講義

流体若手夏の学校2018では「乱流と普遍性、現在と未来」をテーマに、2名の先生を講師としてお招きし、講義をしていただく予定です。

辻 義之 先生

発達した乱流場における普遍則を対象にその解明のために必要な実験技術について、これまでの経験をまとめたい。普遍則としては、Kolmogorovが提示した小スケール変動に関する相似仮説と、壁乱流に広く観測される平均速度分布型を対象とする。いずれも、極めて高いレイノルズ数において実験的に確認されており、そのような状況での計測法として何が適しているのか、何に注意を払って計測をおこなってきたかを述べる。

初日はKolmogorovの相似仮説、2日目は壁乱流の平均速度分布について、その概要と計測結果を紹介する。前者は周波数空間のスペクトル、後者は速度変動のモーメントを正確に計測することに重点をおく。また、2つの普遍則に共通する概念を説明して、全体のまとめをおこなう。

金田 行雄 先生

title : 乱流の統計理論

乱流の統計理論についておおよそ以下の内容で紹介します。

(i) 乱流とは何か -- 乱流の特徴、定義、その理解のための方法論

(ii) Kolmogorovのドグマ -- 局所普遍平衡仮説の考え方、背景、有限のレイノルズ数と大規模渦の影響、4/5則

(iii)解析的統計理論 -- 様々な統計理論、完結問題、繰り込み展開、代表変数、Lagrange的方法

(iv) 間欠性 -- 対数正規仮説、フラクタルモデル、Kraichnanのmodel、異常次元の普遍性

(v) 線形応答理論 -- 熱統計力学における線形不可逆過程に対する線形応答理論の考え方の乱流への応用

(vi) 乱流の計算科学 -- その役割、これまで、これから