運転時の人間の精神負担のモニタリングシステムの開発に関する研究を実施しています.生体信号の中でもセンサ装着のストレスが比較的少ない眼球運動に着目し,精神負担を定量化する手法を提案しています.
Virtual Reality(VR)を応用した官能評価によって,実物での評価をVRで代替し,試作回数を削減することを目指しています.図の例では,車室空間の広さ感をVRで評価しています.
人間工学的設計を効率的に行うことを目的として,デジタルヒューマンモデリング(DHM)の応用が注目されています.DHMは人間の特性をコンピュータ上に再現したもので,身体の自重や外力に対抗して姿勢を維持するために必要となる関節モーメントを使って身体負担をシミュレートします.自作の簡易DHMソフトや商用のDHMソフトを使用し,人間の身体負担を最小化する作業環境や製品の設計手法を研究しています.
実験による身体負担評価の代表的な評価指標として筋電図が挙げられます.筋電図は筋活動を電気的に捉えたもので,筋がどの程度活動しているかを定量的に評価することができます.作業時や製品使用時の筋電図を取得し,作業条件や製品の種類が身体負担に与える影響を検討しています.また,取得した筋電図データの応答曲面(近似関数)を作成して最適化を行うことで,筋負担が最小となる作業環境や製品を決定する手法を提案しています.
比較的低い負荷であっても持続時間が長いと筋骨格系障害の発生リスクが高まることが知られています.そこで,負荷の持続時間や休憩の間隔が疲労感に与える影響の定式化について検討を行っています.また,長期的な疲労の評価には身体負担の継続的モニタリングシステムが必要であることから,そのための要素技術(ウェアラブルデバイスによる発揮力推定や少数のセンサによる姿勢推定)の開発を行っています.