新型コロナウィルス感染症の流行する状況下でのテレセラピー

訳注: 下記の情報の多くはアメリカの医療保険制度に基づくものであり、現時点では日本で適用されるものではありません。

患者様やご家族の方へ

世界保健機関(WHO)は、現在進行中のコロナウイルス感染症(COVID-19)のアウトブレイクをパンデミックと宣言しました。これを受けて、世界中の公衆衛生の専門家は、個人や組織に対し、地域でのこの病気の感染を予防し、感染を制限するための行動をとるよう求めています。一方、米国疾病対策予防センター(CDC)は、COVID-19の感染拡大を遅らせるために、医療従事者が遠隔地でいくつかのサービスを提供するための措置を開始するよう勧告しています。

セラピストや精神科医に定期的に対面で診察を受けている場合には、ビデオテレビ会議サービスを利用した遠隔セッションに一時的にセラピーを移行することについて、すでに連絡を受けているかもしれません。このような方法でセラピーを受けることは「テレセラピー」と呼ばれることもあり、過去10年の間に強迫性障害の大人と子供の両方に効果のあるメンタルヘルスケアを提供するために利用されることが増えています。

もし、あなたのセラピストがまだテレセラピーの話をしたいと連絡をくれていないのであれば、この方法を選択肢の一つとして提案してみてはどうでしょうか。また、あなたの保険が対面での診察と同じようにテレセラピーの診察にも保険が適用されるかどうかも気になるかもしれません。

考慮すべき点

研究によると、ビデオテレビ会議は、子供や大人のOCDに対する曝露反応妨害法(Exposure and Respm onse prevention: ERP)をセラピストが提供するための効果的な手段になり得ることがわかっています。

文献1: ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27993223

文献2: ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3435873


IOCDFの情報検索ページに掲載されているプロバイダーの多くは、すでに患者の治療選択肢の一つとしてテレセラピーを提供しています。治療戦略(treatment strategy)の下にある「テレセラピー(teletherapy)」フィルターをクリックすると、テレセラピーを提供している医療機関だけに検索を絞ることができます。

保険適用について知っておくべきこと

民間の保険: テレセラピーの保険適用範囲は州によって、また保険プランによってかなり異なります。

メディケイド: 多くの州のメディケイドプランがテレセラピーをカバーしています。

メディケア: メディケアは COVID-19 による公衆衛生の緊急事態が続く間、テレヘルスに関する制限の多くを免除しました。これは、患者がどこにいるか、訪問が自宅や医療施設で行われるかに関係なく、テレセラピーがメディケアによる保証の対象になることを意味します。詳細はCMSから入手することができます。

セラピストにとって、テレセラピーを提供することは、従わなければならない規則や規制があるため、煩わしく感じられることがあるかもしれません。例えば、あなたの保険がテレセラピーをカバーしていても、セラピストが通常診療を行っている州とは異なる州に住んでいる場合は、セラピストがテレセラピーを提供できない場合があります(これは必ずしもそうとは限らない-セラピストに確認してください)

患者さんやそのご家族ができること

セラピストに、テレセラピーを提供しているかどうか、または近い将来にオプションとして提供する予定があるかどうかを尋ねてみましょう。

セラピストが保険を使っている場合は、テレセラピーの払い戻しに関する保険会社の規則に精通しているかどうかを尋ねましょう。

保険会社に電話して、どのような選択肢があるかを確認しましょう。テレセラピーサービスが保険適用されるためには、事前の承認が必要な場合があります。

保険者またはセラピストの決定によりテレセラピーによるサービスを利用できない場合は、あきらめずに時間が経過してから再度問い合わせてみることを検討しましょう。状況の変化に応じて、ケアの提供方法に関する決定が変更されるかもしれません。

あなたが受診していたセラピストが住んでいた州に居住していなくなった場合(例えば、学校から学期末に帰省させられた場合など)、新しいセラピストに会う必要があるかもしれません。この場合、新しいセラピストが必要な場合は、前のセラピストとあなたのケアを調整して、あなたが治療で得た利益を維持できるようにしてくれるかどうかを確認してください。

もし現在のセラピストがあなたと一緒にテレセラピーを行うことができない場合でも、テレセラピーを行いたいと考えているのであれば、そのセラピストを紹介してもらうか、または OCD の専門知識を持った人にテレセラピーを提供している人を探してもらいましょう。IOCDFの情報検索ページを利用してチェックしたり、保険会社のウェブサイトでオプショ ンを探すこともできます。

もし保険会社が事前承認の申請を拒否した場合は、上訴することを検討してみましょう。

セラピストの方へ

現在進行中のコロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックに対応するため、米国疾病対策予防センター(CDC)は、医療提供者が適切な場合にはテレヘルスサービスを実施するための措置をとることを推奨しています。対面での接触を制限することで、テレヘルスは感染症の拡大を遅らせ、予防するのに役立つ可能性のあるツールです。

あなたがセラピストや精神科医であれば、通常のルーチンが中断されても、クライアントにケアを提供し続けるにはどうしたらよいかをすでに考えているかもしれません。一時的にテレセラピーの提供に切り替えることを検討しているかもしれませんし、クライエントから質問を受けたことがあるかもしれません。患者さんに治療やサポートを提供し続ける際に役立つ情報を以下に集めました

テレセラピーと遠隔精神医学とは何ですか?

テレセラピーと遠隔精神医学とは、電話やインターネットを使った従来の行動論的健康ケアや精神科医療の提供を指します。ビデオ会議を利用することで、患者が物理的に予約のために移動できない場合でも、治療を継続することができます。パイロット研究では、ビデオテレビ会議を介して遠隔で提供される曝露反応妨害法は、対面での治療と同じくらい効果的であることがわかりました。

セラピストにできること

    • 提携している保険会社に連絡し、テレセラピーの保険金を支払うかどうかを確認しましょう。
    • 提供する予定のテレセラピーサービスの適切な請求コードを確認しましょう。
    • 保険会社がテレセラピーと訪問診療の保険料を異なる料金で支払うかどうかを確認してください。
    • HIPAAに準拠したテレビ電話会議サービスを探します。Googleで検索すれば、多くのサービスを見つけることができますが、代表的なものとしては以下のようなものがあります。

補足: HIPAA(Health Insurance Portability and Accountability Act)とは、「医療保険の携行と責任に関する法律」と直訳でき、2003年4月にアメリカで発効された、医療情報の電子化の推進とそれに関係するプライバシー保護やセキュリティ確保について定めた法律


  • Zoom for Healthcare
  • Google Meet
  • Doxy
  • SimplePractice
  • SecureVideo.com
  • VSee
  • Kareo
  • Your electronic health record provider may offer a built-in video teleconferencing service

電子カルテのプロバイダーは、ビルトイン型のビデオ電話会議サービスを提供している場合があります。

他の州にクライアントがいる場合は、現在の免許が認可されている州の下でテレセラピーを提供できることを確認するために、現地の規制を確認してください。

州をまたいでテレセラピーを実施するための州間協定については、州間医療免許コンパクト(Interstate Medical Licensure Compact )とPSYPACTをご覧ください。