Research

「つかえる人工細胞をつくる」vs「細胞はなぜ作れないか?」vs「じゃあロボットから攻めようそうしよう」→下から目線で世界をかえよう

使える人工細胞をつくる

細胞が生きている37℃の水中,それは楽に働ける環境でしょうか? 多種多様な分子が水やイオンと常に衝突を続ける非常に特異な空間です.我々は,そんな条件で活動する人工的な細胞モデルの構築を行います.具体的には,リポソームと呼ばれるリン脂質小胞の内部にタンパク質合成系を封入したモデルを構築し,その機能解析を行います.リポソームには膜しかないので,その機能化を考えることができます.プラモデルを改造する感覚に近いかもしれません.膜タンパク質の生成と機能の制御は、すべての生き物にとって、細胞の内外をつなぐ重要なものです。我々は細胞の「内⇔外」の物質/状態の架け橋である膜タンパク質に着目し,その機能が膜の模様や形によって制御できるかどうかを解明します.その結果,生きた細胞と物質や状態をやり取りする機能を持つ人工細胞モデルの構築を目指しています.このモデルは新規な薬剤輸送システムなどの分野での活躍が期待出来ます.一方で,自己複製能をもつRNAを材料とした人工細胞モデルの構築も行っています.こうした研究を通じて生命を知る,生命に効くモデルを提供してゆきます.

細胞はなぜ作れないか?

細胞は究極の機械である,とよく言われます.しかし,現存するすべての細胞は「親」から生まれています.どうすれば,その究極の機械を親からではなく「新たに」作り出すことができるでしょうか.その問いに答えるために,細胞をパーツから再構成する試みを行っています.細胞をつくることが出来ない理由を理詰めかつ実験的に突き詰めてゆくことで,つくり方を学び,利用します.

細胞を構成する部品(分子)の知識とその操作可能性が飛躍的に高まった現在,生命と機械とは相反する概念でなく,小さく柔らかい機械の統合システムが生命であるといえましょう(最も高いハードルは,設計にあると考えられます).

本研究室では,今ある生命に敬意を払い,不可能と困難をあぶり出し,一歩ずつ理解し,工作の仕方を考え,動くものをつくってゆくという挑戦を行います.

→これがあらぬ方向へ...

細胞が示す多彩な機能の部分的再構成(In vitro)研究が長足の進歩を遂げた一方,それらをいかにして統合するか,という問題の解決は生命工学の大きな目標の一つである.本研究では,我々が独自に開発した細胞サイズリポソーム内に細胞内小器官を導入する手法を基盤とし,細胞内小器官が機能する新しい人工細胞モデルシステムを創出する.このモデルは生細胞から抽出・精製された細胞内小器官群と,細胞抽出液を封入したユニラメラリポソームから構築されている.すなわち,細胞内小器官が担う反応系(代謝・エネルギー生産)が,リポソーム全体の機能として組み込まれることが可能となる.本研究により,パーツごとに明らかになった細胞の動作原理を組み合わせて包括的に検証可能な新規准人工細胞モデルを構築する.

じゃあロボットから攻めようそうしよう

とはいうもののつかえるものも細胞もなかなか出来ないじゃないか,それと教育現場としては優秀な学生を送り出さなければならないわけで,コツコツと組み上げていくならそれはロボットだろう,ということでロボティクス専攻らしく分子ロボットを組んでいます.動くものをつくって制御するところから高機能化を目指してゆきます.

...というわけでちょっぴり動かしたり止めたりするやつができたので,

下から目線で世界をかえていきましょう.

研究テーマ:

・最深部に潜るよ!(←New!)

・アメーバつくるよ!→できたよ!(いやまだまだだけど発表したよ!新学術領域の皆々様のご尽力と叱咤激励によって佐藤くんがやってくれました!)

・高次構造制御による膜タンパク質機能発現リポソームの構築(JSTさきがけだった→いろいろ発表済)

・Re:BIRTH パーツから細胞を再構成する(JSTさきがけだった+JSPS(藤原)→2013年,成果↑↑)

・DNAナノテクとリポソームの融合による新奇分子ロボットの創成(基盤S「分子ロボティクス」,新学術「分子ロボティクス」分担→学生が躍動している)

・RNAVesicle:自己複製し境界の自己決定性を示すRNA分子群(挑戦的萌芽だった→ぼちぼち発表していっている)

その他(生命の再起源,非平衡状態にある分子群による創発的運動etc...すごいんだけど生物じゃない,そういう機械を作りだしたい)

2016あたり: