付き版、多変数版の行列式表示について述べる。また、無限グラフのゼータ関数、hypergraphのゼータ関数について概観する。最後に、グラフの第2種weightedゼータ関数の応用として、量子グラフや量子ウォークとの関連について述べる。 

20回 2021年101日(金)

場所:オンライン

時間:16:30--18:00

講演者:地嵜頌子 (大阪工業大学) 

タイトル:Spanning bipartite block designとその構成

アブストラクト:

実験計画では通常, 処理の集合とブロック(処理の部分集合)の集まりでブロック計画を構成するが, ここでは処理集合は単なる集合ではなく, その中に構造を持っている場合を考える. 完全二部グラフの辺を実験計画の処理集合とみなし, 辺に対応しているパラメータをより精度良く推定する統計モデルを考える. 新たなデザインとして spanning bipartite block design の定義を与え, その構成法や性質について述べる.

第19回 2021年8月6日(金)

場所:オンライン

時間:14:40--16:10

講演者:山田祐 (筑波大学) 

タイトル:格子凸多面体とその双対のEhrhart多項式の根の分布

アブストラクト:

 格子凸多面体とは頂点がすべて格子点である凸多面体のことである。格子凸多面体をk倍に膨らませたものに含まれる格子点の総数は、kに関する多項式で与えられ、Ehrhart多項式と呼ばれる。Ehrhart多項式の研究の中でもその根の分布が注目されており、特に反射多面体のEhrhart多項式はすべての根が実部-1/2の直線に関して対称に分布することが知られている。その中でも、Ehrhart多項式のすべての根の実部が-1/2である多面体をCLと呼び、どのような多面体がCLになるのか、という問題に関心がある。

 本講演では、Ehrhart多項式と出会うきっかけとなったPickの公式との関係から、主結果である低次元の反射多面体とRoot多面体に対するその双対との間のEhrhart多項式の根の分布について紹介する。最後に、今取り組んでいる順序多面体のEhrhart多項式の研究を紹介する。

時間:16:30--18:00

講演者:辻栄周平 (北海道教育大学) 

タイトル:単純グラフの彩色対称関数に関する予想と最近の動向について

アブストラクト:単純グラフの彩色対称関数とは,彩色多項式の対称関数による精密化であって,1995年に Stanley によって導入された.彩色対称関数に関して二つの予想がある。一つ目は Stanley と Stembridge による「(3+1)-free poset の incomparability graph の彩色対称関数は e-positive である」という予想で,二つ目は Stanley 自身による「彩色対称関数は tree の完全不変量である」という予想である.これらの予想は提唱されてから25年以上経つが,完全解決には至っていない.本講演では,これらの予想に対する最近の動向について紹介する.

第18回 2021年7月23日(金)

場所:オンライン

時間:16:30--18:00

講演者:野崎隆之 (山口大学)

タイトル:数論的挿入/削除訂正符号の符号語数

アブストラクトDNAストレージと呼ばれる次世代情報記録媒体では,保存されたディジタル系列を読み込む際に,系列の一部のシンボルを重複して読み込んだり読み飛ばしたりしてしまうことがあります.シンボルの重複読み込みや削除が生じた系列から元の系列を推定する方法として「挿入/削除訂正符号」と呼ばれる技術があります.本講演では,数論的符号と呼ばれる挿入削除訂正符号のクラスに対して,性能指標の一つである符号語数を導出する手法を紹介します.

第17回 2021年7月9日(金)

場所:オンライン

時間:16:30--18:00

講演者:入江佑樹 (東北大学)

タイトル:組合せゲームとデザイン 

アブストラクト: 

ゲームの必勝局面全体は特別な組合せ構造を持つことがある。例えば、Conway と Ryba はヘキサッドゲームの必勝局面全体が、Steiner system S(5, 6, 12) になることを示した。それでは一般に、必勝局面全体が与えられた Steiner system になるゲームは存在するのだろうか?本講演ではそのようなゲームが構成できることを紹介する。さらに、この構成から得られるゲームの局面数の分布を用いることで射影的 Steiner triple system が特徴付けられることや、最近得られた進展についても紹介する。 

第16回 2021年6月25日(金)

場所:オンライン

時間:16:30--18:00

講演者:田村駿也 (横浜国立大学)

タイトル:ウォーク/ゼータ対応の量子ウォークと相関付ランダムウォークの計算例

アブストラクト

量子ウォークにおいて最も研究されているグローヴァ―ウォークとゼータ関数は,今野-佐藤の定理により,結びついていることが知られている.Komatsu, Konno and Sato [1]では,今野-佐藤の定理を用いて,flip-flop型のグローヴァ―ウォークとその正台に対する一般化ゼータ関数と一般化伊原ゼータ関数の有限グラフの無限列の極限に関する明示的な式を与えた.さらに,Komatsu, Konno and Sato [2]では,今野-佐藤の定理を用いずともフーリエ解析の手法[3]によりd次元トーラス及びその列の極限において,ランダムウォーク,相関付ランダムウォーク,量子ウォークなどを含む広いクラスのウォークに対して,ゼータ関数が計算できることを明らかにした.これらの関係はウォーク/ゼータ対応と呼ばれている.今回の講演では,[2]で扱われているモデルの幾つかをさらに拡張したモデルに対して,ゼータ関数の計算を行ったので,その結果について紹介する.例えば,そのことにより,Inui and Konno [4]で研究されていたモデルにおける局在化の観点からの位置付けも明らかにすることができた.

参考文献:

[1] T. Komatsu, N. Konno, and I. Sato, Grover/Zeta correspondence based on the Konno-Sato theorem, arXiv:2103.12971v3 (2021).

[2] T. Komatsu, N. Konno, and I. Sato, Walk/Zeta correspondence. arXiv:2104.10287v2 (2021).

[3] 今野紀雄,『量子探索 - 量子ウォークが拓く最先端アルゴリズム』, 近代科学社, 2021.

[4] N. Inui and N. Konno, Localization of multi-state quantum walk in one dimension, Physica A, 353 (2005), 133-144.

第15回 2021年5月28日(金)

場所:オンライン

時間:16:30--18:00

講演者:平尾将剛 (愛知県立大学)

タイトルEnergy of random point configurations on the Hamming scheme

アブストラクト: 群の軌道としてできる球面デザインは構成点数が多くなる傾向がある.そこで例えば,Victoir(2004), Kuperberg(2006)では組合せデザイン,直交配列などの組合せ構造を用い,構成点数を削減する方法が提案されている.しかしながら,組合せデザイン,直交配列の存在性はパラメータに大きく依存し,非存在,もしくは未解決である部分が多く,いつでも彼らの方法を適用できるわけではない.

そこで講演者はこれら組合せ構造に「近い」構造を生成し,点数削減法に用いることができないかということを段階的に考えたい.本講演では,その手始めとしてハミングスキーム上の幾つかの確率点過程から得られるランダム点配置についてエネルギーの観点から,いくつかの数値計算結果を踏まえながら考察を与える.また,時間が許せば,ジョンソンスキーム上の同種の結果についても触れる.

第14回 2021年5月14日(金)

場所:オンライン

時間:16:00--17:30 (いつもと時間が異なります) 

講演者:嘉藤桂樹(東京工業大学)

タイトル:Interior polynomial for signed bipartite graph

アブストラクト:Tutte多項式はグラフの2変数多項式不変量であり、組合せ論において古くから研究されている。Kálmán氏は、このTutte多項式から発想を得た、超グラフの1変数多項式不変量である内部多項式を発見した。この内部多項式は、Kálmán氏とPostnikov氏によって、二部グラフの不変量になることが証明された。本講演では、内部多項式を符号付き二部グラフの不変量へと拡張する。拡張する過程で、二部グラフの内部多項式がその二部グラフから構成する根多面体のEhrhart級数で記述できることを説明する。また本講演の研究動機は、結び目の不変量であるHOMFLY多項式をグラフ不変量から求めることにある。符号付き二部グラフの内部多項式により、任意の結び目図式のHOMFLY多項式の一部分がそのザイフェルトグラフの内部多項式から求めることができる。最後に、HOMFLY多項式の新しい性質とその系である内部多項式の漸化式が得られることを説明する。

第13回 2018年6月29日

場所:琉球大学教育学部511室

時間:10:20--11:20

講演者:中空大幸(香川高専)

タイトル:長さ 48 の triply even code のサポートデザインについて

第12回 2016年7月16日(代数的組合せ論セミナー)

場所:山形大学地域教育文化学部2号館4階

時間:10:00--11:30

講演者:奥田隆幸(広島大学大学院理学研究科 数学専攻)

タイトル:コンパクト対称空間上の Delsarte 理論と球フーリエ変換

時間:13:00--14:30

講演者:栗原 大武(北九州工業高等専門学校 生産デザイン工学科 一般科目)

タイトル:複素グラスマン空間上のDelsarte理論と大対蹠集合

第11回 2016年6月30日(離散数理セミナーとの共催)

場所:理学部2号館5階521

時間:16:30--17:30

講演者:富安亮子(山形大学)

タイトル:同じZ, Q上表現を持つ実数係数の三変数二次形式について

概要:

Z, Q上で完全に同一な表現(つまり二次形式の値)の集合を持つ異なる二次形式に関して、得られている定理と計算結果を紹介する。もともと数理結晶学における計測の問題が動機であるため、実数係数まで考えるが、この場合、有理数係数二次形式のペアのsimultaneous representationの問題に帰着される。二変数の場合(Watson(1979, 1980), Delang (1982, 1987))と異なり、三変数の場合はまだ様々な問題が残っている。定理の証明には、議論を見やすくするため、Bhargavaによるquartic ringの

parametrizationを随所で用いたが、本質的には、代数的二次形式論・整数論の既存の方法でも実行可能と考えている。

ちなみにもともとの動機だった応用研究は、結晶学分野で利用可能な形で終了しており、観測誤差のある測定系においても、p進数を用いた数学が有効であることを示すことができた。

第10回 2016年3月1日(離散数理セミナーとの共催)

日程:3月1日

場所:地域教育文化学部 2号館4階 共通第一実習室

時間:10:30--12:00

講演者:東谷章弘(京都産業大学)

タイトル:整凸多面体のEhrhart多項式とδ列

概要:

整凸多面体をn倍に膨らませたものに含まれる整数点の個数はnに関する多項式になることが知られており、整凸多面体のEhrhart多項式と呼ばれる。また、Ehrhart多項式の母函数から定義される非負整数列はδ列と呼ばれ、Ehrhart多項式と同値な対象として、Ehrhart多項式を研究する上で代わりに扱われることが多い。本講演では、整凸多面体のEhrhart多項式やδ列の基本的な事柄から始めて、δ列の分類や整凸多面体の分類などに関する最近の研究について紹介する。

第9回 2016年2月23日(離散数理セミナーとの共催)

日程:2016年2月23日

場所:地域教育文化学部 2号館4階 共通第一実習室

時間:15:00--16:30

講演者:八森正泰(筑波大学)

タイトル:Shellabilityに関連する性質とhereditary property

概要:単体的複体のshellabilityという性質とそれに関連するいくつかの性質、特にCohen-Macaulay性やpartitionabilityとの関連について、基本的な共通する性質や相違点、階層性、などを紹介する。また、これらの性質に対してhereditaryを付加した場合、つまり、各頂点部分集合へ制限したものについてもその性質を要求した場合の状況についての紹介も行いたい。

第8回 2015年3月23日(代数的組合せ論セミナー)

場所:山形大学東京サテライト501A

14:00--15:00 早坂亮太(山形大学)

     「新しい格子不変量」

15:10--16:10 木村真帆(山形大学)

     「A_2-格子の完全マッチングの総数」

16:20--17:20 長瀬俊記(山形大学)

     「Seymour Graphの特徴付けに関する総合研究報告」

第7回 2015年3月16日-17日

場所:地域教育文化学部2号館4階共通第一実習室

講演1

時間:16日は14:40--17:50,17日は10:30--12:00

講演者:竹森翔(北海道大学)

タイトル:「Sageにおける次数2のジーゲル保型形式の計算について」

アブストラクト:

フリーの数式処理ソフトの一つである Sage では,1変数の保型形式(楕円保型形式)の計算はビルトイン関数でできるが,ジーゲル保型形式のような多変数の保型形式の計算は 外部のパッケージを使わなければできない.講演者は,研究のために,次数2のジーゲル保型形式のための Sage のパッケージを作った.これらの講演では,Sage で次数2のジーゲル保型形式の計算するために必要な知識,例えば,ジーゲル・アイゼンシュタイン級数のフーリエ係数や,微分作用素によるジーゲル保型形式の構成,ジーゲル保型形式たちがなす環や加群の明示的な構造などについて,できるだけ証明や具体例を交えながら話す予定である.

講演2

時間:17日13:00--14:30

講演者:小関道夫(山形大学)

タイトル:「Siegel modular form に関わるいくつかの壁について」

アブストラクト:

壁:打破することが望ましい障害もしくは問題

(1) degree (genus) g の Siegel modular forms の weight k に関する graded ring M_g =¥oplus M(g,k) の構造決定

  (i)   g=1     M_1=C[E_4,E_6] 

  (ii)  g=2     Igusa

  (iii) g=3     Tsuyumine

  (iv)  g¥geq 4 unknown

(2) M(g,k) の次元公式 

g¥leq 3 までは望めばどの weight k についても得られる。g¥geq 4 では低い weight k についてしか判っていない。

(3) g¥leq 2 までは M(g,k) の explicit basis も望めば手に入る。またそれらの関数のフーリエ係数も知ろうと思えば計算できる。 g=3 のときは、未だ完全に判っていない。さらに次のような副次的困難もある。M_3 は Eisenstein series だけでは生成されていない。従って真の生成元はどのように定められるか。そしてそれらのフーリエ係数も計算できるか。

(4) Siegel modular form の理論はその発生からして、2次形式の理論と密接な関係を持つ。

  (i)  reduction thery of quadratic forms

  (ii) even unimodular forms

これらについて 2、3 の問題に触れる。

(5) arithmetical problems in the theory of Siegel modular forms

第6回 2015年3月7日-8日

時間:7日は14:40--17:50,8日は8:50--12:00

場所:地域教育文化学部2号館4階共通第一実習室

講演者:北川真也(岐阜工業高等専門学校) 

タイトル:有理ファイバー曲面とモーデル・ヴェイユ格子

アブストラクト:

有理曲面 X が代数曲線束 f:X¥to P^1 をもつとき, 組 (X, f) を有理ファイバー曲面と呼ぶ. f の一般ファイバーの種数 g は 1 以上で, f は切断をもつと仮定する. 以上の設定に限定して, モーデル・ヴェイユ格子の理論を紹介する. f が相対極小ならば, X のピカール数は 4g+6 以下であるが, ピカール数が丁度 4g+6 の場合のモーデル・ヴェイユ格子について, 分類の進捗状況を報告する.

第5回 2013年7月9日(火)(離散数理セミナーとの共催)

場所:山形大学地域教育文化学部2号館3階数学実習室

時間:16:30--18:00

講演者:山崎義徳(愛媛大・理工学研究科)

タイトル:Ramanujan circulant グラフについて

概要:Ramanujan グラフとは、隣接行列の (絶対値に関する) 最大非自明固有値が理想的に小さい (言い換えれば連結度が高い) グラフのことである。Ramanujan グラフは、対応する伊原ゼータ関数が Riemann 予想を満たすなど、グラフ理論だけでなく数論的にも非常に興味深い対象である。本講演では、与えられた次数を持つ circulant グラフ (巡回群の Cayley グラフ) がいつ Ramanujan グラフになるかという問題を (次数がある程度大きい場合に) 考察し、この問題には Hardy-Littlewood 予想、Bateman-Horn 予想といった素数に関する予想が深く関係することを説明する。これは愛媛大学の平野幹氏、堅田晃平氏との共同研究である。

第4回 2013年6月17日(月)(離散数理セミナーとの共催)

場所:山形大学地域教育文化学部2号館3階数学実習室

時間:15:00--16:00

講演者:三枝崎剛(山形大・地域教育文化学部)

タイトル: アイゼンシュタイン多項式とゼータ多項式

概要: アイゼンシュタイン級数の有限世界での類似物の一つの候補が,アイゼンシュタイン多項式であり,アイゼンシュタイン級数の持つ良い性質を多く受け継いでいることが,大浦学氏(高知大)によって確認されている.一方,ゼータ多項式とは,代数曲線のゼータ関数をアイデアとして,斉次多項式に対して定義され,その零点配置に関するリーマン仮説類似の成立・不成立が非常に大きな問題である.しかし現在まで,リーマン仮説類似の成立が確認された例は,それほど多くない.

本講演では,アイゼンシュタイン多項式とゼータ多項式の,新たな関係を指摘する.

時間:16:10--17:10

講演者:奥田隆幸(東北大・学振PD)

タイトル: Hopf 写像を用いた S^7 上の球面デザインの構成について

概要: d-sphere S^d 上の t-デザインの構成に有効な方法の一つは,(d-1)-sphere S^{d-1} 上の t-デザインと, ある重み関数 w_d についての閉区間 [-1,1] 上の t-デザインを``掛け合わせて'',S^d 上の t-デザインを構成するという手法である([Rabau--Bajnok, J. Approx. Theory (1991)],[Wagner, Monatsh. Math. (1991)]).更に, Bondarenko--Viazovska [J. Approx. Theory (2008)] らは上記の手法の一般化として, d-sphere 上のt-デザイン,d'-sphere 上のt-デザイン, 及びある重み関数 w_{d,d'} についての閉区間 [-1,1] 上の t-デザインが与えられたとき,これらの``掛け合わせ'' として (d+d'+1)-sphere 上の t-デザインが構成できることを示した.

上記の二つの構成法で核となっているそれぞれの幾何学は,``ほぼ S^{d-1}-bundle'' となっている高さ関数 S^d -> [-1,1] と,それの一般化として得られる ``ほぼ S^{d}-bundle''

S^{d+d'+1} -> S^{d'} × [0,π/2] である.本講演では, S^3-bundle である Hopf 写像 S^7 -> S^4 に注目し,上記の類似の結果として, S^3 上の 2t-design と S^4 上の t-design の``掛け合わせ'' として S^7 上の 2t-design を構成する方法について報告する.

第3回 2013年2月27日(水)-28日(木)(離散数理セミナーとの共催)

時間:27日は14:30--16:30, 28日は10:00--12:00

場所:山形大学理学部521

講演者:入江佑樹(千葉大学)

タイトル:Maya games と Steiner systems と Greedy codes

第2回 2012年3月1日(組合せ論セミナー) アブストラクト

場所:大分工業高等専門学校 情報教育ゼミナール室

 

10:00-10:50 秋山献之(福岡大学)

     「GH(u,\lambda)の構成と分類」

 

11:10-12:00 野崎寛(東北大学)

     「有向グラフと複素球面上のコード」

 

13:30-14:20 大浦学(高知大学)

     「モジュラー形式としてのE-多項式」

 

14:35-15:25 小笠原健(九州大学)

     「重さ1のエータ商と虚2次体のイデアル類群」

 

15:40-16:30 須田庄(東北大学)

     「複素鏡映群の軌道から得られる複素球面上のデザインについて」

第1回 2011年12月20日 

場所:大分工業高等専門学校 図書館

時間:15:00--16:30 

講演者:奥田隆幸(東京大学)

タイトル: コンパクト Gelfand 対の等質空間上のデザイン

アブストラクト: G をコンパクトなリー群, K を G の閉部分群であって, (G,K) が Gelfand 対であるようなものとする (有限群も離散位相をいれて, コンパクトなリー群とみなす). 本講演では等質空間 G/K を考え, G/K 上の点配置に対するデザインの概念を定義する. このデザインの概念は, (G,K) = (S_n, S_i ¥times S_{n-i})(S_n は n-次対称群) の場合には組合せデザインの拡張概念となっており, (G,K) =(SO(n), SO(n-1)) の場合には球面デザインの拡張概念となっている. また, これまでによく知られているデザインの理論では, Fisher 型不等式と呼ばれるデザインの下限が重要であった. 本講演でも, G/K 上のデザインに対する Fisher 型不等式について, これまでの研究で得られた結果を述べたい.