商社九条の会・東京 アピール

「商社九条の会・東京」 2014年アピール

「集団的自衛権」行使容認の閣議決定に抗して

私たち商社に働く(働いてきた)者が先の大戦後堂々と経済活動をすることができたのは、日本国憲法の平和的条項(前文、九条等)の存在があったからです。それにもかかわらず、21世紀初頭に日本はイラクに派兵し有事法制が強行されてしまいました。そうした動きへの異議申し立てとして、私たちは、日本国憲法を学びあい理解しようと2005年5月に商社九条の会を結成し、これまで30回を超える講演会、学習会を重ねてきました。

その結果、国民主権、恒久平和主義、国民が国家権力を規制する立憲主義、基本的人権の尊重など日本国憲法の基本理念を真に実現する必要こそあれ、仮に改変を加えるようなことがあろうとも、この理念に逆行するような変更はあってはならないとの確信を持つに至りました。

しかしながら、今、日本国憲法を取り巻く環境は重大危機に陥っています。

戦後内外に築いてきた(ありがたい誤解も含めて)平和国家としての日本の信用は安倍晋三首相により一気に投げ捨てられ、戦争のできる国へとリードされようとしているのです。

それを是とする財界、行政機関はもとより、マスコミ(一部の良心的マスコミを除いて)までもが戦前の大政翼賛会を彷彿させる動きに終始していることに言い知れない怒りと不安を覚えます。

私たちはこの危機的な事態に臨んで、ともに改憲の動きに反対し、憲法を守り活かす道を選び取ることを、みなさんに訴えたいと思います。

安倍首相はこの間、特定秘密保護法の強行採決、国家安全保障会議の設立、武器輸出緩和と改憲への道を開きました。同時に、国による教育の支配強化、靖国参拝、戦争責任の見直し発言、「領土問題」など近隣諸国とあえて緊張状態を作り出しつつ、世論を「戦争できる国」へと誘導してきました。特に、大きな反対の声に耳を傾けることなく、立憲主義を踏みにじって、7月1日に集団的自衛権行使容認の閣議決定を強行したことは、日本の歴史に汚点をのこす違憲行為であり、断じて容認できません。

私たちは閣議決定の撤回を求めます。また、集団的自衛権行使のためのすべての法改悪に反対します。すでに、「周辺海域で米国軍軍用機が北朝鮮による攻撃を受けた場合」と具体的な例で、集団的自衛権行使により自衛隊を殺戮に参加させる目論見を示していることは、日本が再び戦争をする国に変わっていくことを表しており、近隣諸国との平和・友好関係を危うくしています。何よりも、報復の連鎖で多くの尊い人命が失われている世界の現状から、私たちは憲法9条を活かすこと無くして平和な未来はないと考えます。

また原発輸出、再稼働しかりです。福島第一原発事故の処理にめども立てぬまま他国へ輸出し原発を稼働させることなど許されません。「核のゴミ」は核兵器の材料でもあり、九条の精神に背きます。地球環境に及ぼす影響も甚大です。

日本国憲法前文はいみじくも「全世界の国民がひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有する」とうたい、「日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達することを誓う」と結んでいます。

我々はこの現状を日本国民の危機と認識し、あらためて日本国憲法の理念を守るべく、声をあげ、行動することを、みなさんによびかけます。

                  商社九条の会・東京    2014年 8月15日


「商社九条の会・東京」 2006年アピール

 商社で働く(働いてきた)私たちは、国際的な経済交流を通して社会に貢献したいと願ってきました。 それには何よりも平和が大切であると実感しています。

 先の大戦後、私たちが堂々と商社活動をすすめることができた背景には、アジアの人々に大きな犠牲を強い、みずからも広島・長崎・沖縄・東京そして各地で多大な被害をうけた日本が「平和の国」「戦争をしない国」として生まれ変わったことを示す日本国憲法の平和的条項(前文・九条等)の存在があります。

 しかしながら、この憲法に照らして疑義のあるイラク派兵を機に政財界は呼応する形で、次々と改憲をすすめる案と日程を発表し、手続きとしての国民投票法案も上程され継続審議になっています。

 平和を願う私たちは九条の意義、そして改憲によって日本はどうなるのかを真剣に考えるときだという思いから、昨年5月「商社九条の会・東京」を結成し、講演会や学習会、交流会などの活動を続けてきました。また、この二年間で日本各地の市町村や職場・職業グループなどで五千を超える「九条の会」が生まれています。

 中東では武力行使の連鎖で多くの人命が失われ、一方、北朝鮮のミサイル発射など一連の行為は近隣諸国を不安に陥れています。私たちは紛争を武力で解決しようとする考え方には大きな疑問を感じます。

 「商社九条の会・東京」は、世界と日本の平和を実現するために憲法九条を学び、理解を深めることを目指します。

 さまざまな意見、考えをお持ちの方々の会への参加を呼びかけます。

                  2006年7月27日