現在の主な研究テーマ
・イカ類の繁殖生理生態に関する基礎研究
イカは日本の重要な水産資源の一つです。しかし近年、イカの漁獲量は減少傾向にあります。その原因として、温暖化に伴う海水温の上昇や海洋酸性化、磯焼けといった海洋環境の 変動が考えられます。イカの急激な漁獲量減少の原因を解明し、対策を考えるためには、イカの基本的な生物学的情報が必要不可欠です。特に、いつ、何処で生まれ、何を食べて育 ち、オス、メスになり、成熟して繁殖するのか?といった生殖に関する情報は非常に重要です。そこで本研究室では、これまでほとんど研究がなされていない、イカの生殖生理学的研究に 取り組んでいます。特に現在は、飼育下で卵からイカを育成し、生殖腺の性分化、発達、性成熟過程を組織学的に解析すると共に、GnRHや性ホルモンなどの生理物質の関与を調べています。遺伝子の網羅的解析技術などの最新技術を導入し、イカの生殖生理メカニズムの全貌解明を目指します。また、不妊化や性統御技術の開発も目指します。イカの育成技術開発の基礎研究として初期餌料開発や生産環境の研究も同時に行っています。
カミナリイカ@AQUAS イカ生殖腺の組織写真
・ハタ類の成長、性成熟、性転換に関する研究
ハタ科魚類は味が良く東南アジアにおいて高級食材として扱われ、盛んに養殖が行われています。しかし、大型のハタ科魚類は出荷サイズに成長するまでに3年程度、性成熟するまで には5年以上と非常に長い期間を必要とします。そこで、光や温度を調節することにより、成長や性成熟に達するまでの期間を短縮する技術の開発に取り組んでいます。
特現在力を入れて取り組んでいる課題はアカハタの養殖技術確立のための繁殖生理学的基礎研究です。環境操作によりアカハタの繁殖制御、高成長品種開発などを行います。これらの研究は征矢野教授との共同研究です。
征矢野研のHPはコチラ→https://soyano.wixsite.com/fish-reproduction
主な研究プロジェクト
・イカ類の性分化、性成熟における生殖腺組織構築及びGnRH作用メカニズムの解明
科研費(若手研究) 2018年度~2021年度 (研究代表)
・行動生理生態学的アプローチによるハタ類の繁殖機構の解明
科研費(基盤B)2019年度〜2021年度 (研究分担)
・イカ類再生産への海洋環境変動による影響解明:生殖メカニズムと産卵環境の理解
科研費(基盤B) 2022年度〜2025年度 (研究代表)
・魚類が利用する有効波長の解明と波長制御による新たな養殖技術の開発基盤確立
科研費(萌芽)2024年度〜2026年度 (研究分担)