2019印象記

石井 隆太

長崎大学 熱帯医学研究所

シオノギグローバル感染症連携部門

細胞環境構築学分野


今回、分子寄生虫学ワークショップ/分子寄生虫・マラリア研究フォーラムに初めて参加させていただきました。 

実は本会についてあまり詳細は聞かされておらず、お誘いいただいた世話人の先生からは、「建設的な議論を徹底的にする」とだけ伺っていたのですが、実際参加してみると本当に質疑に時間制限がなく、とても驚いたことをよく覚えています。ただし質疑の内容は個人を非難するものではなく、どう考えて研究をしているのか、それは本当に論理的なのかを突き詰める内容であり、まさに「建設的」そのものでした。 

今回の私の発表は一切データのないプロポーザルでしたので、質問が出るかどうか不安だったのですが発表後の質疑応答では数えきれないほど多くの質問をいただくことができました。また、会期中に何度かある夜の部でも数多くの提案やアドバイスをいただき、大変感謝しております。これから行う研究に対し、皆様に興味を持っていただけたことが今回の何よりの収穫でした。 

過去の印象記を拝読していると、本会への参加を迷う方もいらっしゃるようですが、これだけ手厚く面倒を見てもらえる会は他にないと思います。質疑での徹底的な議論は先述の通りですが、3泊4日の会期中、懇親会、食事中、さらにはお風呂に入っているときまでディスカッションや情報収集ができるのは、合宿形式の本会ならではです。またレクリエーションのミニバレー大会では、偉い先生方の想像以上に本気の姿を見ることができ、新鮮でおもしろいだけでなく話しかけるハードルも相当低くなります。ネットワーキングの観点からも大変貴重な機会だと感じました。 

末筆ながら、本会を企画運営いただきました世話人の先生方、その他準備や当日の運営などを行っていただきました愛媛大学の皆様に厚く御礼申し上げます。来年はこちらでの開催かも、と伺っておりますので、その際には同じく良い会にできるよう努力したいと思います。


齋藤 大蔵

岐阜大学 獣医寄生虫病学研究室

博士課程2年 

「あなたの研究、どこが面白いの」。初参戦した2年前の本会で、ご指摘をいただきました。小・中・高・学部生時代を通して、与えられた課題をこなすことが評価の対象であり、アイディアの面白さを評価していただいたのは初めての経験でした。ですので、このときは、なぜ面白くないのかだけでなく、そもそも面白さが問われた理由すら分かりませんでした。

「面白いってなんだろう」。あまりにも悔しかったため、それ以降、面白い研究のみならず、面白いと感じた人、映画や小説に出会う度に、面白いと感じた理由を文字におこす習慣をつけました。この習慣を続けていくうちに、自分の研究の内容の面白いところが少しだけ見えてきました。リベンジマッチである今回の本会では、その面白さを少しでもお伝えできるようベストを尽くしました。結果としてベストプレゼンテーション賞をいただけたことは、本当に嬉しかったです。

「歯に衣着せぬ」。本会の最大の特徴は、これを指摘したらかわいそう、という配慮が敢えてなされないことだと思っています。研究の意義、論理性、面白さについて真摯に向き合って討論していただけるからこそ、意義がない、間違っている、面白くないということは、はっきりと伝えられます。時として凹んでしまうこともあるとは思いますが、こうした経験は特に、研究初心者である僕のような大学院生や学部生の成長に確実につながると思います。

「アフターフォローも万全」。ここまでだと恐怖の会にしか見えませんが、実際は痛めつけられた後にしっかりケアしてもらえます。本会のもう一つの特徴として、スポーツ大会(本年はソフトバレー大会でした)や総合討論会(飲み会)が挙げられます。企画としてとても楽しいのですが、諸先生方とお話する機会をたくさん得られる点でも重要です。試合の合間や、飲み会の中で「質疑応答では散々にコメントしたけど、こういう部分はよかったよ」とか「あの結果からは、逆にこんなことが言えるんじゃないの」といったコメントをたくさんいただけます。僕はこうしたフォローに凹んだ心を救っていただいております。

 「一度は是非参加してほしい」。研究初心者であることや、本会の得体の知れなさを理由に気後れしている大学院生や学部生の方には、こう伝えたいです。本会は、まとまった研究結果だけでなく、進行中の実験やこれからの研究計画の発表も歓迎していただけるので、とりあえず参加してみるのはいかがでしょうか。

最後に、計4日の長時間、発表の場だけでなく、特別企画や温泉、バレーボール大会、そして美味しいご飯を用意してくださった世話人の皆様と愛媛大学の皆様に感謝申し上げます。本当にありがとうございました。