下の長い文章を読まずに「機能温泉浴」を15秒で理解したいなら、この動画をご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=J6BVDmBrQjE
斉藤が世に提案したものはたくさんありますが、定着したものは多くありません。ほとんどは空振りです(苦笑)。その中にあって、2002年に提案し、20年近く経って世の中に受け入れられつつあるのが「機能温泉浴」です。
機能温泉浴とは、異なる泉質の温泉に指定の順番に入り、相乗効果を得ようとする言わば「究極の湯めぐり」です。
世の中、何にでも順番があります。洗髪ならシャンプーが先で、リンスが後。コース料理なら、前菜、メイン、デザートの順です。もちろん「好きな順で」と仰る方を否定するものではありませんが、その方が気持ちいいですよ、効果が体感できますよ、ということですね。
温泉でも、ある順番に湯めぐりすると、格別な効果が得られたり、面白い感覚が味わえたり、すごく気持ちよかったり、相乗効果が得られるのです。
さも私の独創のように書いてきましたが、機能温泉浴は江戸時代からあったものです。上州(群馬県)の草津温泉では「草津の上がり湯、沢渡温泉」とか「四万温泉」と呼ばれていました。草津は強酸性の刺激的なお湯ですが、これで終えるよりも、その後にマイルドな沢渡や四万の湯で仕上げましょう、その方が効果的ですよ、ということです。
これは、お湯の種類が豊富な日本ならではの文化と言えるでしょう。日本では、1時間も移動すれば別の泉質の温泉に行けることが少なくありません。ちなみに、草津→沢渡は車で45分ほどです。
また、日本には、温泉の効果や個性を体感しやすい酸性泉、硫黄泉など強烈なインパクトの温泉が数多くあります。例えば、ヨーロッパなどで温泉めぐりをすると、個性の弱い中性付近で薄めのお湯ばかり現れて「これでは”めぐろう!”とは思わないだろうなあ」と感じます。従って、一ヶ所の温泉病院で長期の湯治、というような発想になるのです。転地療養でゆっくりして、という発想になるのでしょう。
しかし、忙しくて飛び回るのが好き!という現代の日本人には悠長な湯治は似つかわしくありません。温泉旅行に一ヶ月いけるよ!となったとしても、多くの日本人はきっと温泉地をあちこち回って貪欲に楽しむことでしょう。
そんな日本人に、あるいは日本型の温泉浴に触れたい観光客にぜひ知って実践して欲しいのが、この機能温泉浴なのです。
機能温泉浴は、入湯の経験を積むうちに「この組み合わせが気持ちいいぞ」「この順番が効果的だ!」と発見してもらえば良いので、組み合わせは無限に可能です。ちなみに、私が発見して提唱しているのは以下の2コースです。
---
*機能温泉浴コースA「美肌コース ~サッパリ&しっとり~」
一番湯 強酸性硫黄泉 →→ 二番湯 弱酸性塩化物泉 (中性も可。硫酸塩泉も可。マイルド系で)
一番湯で皮脂除去し皮膚の角質を除去(ピーリング)、その後に保湿仕上げをする。
肌の「シャンプー&リンス」のようなイメージです。
<一番湯の例> 別府明礬、蔵王、草津、酸ヶ湯、雲仙、玉川など
<二番湯の例> 別府鉄輪、草津、沢渡、四万など多数
---
*機能温泉浴コースB「超つるつるコース ~私はウナギ?~」
一番湯 中性硫黄系 →→ 二番湯 弱アルカリ性重曹系(軟水系)
一番湯で汚れを除去し皮脂を適度に整え、その後に重曹成分と皮脂とで鹸化反応を起こさせる。
二番湯の軟水系の重曹湯は通称「美人の湯」と呼ばれ、これ一つでも「つるつる、ヌルヌル」のお湯です。
しかし、その前に中性硫黄系の湯で”前処理”すると、理想的な鹸化反応が起こり、驚くほどつるつるします。思わず「私はウナギになったのか」と勘違いするかも。
<一番湯の例> 別府堀田、銀山、湯の峰、南紀勝浦、川渡、国見など多数
<二番湯の例> 嬉野、中山平、野沢、榊原、美又、平山、観音、奈良田、湯川内、祖谷など多数
---
この他にも、様々なコースが様々な人によって提案されています。
しかし、上記の斉藤提案の2コースは、ほぼ誰が入っても体感しやすく「おお!」と唸って頂けると自信を持っています。特に今まで湯めぐり体験企画などで大好評だったのは「B」の、超つるつるコースです。よほどの鈍感な人でも感じて頂けます。
あなたも、温泉めぐりの中で、新たな機能温泉浴の組み合わせを発見して「○○オリジナル」として、提唱してください。楽しい湯めぐり順を発見して、全人類で楽しみをシェアいたしましょう!
<資料>
機能温泉浴の名称と概念が世に初めて公開されたのは、2002年3月25日発売の「別府八湯温泉本2002(おおいたインフォメーションハウス刊)」です。この中に「八湯を知り尽くした温泉名人による効能別お薦め2湯巡りコース」として上記2コースを含む機能温泉浴おすすめコースについて私が記事執筆しています。
参考:http://www.coara.or.jp/~sanken/item/onsenbon.html
なぜ「機能温泉浴」と命名したのか。当時は「機能性食品」が大流行でした。朝の情報番組でMCが「○○が△△に効果!」などと紹介し、スーパーでその食材が売り切れる現象が多発しました。温泉は漠然と「身体に良い」と信じられていますが、明確に効果を体感できる湯めぐりとして「機能温泉浴」の名前を思いついたのです。
論文などでは「複合的機能温泉入浴」などと呼ばれたり、ガイドブックで略して「機能浴」と記載されたりしていましたが、今ではほとんどオリジナルの「機能温泉浴」を使って頂いております。発案者、命名者として光栄の至りです。なお「機能温泉浴」という単語自体に商標登録は無いので、皆さんご自由にお使いください!