このページは、長屋尚典担当の日本言語学会夏期講座 2016「フィールド言語学」(初中級) のためのページです。
授業の基本情報
授業の目標
言語学におけるフィールド調査法 (field methods in linguistics) とは、「ある言語についてその言語が話されている自然な環境でデータ収集し分析する方法」のことである。したがって、日本語母語話者がチェロキー語、ポポロカ語などあまり一般には知られていない言語を研究するような場合だけでなく、英語やフランス語、タイ語、タガログ語、日本語の方言など話者人口の多い言語を研究する場合も含んだ言語研究の方法論を指す。
この意味でのフィールド調査法およびフィールドワークは100年以上の歴史を持つ言語学で確立された方法論であり、アメリカの大学院では言語学者になるための必須のトレーニングの一つと考えられている。そして、日本の方言や外国語について論文 (卒論であれ何であれ) を書く人が行う研究も、ほとんどの場合がフィールドワークである。フィールド調査法は言語を研究する全ての人が知っておかなくてはならない分野であり、知識であり、スキルである。
そこで、この授業ではフィールド調査法およびフィールド言語学にまつわる理論と技術を学ぶ。単に講義からだけでなく実践を通して体得する。具体的には以下のような目標がある:
授業予定
全6回の授業であるが、4回を講義に、2回を実習にあてる計画である。最初の3回でフィールド調査の方法論を学んだ上で、実際に自分で調査をしてみたり、そのデータについてソフトウェアを用いた分析を行ってみたりする予定である。もちろん6回でフィールド調査の全てを学ぶことができるわけではないが、基本の基本はカバーできる (はず)。
※ 第4・5回については調査協力者の有無・予定などに大きく依存するため変更の余地がある。
※※ 第6回は可能であればパソコンを持参した方がよいが、必須ではない。
受講上の注意
フィールド言語学という授業の都合上、音声学、形態論などの基礎がある程度あることが前提となるが、今回に限っては必須ではない。
教科書・参考書など
講義についてはスライドを用いながら進める。
課題
実際に提出するかどうかは任意だが、この課題に取り組むことによって、フィールド調査に関する理解が深まるので是非とも取り組んでほしい。なお、「第n回課題」とはその回の前に予習として行う課題という意味である。課題にまつわるファイルはここからダウンロード可能である。
役に立つリンク集
フィールドワークをする際には以下のページが役に立つ。
参考文献
実際にフィールドワークする歳には以下の文献が参考になる。