計算行動科学研究室

国立研究開発法人産業技術総合研究所 情報・人間工学領域 人間情報インタラクション研究部門  心身機能・モデル化研究グループ
筑波大学ニューロサイエンス学位プログラム

計算行動科学 (Computational Behavioral Science) 研究室では行動データの計算論モデリングや心理学的研究を通して人間や動物の行動の背後にある基本原理を解明することを目指しています。当研究室は2021年3月まで名古屋大学大学院情報学研究科 心理・認知科学専攻および文学部心理学教室に所属していました。現在は産業技術総合研究所 (産総研)、筑波大学に活動の場を移しています。(※「計算行動科学研究室」はバーチャルな組織の名称であり、産総研や筑波大学でオフィシャルに認められた組織名ではありません。)

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研究テーマ

行動実験・行動観察や行動データのモデリング,計算機シミュレーションにより行動選択と学習の基本原理を探求しています。特に、学習における非対称性 (例えばネガティブな結果から学習する程度とポジティブな結果から学習する程度の違い) や,同じ選択を選び続ける傾向(固執性),他者の行動予測や他者の行動の影響,「サプライズ」の効果などに注目しています。

実験や質問紙調査により得られた個人特性の分布の統計的な特徴を捉え、ヘルスケアなどへの応用を見据えて個人に適した介入やサービスを提供する方法を検討していいます。

実験データに強化学習等の計算論モデルをフィットさせ,データの背後にある計算プロセスを推定するアプローチを計算論モデリング (モデルベース解析) とよびます。計算論モデリングの妥当性やその性質,限界についての理論的な研究を行っています。その成果の一部はこちらでも解説しています。

近年,オンラインでの実験や調査が盛んに行われるようになってきています。当研究室でもこの方法を用いるとともに,その実施方法や,データ分析の方法などについて検討を進めています(例えば無回答項目が含まれるデータを除外することの影響)。また,実験課題の最適化についても検討を始めています。オンライン実験やそのためのソフトウェア (Inquisit) のノウハウ,Rでの分析法などについて,遠山さんがこちらの資料にまとめてくれています。

「計算論的精神医学」の手法を用いた研究や,その有効性についての理論的研究を行っています。本研究室では直接的に患者さんを対象とした研究はできないため,健常者の中での精神疾患傾向に注目した研究や,オープンデータを用いた研究,理論研究が中心になります。