ストーリー
昭和九年三月十二日。
演習中に転覆した水雷艇「友鶴」の報を受けて復職した平賀譲造船中将が下した命令は事件の徹底究明であったが、
平賀中将にはすでに事件の目星はついていた。
「設計を総改修する必要があるな!」
号令は速やかに全国の技術廠、ドック、造船会社に届き、平賀中将は多くの若手技術者をここ横須賀に集めたのだった。
軍港の都市、横須賀。
夜にはきらびやかな街灯の光が漏れでて、まるで夜光虫の群れなす輝きが街を照らすけれども、
昼はじりじりと太陽が照りつけ、常に潮の香りが立ち込めている。
君たちは平賀中将の元、それぞれがコンペで競い合う戦友として、ここ横須賀海軍工廠にて切磋琢磨することになる。
遠く雷鳴のなく潮騒を耳に、遥かかなたの故郷を思う。
だが、今目の前の図面を仕上げることが、皇国唯一の生きる道。
この危うい職場で、君たちが海軍国家、大扶桑帝国の生まれ変わるきざはしを作っている。
そう考えれば、白い図面の中に理想の船を描くのも、意義がある、とも思えてしまう。
だけど、君の青春はそれだけじゃない。
さあ、出掛けよう。
君の上司の娘さんや下宿先のお姉さん、再開した職業婦人の幼馴染。
少しの勇気となけなしの余暇を使って足を踏み出せば、君の気持ちはきっと通じるはずだ。
いや、それは少し違う。
少しの勇気となけなしの余暇、そして相手をうなづかせる作戦だ。
胸に迫る小さな動機。それが指し示すのは天使の微笑みか、悪魔のささやきか。
軍艦を作り、恋を実らせ、素晴らしい設計人生を満喫しよう!