Research
研究内容
以下のテーマで主に研究しています(した)。
・野生動物の個体群動態と保護管理に関する研究
・植物-植食者系における表現型可塑性がもたらす相互作用
・増えすぎた在来・外来生物が生物間相互作用にもたらす影響
1. 食草の質の変化に対するジャコウアゲハの可塑的な休眠性
オオバウマノスズクサを利用するジャコウアゲハは、質の悪い葉を与えると、幼虫の発育が遅れるだけでなく、高い割合で蛹が休眠に入ります。 夏の条件であっても休眠に入ることは、季節的な餌の質の低下を回避する戦略と考えられます。
(関連業績)Takagi & Miyashita (2008) Annals of the Entomological Society of America 101:392-396
(参考) 『ジャコウアゲハの変態』高木俊、谷川明男(動物行動の映像データベース)
2. ニホンジカの採食が植物を介して植食性昆虫に与える影響
シカなどの草食獣の採食は植物への直接的な影響だけでなく、それを利用する昆虫にも植物の量や質を介して間接的な影響をもたらします。 こうした間接効果は昆虫に負の影響をおよぼすことが一般的ですが、その影響はスケールに依存して変化することを明らかにしました。
(関連業績)Takagi & Miyashita (2014) Population Ecology 56:435-445 Takagi & Miyashita (2015) Journal of Animal Ecology 84:1657-1665
3. 海浜生態系におけるセアカゴケグモの侵入プロセスとその影響評価
生息地の人為的改変は、それ自体が在来種に負の影響をもたらすだけでなく、外来生物の侵入など別の影響が顕在化する場合があります。 人工的環境を好むセアカゴケグモに関して、護岸された砂浜における侵入、在来種への捕食、外来植物上での営巣など、従来知られていなかった生態系への影響を明らかにしました。
(関連業績)Takagi, Toki, Yoshioka (2016) Applied Entomology and Zoology 51:43-51
4. 湖沼における陸域-水域相互作用と水生植物の関係
湖沼の沿岸の陸域-水域の境界には水生植物帯が発達しますが、その種類の違いや季節的変動は陸域-水域の生物の移動にも影響することが考えられます。 湖沼沿岸に発達する、浮葉・抽水植物群落やそれらに隣接するヤナギ群落において、水生昆虫や捕食者の動態を調査しました。
(関連業績)Takagi et al. (2019) Limnology 20:13-19