SONIC 藤井 康広
2014 年12 月18 日
InterBee 2014 (2014年11月18日(水)~20日(金)開催) レポート
最新音響器材に触れて見て聴いてきました
毎年開催されているInterBEE。映像や音響に関する最新の機材たちが展示される国内では最大規模のイベントが50周年と言う事でレポートをしてきました。
INTERBEE 2014 レポート
最新音響器材に触れて見て聴いてきました
音響の話や照明の話をしているとどこかで必ず出てくるInterBEE と言うイベント。
音響屋として活動し始めて、様々な先輩方、メーカーの方々に参加した方がいいとの話を頂いていた事もあり、今回、秋田県音響技術者協会の一員として参加をしてきました。
ラインアレイスピーカーとデジタルミキサー
今回参加したのはラインアレイスピーカーの試聴会も開催されていた20 日。会場についてみると各社の最新機材がずらりと並んでいました。音響関係の機材が並ぶ1番ホールを歩くとまず目に入るのが各社から販売されているラインアレイスピーカーとデジタルミキサーでした。予想はしていましたがアナログミキサーの展示は少数で、展示されているものも小型のミキサーとなっており、いよいよデジタルミキサーが一般化したのだなぁと感じさせられました。
アナログミキサーであればどんなメーカーの物でもある程度同じような配列と役割がノブやフェーダーに割り当てられているので、たとえ初めて触る機材でもインプットとアウトプットさえ間違わなければ何とかなるような気がしますが、今回様々な機材を実際に触ってみて感じたのはやはり各メーカーの操作性の違い。大きさやスペックではなく、どこをどうやって調節するのか、そしてそれはどのノブやフェーダーで行うのか。当たり前のことではありますがまったくバラバラで慣れが必要ですが、画面の見やすさが増していてより視覚的に、直感的に操作ができるよう工夫されていました。
そして音響系ブースでひときわ目立っていたのがラインアレイスピーカーの多さでした。各社ラインナップの中にコンパクトアレイを出してきているのが印象的でした。音響を必要とする現場やイベントの大小を問わず、いわゆるプロの音響屋が関わる現場は一般的に見慣れたフルレンジスピーカーでは無く、ラインアレイ一色になる日も近いのかと想像してしまいました。そうなってくると2人・3人でよっこいしょと組み上げていく物ではなく、1人で設置できるコンパクトサイズが欲しいのもわかります。
ラインアレイ試聴会で驚かせられたのは、音をどうやって全体に、均一に、高音質で飛ばしてやるかと言う物でだけでなく、どこの人にどんな音を届けるのかと言う事まで調整していくアプローチの仕方。
余談ですがあるメーカーのブースで話しかけられたので、物を見て「ラインアレイに興味があります」と言ったら「うちのはラインアレイじゃない!」と憤慨されてしまいました。確かに単にラインアレイの構造や見た目をしているのではなく、プロセッサーによる緻密な計算を反映して個々のスピーカー音を変化させる物もあり、吊り込まれた物の角度や場所を一切変えず、音の方向を変える事が出来たり、もはや角度をつけなくてもいい物まであったりと、形として見えない音をよくぞここまで操作出来たもんだと感動しました。
こうなってくると気になるのはシステム構築で、やはりラインアレイの性能を引き出すためのプロセッサー付きの専用アンプと言う事になっていて、既存の「適切なパワーのアンプがあればスピーカーは鳴る」と言った単純理解できる機械的な物ではなく、かなり内部電子的な話でスピーカーが制御されていると解釈した方がいいような気がしました。スピーカーの性能を100%出すため、メーカーごとに自社やグループ企業のアンプとセットになっているパターンが多く、前出のデジタルミキサーも合わせて考えると、音の入り口から出口まで揃えられたシステムになっていくと少し窮屈だなぁと思わされたりします。
今回写真の撮影係として音響業務には一切かかわりの無い人物を同行させてみました。これは音響屋が音響屋の視点で見てしまう物ではなく、私たち音響業務に携わる者が商売をさせていただくお客様の目線では、音響の機器はどう映るんだろう?何を写真に収めるんだろうと言う実験的なものでしたが、なんの指示もしていないのに写された画像はラインアレイ、そしてデジタルミキサーがほとんどでした。そして各社のラインアレイの音を視聴し、音響機器がこんなに凄い技術で動かされているなんて知らなかったと感想を頂きました。
本来の目的からは少しずれてしまうかもしれませんが、一般の人、つまりお客様が見てわかる音響と言うアプローチも重要になってきているように思います。見るからに凄いのが分かるデジタルミキサーと、ラインアレイの組み合わせは、今後お客さまから求められる最低ラインになってくるのではないかと思います。個人でやっている私のような音響屋には少し恐ろしい未来予想ではありますが、コンパクト、ウルトラコンパクト等と銘打った商品群が今後さらに増えていけば、ありえない話ではないように思えます。
世界の最新音響機器、映像機器がたくさん展示されるINTERBEE に初めて参加しましたが、今回は音響のみ重点的に見ましたが、映像系のブースがとにかく多く、少し圧倒されました。また参加することがあれば今度は会場全体を回ってみようと思います。
以上