1983年（昭和58年）1月21日
13-14世紀フランス王国、国王統治制度の研究
13-14世紀南仏ビテロワ地方、村落共同体の研究
後期中世フランスでは、パリの王権（中央政府）を中心とした制度的領域国家が徐々に生起する中、領主制の枠組みが弱まり、地方の村落共同体（基礎自治体）は広範な自己決定権を獲得し、これを行使していた。現代日本の対蹠点にあるこの時空間を対象に、地に足つけて国家現象を捉え、村落住民の生きた世界を再構成したい。王国というマクロコスモスと村落というミクロコスモスを同時に視野に入れた研究を目指している。
1998年4月 徳島県立城北高等学校 入学
2001年3月 同高校 卒業
2001年4月 東京大学教養学部文科III類 入学
2003年4月 同大学文学部歴史文化学科西洋史学専修課程 進学
2005年3月 同課程 修了
2005年4月 同大学大学院人文社会系研究科欧米系文化研究専攻西洋史学専門分野修士課程 入学
2007年3月 同課程 修了
2007年4月 同大学大学院人文社会系研究科欧米系文化研究専攻西洋史学専門分野博士課程 入学
2008年4月 同大学文学部西洋史学研究室ティーチング・アシスタント（～2009年3月）
2008年4月 日本学術振興会特別研究員DC2（～2010年3月）
2010年10月 トゥルーズ第二大学歴史・美術史・考古学専攻中世研究専門分野修士課程 入学
2012年9月 同課程 修了
2012年10月 同大学「時間-空間-社会-文化」博士課程歴史学専攻 入学
2013年3月 東京大学大学院人文社会系研究科欧米系文化研究専攻西洋史学専門分野博士課程 単位取得満期退学
2017年11月 トゥルーズ第二大学「時間-空間-社会-文化」博士課程歴史学専攻 修了
2018年4月 青山学院大学兼任講師（～2019年3月）
2018年4月 立教大学兼任講師（～2019年3月）
2019年4月 大阪市立大学文学研究科講師（～2022年3月）
2022年4月 大阪公立大学文学研究科准教授
現在に至る。
学士（文学）（2005年3月 東京大学文学部 指導教授：高山博）
修士（文学）（2007年3月 東京大学大学院人文社会系研究科 指導教授：高山博）
修士＝Master2（中世研究） （2012年9月 トゥルーズ第二大学 指導教授：Jean-Loup ABBE）
博士＝Doctorat（歴史学）（2017年11月 トゥルーズ第二大学 指導教授：Jean-Loup ABBE & Vincent CHALLET）
学位論文
「ルイ9世期のenquête―低ラングドック地方を中心にして」、卒業論文、東京大学文学部、2005 年。
「ルイ9世期の地方統治―低ラングドック地方ベジエのヴィギエ管区を中心に」、修士論文、東京大学大学院人文社会系研究科、2007年。
Communautés villageoises du Biterrois face à la guerre à la fin du Moyen Age : Le bilan des sources et l'exemple de Sérignan, mémoire de Master2, Université de Toulouse II, 2012.
Sérignan et Vendres, deux villages biterrois face à la guerre dans la seconde moitié du XIVe siècle : Etude du gouvernement villageois au bas Moyen Age, 3 vol., thèse de doctorat, Université de Toulouse II, 2017. （博論公開審査会記事 : Compte rendu de la soutenance de thèse in Annales du Midi, CXXIX, n. 300, 2017 [PDF]）（被引用：Citation in Miriam Müller, ed., The Routledge Handbook of Medieval Rural Life, Abingdon/New York, 2022, p. 109; Vincent Challet, “Défense des libertés et de l’utilitas publica : le cas paradigmatique d'un village languedocien (Cournonterral, XIIIe-XIVe siècle)”, Edad Media. Revista de Historia, n. 21, 2020, p. 184; Vincent Challet, “In the Name of the Commonweal. How Did French Peasants Manage to Obtain a Legal Recognition of Their Rights to Self-Defence During the Hundred Years War? ”, in Fabrizio Titone, ed., Disciplined Dissent in Western Europe, 1200–1600, Turnhout, 2022, p. 260）
論文
「ルイ9世期低ラングドック地方におけるenquête」、『クリオ』、20号、2006年。[PDF]
“The beginning of the royal government in Biterrois: an interpretation based on the records of the 1247 enquête”, 佐藤彰一編『ピエール・トゥベール教授招聘事業報告書』、名古屋大学大学院文学研究科、2007年。[PDF]
「ルイ9世期南仏ビテロワ地方における国王統治」、『西洋中世研究』、2号、2010年。
“Histoire d'une communauté villageoise au miroir des portes et des murailles : le village de Capestang sous l'Ancien Régime”, in Histoire de territoires dans le Languedoc médiéval et moderne (Actes du colloque international, 11 et 12 octobre 2014, Maison franco-japonaise, Tokyo), Tokyo, 2014.
“Une communauté villageoise face à l'insécurité : la défense de Sérignan (Hérault) dans la deuxième moitié du XIVe siècle”, Annales du Midi, CXXVIII, n. 294, 2016. [PDF]
“La crise politique de la seigneurie à la fin du Moyen Age : l’exemple de Sérignan (Hérault) au XIVe siècle”, Etudes Héraultaises, L, 2018.
「中世後期南フランスにおける都市と農村の政治的関係―ベジエの都市エリートとヴァンドレスの村落共同体（一三五〇－一四〇〇）―」、『史学雑誌』、127-10、2018年。[PDF] ＊訂正（二頁十六行目）：「対外関係については」→「対外関係についてしか」
“Les relations politiques entre ville et campagne dans la seconde moitié du XIVe siècle : les élites urbaines de Béziers et la communauté villageoise de Sérignan (Hérault)”, Revue historique, n. 688, 2018. [PDF] *Erratum (p. 778, note 24) : “figure 1” → “tableau 1”（被引用：Citation in Flavia Negro, “Fiscalità cittadina e comuni rurali nel Trecento. Il dazio del vino e la gabella del sale a Vercelli e il sistema degli incanti di Borgo d’Ale”, in Borgo d’Ale e il suo territorio a 750 anni dalla fondazione, Vercelli, 2021, p. 260; “Review: Stadsgeschiedenis in buitenlandse tijdschriften (2018)”, Stadsgeschiedenis, n. 14, 2019, p. 152-153）
“Les relations coopératives entre communautés d'habitants dans la viguerie de Béziers pendant la seconde moitié du XIVe siècle : assemblée, mission, taxation, association”, Bibliothèque de l'Ecole des chartes, CLXXIV, 2018-2019 (publié en 2020).
“Le gouvernement du village languedocien au bas Moyen Age : le cas de Sérignan (Hérault) au XIVe siècle”, Cahiers de recherches médiévales et humanistes, n. 41, 2021. [PDF]
「中世後期南仏ベジエ地方における村落自治と村落文書―中近世畿内地方との比較を念頭に―」、『歴史科学』、246号、2021年。
“Les conflits du droit de pêche entre Sérignan et Vendres : Etat, marché, guerre et changement climatique sur le littoral languedocien à la fin du Moyen Age”, Etudes Héraultaises, LVII, 2021.
「一四世紀後半南仏ベジエ地方における自治体間の協力関係」、高山博・亀長洋子編『中世ヨーロッパの政治的結合体―統治の諸相と比較』、東京大学出版会、2022年。
「中世南仏村落における住民自治―エリートと民衆の関係に注目して―」、『歴史学研究』、1054号、2024年。
口頭発表
「南仏ビテロワ地方における国王統治の生成」、日本西洋史学会第58回大会、2008年5月11日、於島根大学。
「南仏ビテロワ地方における国王統治の生成と村落自治：農地管理に関する執行権をめぐって」、第26回フランス史研究会、2008年7月12日、於お茶の水女子大学。
「中世後期南フランスにおける「政治的」都市＝農村関係：ベジエの都市エリートとセリニャンの村落共同体（1350-1400）」、第10回西洋中世学会大会、2018年6月23日、於東洋大学。
「セリニャン村とヴァンドレス村の漁業権争い―中世末期南仏低ラングドック地方沿岸における国家、市場、戦争、気候変動」、第1回カントリーサイド生業史研究会、2019年10月12日、於大阪市立大学。
「14世紀後半南仏ベジエ地方における自治体間の協力関係：集会、使節、課税、連合」、第37回関西比較中世都市研究会、2019年11月15日、於大阪市立大学文化交流センター。
「中世フランスにおける村落自治と村落文書の実態―13～14世紀の南仏ベジエ地方のヴァンドレス村に注目して―」、大阪歴史科学協議会9月例会「中世における村落自治と古文書の存在形態 ―フランスと日本の比較中世村落社会史の試み―」、2020年9月6日、オンライン開催。
「中世後期南仏ラングドック地方における村落自治―14 世紀セリニャン村の民主主義―」、日本西洋史学会第70回大会、2020年12月12日、於大阪大学（オンライン開催）。
「日仏比較中世文書論のために：「文書」定義の観点と公証ならびに書簡の位置づけ」、第23回大阪市立大学日本史学会シンポジウム「比較中世文書論の構築をめざして」、2021年5月15日、オンライン開催。
「中世南フランスにおける自治体会計簿・資産台帳の伝播と受容」、中世地下文書研究会シンポジウム「中世地下文書論は何を明らかにしたか」、2022年10月22日、於立教大学。
「『フランス絶対主義』（岩波書店、2021年）に関する覚書」、フランス絶対主義研究会、2023年1月21、於学習院女子大学。
「『「身分」を交差させる』（東京大学出版会、2023年）から考える：1970年代の近世比較国制史を再訪する―二宮宏之、成瀬治、村上淳一、石井紫郎―」、「都市・周縁〈史料と社会〉科研」総括円座、2023年8月27日、於大阪公立大学。
「中世南仏都市における選挙と代表制：Puissalicon村の事例分析を添えて」、第三回ヨーロッパ中世史研究会（REN）、2023年12月10日、オンライン開催。
「中世南仏における自治体による宗教活動の実践・管理：自治体宗教（religion civique）論を振り返る」、関西中世史研究会2月例会、2024年2月17日、於京都大学。
「中世南仏村落における代表選挙：1412年セリニャン村（エロー県）の選挙法改正を中心に」、日仏歴史学会第11回研究大会、2024年3月28日、於学習院女子大学。
「中世南仏村落における住民自治―エリートと民衆の関係に注目して―」、2024年度歴史学研究会大会合同部会シンポジウム、2024年5月26日、於青山学院大学。
「マルク・ブロックと農民：右派的言説との対抗関係の中で」、公開シンポジウム「マルク・ブロックを受けとめる：21世紀日本の研究と教育」、2025年6月13日、於東京大学。
その他
[新刊紹介] 渡辺節夫著『フランスの中世社会―王と貴族たちの軌跡―』（歴史文化ライブラリー216）、『史学雑誌』、116-10、2007年。[PDF]
[新刊紹介] 渡辺節夫著『王の表象―文学と歴史・日本と西洋―』、『史学雑誌』、117-10、2008年。[PDF]
[報告批判] 「2010年度歴史学研究会大会 合同部会 渡辺報告批判」、『歴史学研究』、874号、2010年。
[新刊紹介] F. Loppe, Construire en terre pendant la guerre de Cent Ans : les fortifications de Castelnaudary (Aude) vers 1355-vers 1450, 『西洋中世研究』、5号、2013年。
[小文] 「フランス学界における空間分析について：中世史家の視角から」、『建築雑誌』、1671号、2015年。
[参加記] 日仏国際コロック「中近世フランス・ラングドックの領域史」、『日仏歴史学会会報』、30号、2015年。
[史料紹介] 「朝河貫一とマルク・ブロックの往復書簡―戦間期における二人の比較史家―」、『史苑』、76-2、2016年。（斎藤史朗、佐藤雄基との共著）[PDF]
[読書案内]「中世フランスの政治構造」、『歴史と地理 世界史の研究』、728号、2019年。
[書評] 仲松優子著『アンシアン・レジーム期フランスの権力秩序―蜂起をめぐる地域社会と王権―』、『西洋史学』、268号、2020年。
[概説]「中世フランスの民主主義―都市と村落の自治」、中野隆生・加藤玄編『フランスの歴史を知るための50章』、明石書店、2020年。
[研究動向]「日本学界における西洋中世村落自治の研究史（1930年代～1960年代）―ドイツ史学の潮流と講座派マルクス主義の間で―」、『新しい歴史学のために』、298号、2021年。
[Web記事] Shinya MUKAI, « Le port médiéval de Vendres, Hérault », in Amendata : une carte virtuelle, une piste archéo-historique, une ambiance artistique, Université de Toulon, 2021.（Texte original avec notes en PDF）
[翻訳] ヴァレリー・トゥレイユ著「戦争の暴力と市井の人々―ジャンヌ・ダルクの家系に関わる新史料：ジャン・ド・ヴトンへの国王赦免状―」、『西洋中世研究』、13号、2021年 。
[参加記] 国際シンポジウム「近世～近代日本・アジアの周縁的社会集団と史料」参加記、『都市・周縁〈史料と社会〉科研NL』、20号、2022年。
[研究動向]「中世フランス都市の民主的ガバナンス―南仏学界の動向をまじえて」、高山博・亀長洋子編『中世ヨーロッパの政治的結合体―統治の諸相と比較』 、東京大学出版会、2022年。
[講演関連報告]「日仏比較中世文書論のために：「文書」定義の観点と公証ならびに書簡から見た国制」、『市大日本史』、25号、2022年。[PDF]
[回顧と展望]「2021年の歴史学界―回顧と展望―：ヨーロッパ（中世一般、中世西欧・南欧）」、『史学雑誌』、131-5、2022年。
[翻訳] フロセル・サバテ著「アラゴン連合王国における権力濫用（一三―一四世紀）―病的逸脱、腐敗、戦略、あるいは典型？」、フロセル・サバテ著、阿部俊大監訳『アラゴン連合王国の歴史：中世後期ヨーロッパの一政治モデル』、明石書店、2022年。（阿部俊大との共訳）
[コメント]「近世日・中・印における生業ならびに社会集団の存在様態を比較する：なぜ近世大坂の非人は仲間組織を形成したのか？」、塚田孝・佐賀朝・渡辺健哉・上野雅由樹編『周縁的社会集団と近代』、清文堂、2023年。
[書評] 髙田京比子ほか編著『中近世ヨーロッパ史のフロンティア』、『史林』、106-3、2023年。
[新刊紹介] François Otchakovsky-Laurens et Laure Verdon, dir., La voix des assemblées. Quelle démocratie urbaine au regard des registres de délibérations ? Méditerranée-Europe XIIIe-XVIIIe siècles, 『西洋中世研究』、15号、2023年。
[書評] 藤原翔太著『ナポレオン時代の国家と社会―辺境からのまなざし―』、『西洋史学』、276号、2023年。
[コメント]「『「身分」を交差させる―日本とフランスの近世』から考える：一九七〇年代日本学界における近世比較国制史への遡行―二宮宏之、成瀬治、村上淳一、石井紫郎―」、塚田孝・吉田伸之・杉森哲也編『近世巨大都市・三都の複合構造とその世界史的位置（都市・周縁〈史料と社会〉科研報告書）』、大阪公立大学大学院文学研究科、2024年。
[報告概要]「中世南仏村落における代表選挙：1412年セリニャン村（エロー県）の選挙法改正を中心に」、『日仏歴史学会会報』、39号、2024年。
[新刊紹介] Denis Menjot, Mathieu Caesar, Florent Garnier & Pere Verdés Pijuan, eds., The Routledge Handbook of Public Taxation in Medieval Europe, 『西洋中世研究』、16号、2024年。
[翻訳] Thomas Tanase, "Atsushi Egawa, Marc Smith, Megumi Tanabe, Hanno Wijsman, éd., Horizons médiévaux d'Orient et d'Occident: Regards croisés entre France et Japon", 『西洋史学』、278号、2024年。（小森紗季との共訳）
[事典項目]「湖・池・沼」、『西洋中世文化事典』、丸善出版、2024年。
[事典項目]「都市の防衛と包囲戦」、『西洋中世文化事典』、丸善出版、2024年。
教育活動
市民サークル「西洋史クラブ」講師、2009-2010年度、於新宿区三栄町生涯学習会館。
講演「14世紀のヴァンドレス村：二つの潟の間の村落共同体（Vendres au XIVe siècle : une communauté villageoise entre les 2 étangs）」、2020年3月11日、於ヴァンドレス村立フランソワーズ・ジルー中学校。
講義「14世紀後半南仏ベジエ地方における自治体間の協力関係：集会、使節、課税、連合（Les relations coopératives entre communautés d’habitants dans la viguerie de Béziers pendant la seconde moitié du XIVe siècle : Assemblée, mission, taxation, association）」、2020年3月13日、於モンペリエ第三大学。
講演「フランス中世史研究者からのコメント：ため池、お寺、古文書」、第3回和泉市文化遺産フォーラム「黒鳥村文書」からみた中世社会、2023年3月26日、於和泉市いずみの国歴史館。
講演「AIを用いた古文書解読の最前線」、第12回大阪公立大学ACADEMIC CAFE「AIと人の協働」、2024年12月24日、於大阪公立大学。
講義「日仏比較自治体史：政治参加の伝統を長期的に考える」、2025年度公大授業、2025年4月29日、於大阪公立大学。
学会活動
西洋中世学会
日仏歴史学会
史学会
フランス農村社会史学会（Association d'Histoire des Sociétés Rurales）
セリニャン歴史協会（Association Histoire de Sérignan）
文部科学省科学研究費補助金（特別研究員奨励費）（2008年4月～2010年3月）
平和中島財団日本人留学生奨学金（2010年10月～2012年9月）
日本学生支援機構留学生交流支援制度（長期派遣）奨学金（2012年11月～2015年9月）
大阪市ふるさと寄附金を財源とした「グローカル人材育成事業（研究支援）」（2019年4月～2020年3月）
フランス・エロー県・ヴァンドレス村「名誉村民」記念メダル（2020年3月11日）
恒藤恭記念奨励賞（大阪市立大学若手研究者奨励賞）（2020 年 11 月 26 日）