第51回 ダイヤのお竜 【私のカルト映画】

Post date: 2015/01/02 12:18:14

【私のカルト映画】 ダイヤのお竜

「カルト映画」とはご存じのとおり上映されることは殆どないし、知る人も少ないけれどコアなファンが居る映画のことです。検索すると結構な「名作」もカルト映画だとされていました。それなら私なりに思いつくままに選んでみようと思いたって、選んだのが以下。みなさんなら何を選びますか。

私が一番に「ふろたき大将」・1955年。5年生の時に小学校の講堂で鑑賞した思い出深い映画。東映教育映画の第一作目で石橋蓮司のデビュー作でもあり、主人公のふろたき大将を演じています。「勉強ができなくても、ふろたきが上手ならそれも立派なこと」と、私に「人間の見方」を教えてくれた映画でしたが、あれから50年以上たって再見すると、なんと映画の舞台は広島の似の島の児童施設で、ふろたき大将(石橋)は原爆孤児だったとわかり、ほんとうに驚きました、今観ても「教育とは何か」を考えさせられる名作です。でも、観たという同期生にまだあっていない。なぜ?不思議です。②に「十三人の刺客」1966。アラカンと片岡千恵蔵という二大チャンバラ・スターが若手俳優と競演している映画。スター映画がもう成立しなくなってからの群集時代劇ですが、「七人の侍」もびっくりの「殺陣」場面が凄い。③には「狼」1955。乙羽信子、殿山、浜村純らが扮する貧しい保険外交員たちが、戦後の生活難に行き詰まりサギを働くという、実際に起こった事件を元にした新藤兼人作品。当時の様相がつぶさに描かれていて必見。④「薄桜記」1959・・私は勝新太郎のほうが雷蔵より好きなのですが、これは二人の共演作。愛を描いた時代劇の名作。⑤「大地の侍」・1956。これぞカルト映画。大友柳太郎主演・佐伯清監督の、朝敵となり追われて北海道開拓に苦闘した東北藩の人びとを描いた感動作。⑥「車夫遊侠伝 喧嘩辰」1964「骨までしゃぶる」1966は、2作ともに、私の大好きな加藤泰監督が彼のミューズ・桜町弘子を主演に迎えての作品。笑わせながらスカッと社会批判もアリの隠れた名作。⑧「ゆきゆきて、神軍」1987は「やらせかドキュメンタリーか」で物議をかもした作品。天皇の戦争責任を追及して鬼気迫る迫力。

私は初見で腰を抜かしました。⑨「少年」・1969は、食わず嫌いだった大島渚作品でしたが、新文芸坐で大島特集をした時にご本人のトーク付きでこの作品を観て、感動。犯罪を描くことで社会を凝視した彼の本領が発揮された秀作。⑩「阿波根昌鴻・伊江島のたたかい」(記録映画)・1999は唯一日本で戦場となった沖縄と沖縄の戦後を描きながら、ほんとうに美しい人間とはどのような人物かを阿波根昌鴻さんを通して教えてくれる心洗われるドキュメンタリー映画。

つづけて、⑪「日本の青春」・1968(小林正樹監督の反戦の名作。藤田まこと主演作。) ⑫「たけくらべ」・1955(五所平之助監督・美空ひばりが美登利。山田五十鈴、岸恵子が共演の垂涎物) ⑬「太陽のない街」・1954(高校時代に学園祭で初見。感動。大人になってみても感動。たたかう人の美しさ) ⑭「沓掛時次郎 遊侠一匹」・1966(何とも哀切な映画。中村錦之助と寅さん直前の渥美清がいい。) ⑮「青春デンデケデケデケ」・1992(この映画を日本の「スタンド・バイ・ミー」たらしめている岸部一徳の名演。) ⑯「太陽を盗んだ男」・1979(原発からプルトニュウムを簡単に盗む沢田研二。伊藤雄之助の怪演が見もの。文太、ジュリーの競演もいい。) ⑰江分利満氏の優雅な生活・1963(山口瞳、岡本喜八世代の反戦の思いを同世代の小林桂樹が演じて秀逸。) ⑱浪華悲歌・1936(ご存じ山田五十鈴!私の中ではナンバーワン。なんと19歳でこの芝居。)⑲けんかえれじい・1966(美術監督の木村威夫さんと鈴木清順監督、そして脚本の新藤兼人さんに敬意を表して)。

最後に挙げるのがアメリカ映画の ⑳「ある日どこかで」1980。「薄桜記」と並んで私の中の「愛の映画」の双璧。「スーパーマン」のクリストファー・リーブとジェーン・シーモア共演。二人とも美しい。

こんな風に書いているだけで楽しくなってくるのが映画。

「お正月は映画に行きませんか?」

そういえば、これって最後の頃の寅さん映画のラストシーンでさくらと博が言っているセリフでしたね。