長谷川 史弥
岐阜大学 共同獣医学科
獣医寄生虫病学研究室
学部6年
岐阜大学 獣医寄生虫病学研究室の長谷川史弥と申します。
この度は、初めて分子寄生虫病学ワークショップに参加させていただき、誠に光栄なことにベストプレゼンテーションアワード(BPA)を賜りました。はじめに、本ワークショップの運営にご尽力くださいました先生方、ならびに学生スタッフの皆様に、心より御礼申し上げます。皆様の温かいお心遣いのおかげで、活発なディスカッションのみならず、美味しいお食事やお酒を囲んでの素晴らしい交流の機会にも恵まれ、実り多い4日間を過ごすことができました。
恥を偲んで正直に申し上げますと、今回のワークショップに参加する前、私はかなりナーバスな気持ちを抱いておりました。ワークショップ形式は初めてのことで、さらに発表10分・質疑10分という長さ。質疑応答が極めて不得手な私にとって、それは不安でしかありませんでした。挙句の果てに、搭乗予定だった新千歳行きの飛行機が機材トラブルで欠航となり、中部国際空港近くの東横インで急遽一泊することに。全国どこでも変わらぬ安心感を与えてくれる客室で、「これは『行くな』という神様からの啓示なのでは…」などと一人、余計なことを考えていたのを鮮明に覚えています。
しかし結論から言えば、あの時勇気を出して本当によかったと、心から感じています。そこで、あの日東横インの硬いベッドの上で悶々としていた自分に向けるかたちで、私が感じた本ワークショップの魅力を綴りたいと思います。もし、かつての私と同じように参加を迷っている方がいらっしゃるなら、ここからの言葉が少しでも背中を押すものになれば幸いです。
——数日前の自分へ
残念ながら、質疑応答では案の定しどろもどろの回答をしてしまい、大いに赤っ恥をかくことになります。でも、大丈夫。そこから多くの学びがあり、自分の研究を根底から見つめ直す新しい視点を得られるはずです。質問時間が長いのは、それだけ多く議論ができるということ。なにより、普段の大きな学会では遠い存在である先生方からも、貴重な意見を直接いただける良い機会です。
それから、同世代の友人もできます。これまで「同世代で寄生虫を研究している人」といえば同じ研究室のメンバーくらいで、どこか孤独で、そして井の中の蛙のような感覚を抱いていますよね。でも、ここでは北から南まで、同じ志を持つ仲間たちと4日間を共に過ごし、帯広の美味しい食事とお酒の力を借りて語り合うことができます。全員が発表者であり、聴衆であるからこそ、自然と深いレベルで繋がり、顔と名前が一致する関係が築ける。これは他の学会では得られ難いものです。
だから、思い切って飛び込んでください——
最後になりましたが、このような貴重な機会と栄誉を賜りましたことに、改めて深く感謝申し上げます。今回得られた刺激と学びを糧に、いつか参加者の皆様を唸らせるような研究を引っ提げて、再びこの帯広の地に戻って来られるよう精進いたします。
関澤 秀斗
国立感染症研究所
寄生動物部
東京農工大学 農学府 共同獣医学専攻
博士課程
1年
第31回分子寄生虫学ワークショップ(MPW)は、帯広で開催されました。このたび、印象記を執筆する機会をいただきましたので、MPWの雰囲気や魅力についてご紹介いたします。
MPWは、参加者全員が「寄生虫学」に関する研究を発表・議論する場です。その大きな特徴は、学部生から第一線でご活躍の先生方まで幅広い世代が集い、年齢や研究歴の垣根を越えて活発な討論が行われる点にあります。かつては、「この研究は何が面白いのか?」といった鋭い質問が飛び交うことも名物のひとつであり(近年はやや穏やかになったようですが)、こうした場面が自身の研究を見つめ直す大きな契機となります。私自身も、MPWを通じて「この研究の面白さは何か」「この研究が社会にどう役立つのか」と問い直しながら研究に取り組むようになりました。
また、会期中には、スポーツ大会や温泉、バーベキューなど多彩なレクリエーションも行われます。こうした場を通じて、普段は交流する機会の少ない先生方と親しくお話しできたり、同世代の学生・研究者と親睦を深めたりできるのも、MPWならではの魅力です。
今回、このような素晴らしい会でBPAを受賞することができ、大変光栄に思います。日頃からご指導くださる先生方、実験を支えてくださるテクニシャンの方々、そして日々共に研究に励んでいるラボメンバーに心より感謝申し上げます。
最後になりましたが、本ワークショップを企画・運営してくださった世話人の先生方、ならびに現地で多大なご尽力をいただいた帯広畜産大学・原虫病研究センターの皆様に、厚く御礼申し上げます。