NPO法人ミュージックファウンデーション
【音と音楽の豆知識】
NPO法人ミュージックファウンデーション
【音と音楽の豆知識】
音と音楽にまつわる様々な豆知識です。気軽に読んでください。
第1話から順に読んでください。話がつながります。
♪第19話 CDの録音時間
CDの直径は12cm、最大録音時間は通常74分42秒です。直径12cmに録音できる時間が74分42秒になります。CDはドイツの家電メーカ フィリップスと日本のソニーが共同で開発したものです。当初、フィリップスはカセットテープの対角線と同じ直径11.5cm、録音時間60分を提唱しました。一方のソニーは、直径12cm、録音時間74分42秒を提唱しました。ソニーがなぜ12cmにこだわったかといいますと、クラシック曲の多くが60分ではおさまらず、74分42秒だったら、ほとんどの曲が収まるからというのが理由でした。
結局、ソニーの規格が採用されたのですが、これにはあの有名な指揮者ヘルベルト・フォン・カラヤンの助言があったからだと言われています。カラヤンの助言に従い、世界中の音楽を調べたところ、ドイツのフルトヴェングラー指揮のベートーベン作曲「交響曲第9番ニ長調」が74分32秒で最長であることが分かりました。60分では収まりませんね。フィリップスもカラヤンの助言とあっては、ソニーの提唱した規格を認めざるをえなかったようです。
ちなみにカラヤンの第九は66分だそうです。
現在では技術が進歩し直径12cmのCDに最長80分まで録音できるようになったそうです。
そういえば、以前は直径8cmのシングルCDがありましたが、近頃見かけませんね。もう作られていないのでしょうか。
♪ 第18話 アナログ録音とデジタル録音
最初にアナログとデジタルを時計で考えてみましょう。。
アナログ時計は針が切れ目なく連続的に動きます。アナログはこの連続的ということが特徴です。切れ目のない連続したものがアナログです。
それに対してデジタル時計は1秒ごとに数値が表示されます。つまり断片的で飛々に時間を表示します。デジタルはこの断片的で飛々ということが特徴です。断片的で飛々の数値にしたものがデジタルです。
はじめにアナログの話です。
音声はアナログの波です。右図の青い波形のような。切れ目なく連続的に波形が変化します。青い波形をある音声の一部を切り取った波形だとします。
アナログ録音は、このアナログ波形をそのまま記録し、再生します。アナログレコードはこの波形を溝の幅として記録します。
では、デジタル録音と再生です。
録音、再生ををCDの場合で説明します。まずは録音です。
録音は音声のアナログ波形をデジタル化したものをメディアに記録します。そのためには、順に以下の4つの作業を行います。
①標本化(サンプリング)
上図の一定時間間隔(上図の縦線の間隔)で音声波形の高さ(電圧)を測定します。CDの場合、1秒間に44100回(約0.00002268秒間隔)で測定しています。
②量子化
標本化した電圧を順番に数値に変換します。
上図の例ですと、0, 22, 39, 49, 48, 38, 21, 0, -21, -38, -48, -38, -22, 0の順番になります。
③符号化
量子化された数値を順番に0と1の2進数に変換します。つまりデジタル信号にするわけです。(2進数の話は置いておきます。)
④記録
符号化した2進数を順番にCDに記録します。
以上でデジタル録音が完成です。
さて、次は再生です。
再生はCDに記録されている2進数を録音したのと同じ時間間隔で順番に電圧に変化して(デジタル-アナログ変換)これを再生します。
すると、順番に電圧に変換された波形は右図のように階段状の波形になってしまい、元の音声波形と異なってしまいます。しかし、高速でデジタル標本化、量子化、符号化、記録を行い、また再生をおこなっているため、人間には全く違和感なく聞こえるのです。
では、最後にアナログと比較してデジタルが優れている点を説明します。
優れている点はいくつかありますが、音楽などの音声を電波で送ったり、または他のメディアにコピーしたときにデータの劣化がないということが最大の利点です。つまりノイズがのることがありません。
アナログの場合、電波で音声(波形)を送ったりすると途中で、波形にノイズがのってしまいます。線をつないでコピーするときも同様です。オーディオ装置内やケーブルを通る時などにノイズが乗ってしまいます。
また、音声の波形も多少なりとも崩れてしまいます。まったくそっくりな波形を送ったり、コピーすることができません。
それに対してデジタルは0と1だけです。データに多少のノイズがのったとしても、受け取り側で0と1を間違ってしまうことがありません。
そのため、送り側とそっくりなデータを受け取る(コピーなど)ことができるわけです。
我が家にも私が高校時代に買ったアナログレコートプレイヤーとアナログレコードが押し入れで眠っています。引っ張り出してオーディオ装置につないでみようかなと考えております。アナログはデジタルと違って柔らかい音がします。これもいいものです。
# 第17話 スピーカのうんちくあれこれ
ご自宅のオーディオスピーカのキャビネット(スピーカの箱)の前面についているカバーをはずしてみると、大小のスピーカが2つまたは3つついている場合があります。
なんで大きさの違う複数のスピーカーがついているかというと、それぞれのスピーカで違う音域を再生するためです。
音域ごとに専用のスピーカを用いることにより、幅広い音域を再生できます。右図のように、それぞれに名称がついています。キャビネットに3つのスピーカが付いている場合のそれぞれのスピーカの音域は以下の通りです。
ツイータ 高音域
スコーカ 中音域 (ミッドレンジともいいます)
ウーハ 低音域
つぎに、キャビネット(箱)は何のためにあるでしょうか。板にスピーカを取り付けただけではだめなのでしょうか。
キャビネットは単にスピーカを取り付けるだけのものではありません。主に2つの役割があります。
一つはスピーカの後ろ側から出てくる音を外に出さないためです。スピーカはコーンと呼ばれる部分が前後に振動し音を発生します。そのため前後で空気の振動が逆になります。
逆の振動が合わさると、打ち消し合って振動がなくなり音が消えてしまいます。そこでスピーカの後ろ側から出てくる音を閉じ込めるためにキャビネットが必要になります。
もうひとつは音を大きくするためです。(特に低音) スピーカが振動するとキャビネットも一緒に振動し空気を振動させます。それによって音を大きくするのです。(ギターのボディなどと同じ働きです。)
スピーカをキャビネットから外して音を聞いみると”シャカシャカ”した音しか出てきません。
そしてキャビネットの大きさ(体積)は、使用するスピーカの特性によって計算で決まります。テレビやラジオについているものはいい加減な大きさのものが多いですが。
大きさや形状は様々ですが、右図ような薄い板が幾層にもなったものがツイータについているのを見たことがありますか。
これは音響レンズといいます。音に限らず波は周波数が高くなるほど(高音になるほど)直線的に伝わります。そこで高音を適度に拡散するために設けています。
# 第16話 楽器の音色の違い
楽器によって、音色が異なりますね。同じ金管楽器でもトランペット、トロンボーン、サクスフォンなどでそれぞれ音色が異なります。
それぞれの楽器特有の音色があります。
トランペットでもメーカーや型番の違いで音色が異なりますし、同じトランペットでも演奏者によって音色が異なります。
また、人の声も個人々で違います。
それぞれの楽器の音色や人間の声を特徴づけているものは何なのでしょうか。
それは倍音の成分の違いです。
ご存知かもしれませんが、倍音とはピッチの整数倍の周波数の音のことです。楽器でラ3の音を出すとラ4、ラ5・・・・の音も一緒に出ます。
楽器や個人々でそれぞれの倍音の強さが異なるのです。これが、楽器の音色や人の声を特徴づけているのです。
この倍音は音でだけなく、すべての波で発生します。ある周波数の波を発生させると整数倍の周波数の波が一緒に発生します。科学では「高調波」といいます。
電気の回路でも電気の波を発生させることがよくありまが、この高調波が問題を起こすことがあります。音楽では高調波(倍音)は非常に大切なのですが。
「ストラディヴァリ」といえば、バイオリンの名器ですね。この「ストラディヴァリ」と現在の高級バイオリンの音を測定して、倍音などを科学的に比較したことがあるそうです。しかし、両者の違いは発見できなかったそうです。でも「ストラディヴァリ」の方がいい音がするのです。(私みたいな音楽の素人には区別つきませんが。)
現在の科学では解明できない何かがあるのでしょうね。
私も経験がありますが、電話で両親や兄弟と間違えられたことがありませんか。
もともと親子や兄弟は声が似ています。(倍音の成分が似ています。)
で、電話が相手に送っている音は、最高約3kHzです。ですから、3kHzより高い倍音はカットされてしまいます。そのため、似ている声がさらに似てしまうのです。
# 第15話 「およげ!たいやきくん」の印税
1975年国民的大ヒットになった子門真人の歌う「およげ!たいやきくん」。
この歌はフジテレビの子供向け番組”ひらけポンキッキ”の中で歌われた曲です。あまりにも反響が大きかったためレコード化されました。
40歳以上の方はよくご存じの歌かと思います。我が家にもレコードがありましたね。
売上枚数は453.6万枚。ダントツのトップです。いまだに抜かれていません。
2位の宮史郎とぴんからトリオの「女のみち」で325.6枚、100万枚以上の差があります。すごい記録ですね。
歌手がレコードを吹き込むときの契約方法は2つあります。1つはレコードの売り上げ枚数に応じて、印税を受け取る方法。もう1つは吹き込み料だけを1回受け取る方法です。
子門真人はまさかこんな大ヒットになるとは思わず、後者の方法で契約をしました。関係者も同じ思いだったのではないでしょうか。そのため、いくらレコードが売れても本人には1円も入ってきませんでした。
もし、印税方式の契約だったとすると、印税の総額は8700万円以上だそうです。
その後、彼には100万円と白いギターが1本贈られたそうですが、見合いませんね。
「およげ!たいやきくん」のB面は「いっぽんでもにんじん」。歌ったのはなぎら健壱です。近頃はなぎら健壱が歌手だということを知らない人も多いようですが。彼も吹き込み料だけを1回受け取る方法で契約したそうです。いつだったか、テレビで「失敗した」とこぼしていました。
廃版レコードというものをご存知ですか。絶版になったレコードのことです。この廃版レコードを専門に取り扱うレコード店もあり、売買されています。価格はレコードによって異なります。「およげ!たいやきくん」はこれだけ大ヒットしたレコードだったわりには安いそうです。あまりにも売れすぎたため、巷にあふれているからだそうです。
国内でどんな曲が多く売れたのか、気になって調べてみました。国内のシングルレコード売り上げTOP10を下表まとめてみました。
♭ 第14話 ステレオの原理
現在販売されいる音楽CDはほとんどがステレオ録音されたものです。またFM放送はステレオ放送を行っています。このステレオ(stereo)とは、立体という意味です。
ステレオ録音されたものやステレオ放送を聞くと完全ではありませんが、音が実際に生で聞いたように立体的に聞こえます。
今回はステレオの原理について、ステレオ録音を例にとってお話しします。
まず、人間のことを考えます。人間をはじめ動物は鳴っている音の方向を把握することができます。つまり、どの方向で音が鳴っているのかがわかります。
これは、耳が左右に2つあるからなのです。
どこかで音が鳴った時、左右の耳に届くその音の大きさの違いや時間差を認識して、音の方向を把握しているのです。
仮に真横右方向で太鼓を叩いたとします。人間の頭の直径を20cmとすると、左の耳に太鼓の音が届く時間は、右の耳に届いてから約0.000588秒後になります。
動物の脳は高度な性能を持っていますね。ほんの僅かな音の大きさの違いや時間差を認識できるのですから。
では、ステレオ録音の原理です。
ステレオ録音は、人間の耳をマイクでシミュレーションするものです。
左右の耳の代わりにマイクを左右に2本並べて置いて録音します。左のマイクが左耳、右のマイクが右耳の代わりになります。
そのとき、左右のマイクの音を独立して録音します。
そして、再生するときはスピーカを左右に置き、左のマイクで録音した音は左側のスピーカから、右のマイクで録音した音は右側のスピーカら出力します。そうすることにより、生で音を聞いたときと近い状況を再現します。そのため、ステレオは立体的で臨場感のある音が楽しめるのです。
クラシック音楽では今お話ししたようにマイク2本で録音することが多いです。各楽器の音のバランスを重要視しますので。
それに対してポップスでは、楽器1台につきマイク1本を置き、ミキシングコンソールという装置でそれぞれの楽器の音を電気的に左右どの辺から音が出ているようにするか調整して録音することが多いです。
ステレオ録音されたものを聞くときは、右図のように左右のスピーカと自分の位置が正三角形になるのが理想とされています。
♪ 第13話 ”うれしいひなまつり”の歌詞は間違い?
「あかりをつけましょ ぼんぼりに」で始まるサトウハチロー作詞、河村光陽作曲の童謡”うれしいひなまつり”。
どうも歌詞に間違いがあるようなのです。
2番に「お内裏様とおひな様 二人ならんですまし顔」という歌詞が出てきます。お内裏様は男雛のことを、おひな様は女雛のことを指しています。
しかし、どうもこれは間違いのようで、男雛と女雛一対をお内裏様と言うのだそうです。
内裏とは天皇が住まわれている場所のことを指します。ですから、内裏には天皇と皇后のお二人がいるわけですね。
この歌が有名になったことで、ほとんどの人がお内裏様は男雛を、おひな様は女雛だというのだと思ってしまいました。私もそうです。
サトウハチローは女の子の節句のひな飾りのことを詳しく知らなかったため、間違ってしまったようです。
きっかけはわかりませんが、後になって間違いに気付いたのですが、もう手遅れ。この歌が流行してしまった後でした。
そのため、サトウハチロウは自分で作詞したにもかかわらず、この歌が嫌いで、この歌を聞くことや話題にするのも嫌がったそうです。
凡人である私なんか、そこまで気にすることないのにと思ってしましますが、言葉を紡ぐ詩人としては許せなかったのでしょうね。
他にも歌詞がおかしい歌あります。
山下久美子の”赤道小町ドキッ”。 松本隆作詞で、歌詞の中に「思考回路はショート、 もえつきそうなヒューズ」とありますが、これも変です。ショートした瞬間にヒューズは切れます。ショートしてもヒューズがもえつきそうなんてのんびりしていては、ヒューズの役目を果たしません。ブレーカは落ちてしまいますし、その電気製品が壊れてしまいまう可能性もあります。最悪、燃えてしまいます。
♭ 第12話 HMVとニッパー
今回もニッパーの絵にまつわる話です。
現在でも、あのニッパーの絵をロゴマークとしている会社やベルリーナ・グラモフォン社が設立の関わった会社が多く残っています。
以下にいくつか紹介します。
JVCケンウッド(旧日本ビクター)
HMV
RCAレコード(旧ビクタートーキングマシン)
EMI(旧英グラモフォン) ブランドとしてはグラモフォンは残っています。
この中の一つHMVについてお話します。
HMVはみなさんご存じの世界的レコード量販店です。(でした。)
日本には1990年に進出しました。日本に1号店(渋谷店)ができたころは、新しくできた量販店だと思っていましたが、歴史は意外に古いものです。
ベルリーナ・グラモフォンの関連会社で、最古のクラシック音楽レコード会社グラモフォン(現英EMI)が1921年に自社のレコードを販売するために設立した会社です。
で、HMVのロゴマークにあの蓄音機が使われています。(ニッパーがいないのは寂しい)
注目すべきは、ブランド名のHMVです。これは、ニッパーの絵のタイトルである”His Master's Voice ”の頭文字をとったものです。しゃれていて、いいですね。
残念ながらHMVは、2013年に経営破たんしてしまいました。音楽のネット配信が盛んになった影響でしょうか。日本のHMVはローソンが買収し、現在も営業しています。
# 第11話 蓄音機に首を傾ける犬
音響機器メーカー「日本ビクター」(現JVCケンウッド)のロゴマークにもなっている蓄音機の前で首を傾ける犬の絵、一度は見たことがあるかと思います。
この絵はフランシス・バロウドというイギリスの画家が描いたもので、少し悲しく、心温まる物語があります。
この犬は実在した犬で、名前を「ニッパー」といいます。飼い主はフランシスの兄で、同じく画家のマーク・ヘンリー・バロウドです。
お客さんが訪ねてくると、いつもお客さんの足を噛もうとすることから、この名前がつけられました。
1887年に飼い主の兄のマークが病死してしまします。そこで、弟のフランシスがニッパーを引き取りました。
そしてある日、生前吹き込まれたマークの声を蓄音機で再生したところ、ニッパーが懐かしそうに、不思議そうに首を傾け、蓄音機を覗き込み、マークの声に聞き入ったそうです。亡き飼い主の声を忘れなかったんですね。
その姿に感動し、フランシスが描いたものがこの絵です。タイトルは、”His Master's Voice” (彼の主人の声)といいます。
その後、フランシスはこの絵をエジソンの会社エジソン・ベル社にロゴマークとして買ってくれないかと売り込みに行きました。しかし、犬は蓄音機は聴かないと、断られてしまいました。
そこで、エミール・ ベルリナーが設立し、同じく蓄音機を製造していたライバル会社であるベルリーナ・グラモフォン社に売り込みに行き、買い取ってもらうことに成功しました。
そして1900年にベルリーナ・グラモフォン社の商標として登録されました。
そのため、ロゴマークの蓄音機はベルリーナ・グラモフォン社のものが描かれています。蓄音機をベルリーナ・グラモフォン社製のものに描き直したのです。
ビクターは、ベルリーナ・グラモフォン社が設立した会社なので、このロゴマークが使われています。
両社の蓄音機の違いは何かといいますと、音を記録する媒体の形状です。エジソン・ベル社のものは円筒型、ベルリーナ・グラモフォン社のものは現在のアナログレコードと同じ円盤型です。
最終的にはベルリーナ・グラモフォン社のものが主流となりました。円盤型の方が原版をプレスし大量生産が可能だったことと、かさばらないのが理由だったようです。
最初に発明したエジソンの蓄音機が残らなかったのは少し残念な気もしますね。
♪第10話 エジソンミュージアム
今回は少し趣向をかえたお話です。
現在では、スマートフォンやCDなどで気軽に音楽を楽しむことができます。 しかし、19世紀に蓄音機が発明される前までは生演奏以外に音楽を聞くことはできませんでした。音を記録再生する装置である蓄音機を発明したのはみんさんご存じの通り、発明家のトーマス・エジソン(右写真・1847~1931)です。
しかし、エジソンは利用目的を考えずに蓄音機を発明したそうです。
現在のアナログレコードはこの蓄音機と同じ原理で録音再生されています。
こどものころから科学技術に興味があり、尊敬する人は?と聞かれるとエジソンと答えていた私、先日「エジソンミュージアム」なるものがあることを知って、さっそく見学に行ってきました。紹介します。
場所は新撰組の前身である壬生浪士組で有名な栃木県の壬生町にある「バンダイミュージアム」です。玩具メーカー「バンダイ」が運営するおもちゃの博物館です。その中に「エジソンミュージアム」があります。
「エジソンミュージアム」は、公益財団法バンダイコレクション財団が運営しています。
余談ですが、この町はおもちゃの町として有名なのですね。玩具メーカーの研究所や工場が集まった「おもちゃ団地」があり、この博物館もこの団地内にあります。
最寄り駅の名前はなんと「おもちゃのまち」、東武宇都宮線の駅です。
「エジソンミュージアム」には、蓄音機を始めエジソンが発明した白熱電球、映写機などさまざまな製品300点が展示されています。展示品とともに発明の経緯などを知ることができ、楽しいです。そして当時の製品を実際にこの目で見ることができるのは、感動です。写真撮影が自由なのもいいです。
このほかに彼の足跡なども紹介展示されています。
収蔵品は3000点もあるそうです。すごい数ですね。全部見てみたいものです。
残念ながらうっかり見逃してしまったのですが、エジソンの肉声を蓄音器で聞くことができるようです。エジソンの肉声、聞いてみたかった。近いうちに再度行かなくてはと思っています。
こんど行きましたら、その肉声と蓄音機の写真など掲載しますね。
皆さんも一度訪れてはいかがでしょうか。とくに科学技術に興味のある方にはお勧めです。
おもちゃの博物館もいいですよ。子供のころ遊んだことのある数々のおもちゃの展示も楽しいです。
《バンダイミュージアム情報》 2023年1月27日現在
開館時間 10:00~16:30(最終入館時間 16:00)
休 館 日 毎週 火曜日、水曜日、年末年始
入 館 料 高校生以上 ¥1,000 4歳~中学生 ¥600 65歳以上 ¥800
アクセス 東武宇都宮線「おもちゃのまち駅」から徒歩10分 / 北関東自動車道「壬生IC」から車で5分
# 第9話 サントラの由来
サントラとはサウンドトラックを縮めたものです。これも日本生まれの造語のような気がしますね。
直訳すると音声を運ぶトラックということになります。何の事かさっぱりわかりませんよね。
当然ですが、現在の映画フィルムには映像とともに音声も記録されています。映画の中で使われているオリジナル音楽をサントラといいますね。ただし、他の人が演奏したものはサントラとはいいません。また、オリジナルの映画音楽レコード、音楽CDなどをサントラ盤といったりします。
フィルムの映像を記録してある部分を映像トラック、その隣にある音声を記録してある部分をサウンドトラック(音声トラック)と呼んでいます。
そこで、サウンドトラックに記録してある音楽なので、映画で使われたオリジナルの音楽をサウンドトラックというようになりました。
音の記録方式には光学式のものとカセットテープのような磁気式のものがあり、どちらもアナログレードと同じように音の波形がそのまま記録されています。(右の図はモノラルの光学式です。)
トラックとう言葉、音楽メディアではよく使います。たとえばカセットテープ、ステレオ録音の場合、左右の音を記録するので2トラック、それがA面・B面あるので合計4トラックなどといいます。
今では時代が進んで、新作をフィルムで上映する映画館もなくなってきました。今はDVDやネット動画のようにデジタルデータにしたものをプロジェクタで上映しています。
しかも、DVDようなメディアを映画館に持ってくるのではなく、人工衛星などを使って配給会社から、映画館に直接データを送っているそうです。
ですので、昔のようにフィルムがうまく流れなくなって、映像が途中で止まってしまったり、映像に雨が降ること(映像に雨のようなノイズが入ること)もなくなりました。
私にも心に残っている映画音楽が何曲かありますが、みなさんの心に残っている映画音楽はなんですか。
♭ 第8話 トリオ、カルテットで何語?
音楽で3人グループのことをトリオ、4人グループのことをカルテットなどといいますね。音楽以外のグループでも使われますよね。
この語源についてお話します。
遠い昔の話です。もしかしたら、今これを読まれている方が生まれる前の話かもしれません。
私が高校生のとき、化学の先生からギリシャ語の数字の読み方を教わりました。物質の名前にギリシャ語の数字の読みを使うことがあるためです。
そのとき、お笑い芸人や音楽の人数ごとのグループの呼び方と似ている部分あるなーと思い、気になり調べてみました。
トリオ、カルテット等、フランス語、イタリア語のようですが、元をたどるとラテン語、ギリシャ語の数字の読み方からきているようです。
1人~10人グループについて下表にまとめました。
グループの呼び方のスペルの頭の方とラテン語またはギリシャ語のスペルの頭の方がにていますよね。
番外編でカンダーの月の話でも出てきましたが、ラテン語、ギリシャ語の数字の読みがいろいろな単語に使われています。
これを書くとき、10人グループまでは知っていたのですが、11人以上のグループはなんと呼ぶのかなと思いネットで調べてみたのですが、見つかりませんでした。呼び名はないのでしょうかね。どなたかご存知ですか?
# 番外編 October はなぜ8月でなくて10月なの?
第4話で、10月は英語ではOctober で頭にoct がついているのに、なぜ8月でなく10月なのかの答えを書きませんでした。そこで、今回は番外編として、その理由や経緯についてお話します。
もともとOctober はその名の通り8番目の月のことでした。それがあるとき10番目の月をOctober というようになりました。途中で変わってしまったのです。では、October が8番目の月から10番目の月に変わってしまったかの経緯を説明します。
その昔、ヨーロッパでは①ような1年を「冬の期間日付のない61日」と「10ケ月(304日)」というなんとも不思議なカレンダー(Roman Calendar)を使っていました。農作業のない冬の61日間は日付が必要なかったためと思われます。このときは名前の通りOctober は8番目の月でした。
時代は下って紀元前700年ごろ、日付のない61日を2つに分け新しい月(新1月と新2月)を作ることになり、新1月をJanuary 、新2月をFebruary と名づけました。
すると、いままでの1月~10月(March ~December )が後ろに2ケ月ずれることになってしまいました。それで、October も10番目の月になってしまったというわけです。②
その後、さらに新しい暦ユリウス暦を作ったJulius Caesar (ユリウス・カエサル)にちなんで、7番目の月をQuinqueber またはQuintilis からJuly に改名しました。
そして、ユリウス暦を改訂したローマ皇帝Augustus (アウグストゥス)にちなんで、8番目の月をSexbar またはSextilis からAugust に改名ました。③
また、現在は1月は31日、2月は28日(29日)、たしても”日付けのない61日”には足りませんね。各月の日数についても面白い話があります。興味のある方は調べてみてください。ネットにも書かれているサイトがあると思います。
月の名前の由来と意味
January 1年の入り口ということで、入り口とドアの神ヤヌス(Janus)から
February ローマで毎年2月に行われていた慰霊祭の主神フェブルウス(Februus)から
March ローマ神話マルス(Mars )から
April ギリシャ神話の女神アプロディーテの別名(Apru )から
May ローマ神話の女神マイア(Maia )から
June ローマ神話のユピテル(ジュピター)の妻ユノ(Juno )から
July 新しい暦ユリウス暦を作ったJulius Caesar (ユリウス・カエサル)から
August ユリウス暦を改訂したローマ皇帝Augustus (アウグストゥス)から
Quinqueber 5番目の月の意味 *1
Sexbar 6番目の月の意味 *2
September 7番目の月の意味
October 8番目の月の意味
November 9番目の月の意味
December 10番目の月の意味
*1 Quintilis ともいいます。
*2 Sextilis ともいいます。
♪ 第7話 ラジオ放送の音質
同じラジオ放送でもAM放送とFM放送を聞いてみると、明らかにFM放送の方が音質がいいと思いませんか。確かに音がいいのです。
なのでFM放送は音楽番組が多いのです。聞き比べた事のない方は一度聞き比べてみてください。
なぜFM放送のほうが音がいいのでしょうか。
その前に、AM放送とFM放送の違いを簡単に説明します。AM、FMとは電波に音を乗せる方式(変調方式といいます。)のこといいます。
●AM方式:Amplitude Moderation(振幅変調)
右図のように乗せる音の波形に応じて電波の強さ(振幅)を変化させる。(周波数は変化しない。)
●FM方式:Frequency Modulation(周波数変調)
乗せる音の波形に応じて電波の周波数を微妙に変化させる。(振幅は変化しない。)
そして、受信側(ラジオ)では、上図2つのように変化した電波から音を取り出し、大きくしてスピーカから出力しています。
では、FM放送のほうが音がいい理由です。いくつかありますが、それを以下に列挙します。
1.電波に乗せている(乗せることのできる)音の最高周波数に違いがある。(法令で、決まっています。)
AM放送 最高7.5kHzまで
FM放送 最高15kHzまで
人間の声や音楽はさまざま周波数の音が混じり合っています。なのにAM放送は最高7.5kHzまでの音しか送っていないため、FM放送と比較するとこもったような音になってしまうのです。
2.FM方式は電波に乗ったノイズをカットできる。
電波が空を飛んでいますと、さまざまなことが原因で電波にノイズが乗ってしまいます。とくに雷が鳴ると大きなノイズが乗ります。右図の青い波が音を乗せた電波、赤い部分が電波に乗ったノイズだとします。
なにもしないでそのまま音を取り出すとスピーカから音と一緒にノイズが出てきてしまいます。
そこでFM方式はこのノイズを振幅制限器という回路でカットしているのです。(完璧ではありませんが、)それでノイズが少なくなるのです。
AM方式はこれができません。
3.高音を大きくして送っている。
様々な音響機器を聞いていますと、何も音がないときでも”サー”というノイズが聞こえますよね。このノイズは電子機器では、どうしても発生してしまいます。このノイズ成分は比較的周波数が高いのです。
そこで、送信側(放送局)は音が高くなるにしたがって音を大きくして送っているのです。
そして受信側(ラジオ)は逆に高い音ほど音を大きくする割合小さくして、音を元に戻しているのです。つまり、結果的にノイズが小さくなります。
現在はFM放送局が増えましたね。私が若いころはFM放送局はNHK-FMとFM東京しかありませんでした。そして、今以上にFMの受信できるラジオは高価でした。中学生の時、小遣いをためてようやく買った思い出があります。
♭ 第6話 マチソワの語源は?
同じ日に昼の公演と夜の公演の両方を観賞することをマチソワといいますね。とくにミュージカルでよく使われます。
先日も知人が「音楽会をマチソワしてきました。」なんて言ってました。
マチソワという言葉、これは日本人お得意の造語でして、マチネとソワレを縮めてくっつけたものです。外国では通じません。マチネは昼の公演、ソワレは夜の公演のことですが、マチネとソワレ、それぞれの語源はなんなんでしょう。
両方ともフランス語です。
マチネ(matinee)昼・午前中
ソワレ(soiree) 夜会服
マチネはそのまま昼または午前中という意味です。それで昼の公演をマチネというようになりました。
そして、ソワレは女性がパーティーなどに着て行く夜会服(ドレス)のことです。昔、女性が夜会服を着てミュージカル鑑賞などに出かけたことから、夜の公演のことをソワレというようになりました。
それで、マチソワ。
音楽の用語で他にも造語がないかと思い出してみましたらありました。
ゲネプロ。本番さながらに全体を通しで行うリハーサルことです。どちらかといういうと出演者のためというより、照明・音響・舞台セットなどのスタッフが進行の手順を確認するために行うものです。
これはドイツ語のgeneralprobe (ゲネラールプローベ)を縮めたものです。日本語にすると「総合的稽古」となるでしょうか。
他にもオーケストラのことをオケといいますね。歌が入っていないから空オケ。まだありそうですね。
♯ 第5話 古関裕而とオリンピック
テレビドラマと内容の重なる部分がもあるかと思いますが、ご勘弁ください。
NHK朝の連続テレビ小説「エール」の主人公で、窪田正孝が演じる古山裕一のモデルとなった作曲家古関裕而氏(こせき ゆうじ、1909~1989)。このドラマで名前を知った方も多いことでしょう。
個人的なことを書かせていただきますと、私にとってはなじみのある人で、以前から知っていました。というのも、読売ジャイアンツの応援歌「闘魂こめて」の作曲者でもあるのです。子供のころからのジャイアンツファンで、ここ数年はご無沙汰なのですが、以前は年に数回東京ドームにジャイアンツ戦を観戦に行ってました。東京ドームでは、7回裏の始めと、ジャイアンツが勝利した場合は試合終了後に『闘魂こめて~』と観客全員で大合唱します。大きな声で思っきり歌えるのがなんと気持ちのいいことか。アンチ巨人の方、ごめんなさい。
でも、タイガースファンも古関氏をご存じのはずです。ジャイアンツの宿敵阪神タイガースの応援歌「六甲おろし」も古関氏の作曲です。
古関氏はプロ野球ファンでなかったため、宿敵同士の両チームの作曲依頼を引き受けたようです。
では、本題です。
1964年の東京オリンピックの行進曲「オリンピック・マーチ」を作曲したのも古関氏です。開会式の入場行進で使われた曲です。
来年に延期された東京オリンピックでもこの「オリンピック・マーチ」を再演しようという動きがあるようです。
また、現在ではオリンピックの開会式・閉会式で必ず演奏される「オリンピック賛歌」という曲があります。1896年の第1回アテネ大会で初めて演奏されましたが、その後楽譜が行方不明になってしまい、演奏されることもなくなっていきました。
ところが1958年、ギリシャのIOC委員から「楽譜が見つかった」との連絡が楽譜とともに日本にもたらされました。
しかし、その楽譜はピアノ用だっため、NHK経由で古関氏にオーケストラ用に編曲してほしいと依頼がありした。古関氏によって編曲された「オリンピック賛歌」は、1964年の東京大会以降、開会式・閉会式には必ず演奏されています。そしていまでも毎回古関氏の楽譜が使い続けられています。
古関氏は、このほか数多くの応援歌、行進曲、校歌、歌謡曲などを作曲し、5000曲以上の作品を残しています。
曲名は知らなくてもどこかで一度は古関氏の曲を聞いたことがあると思います。
ほんの一部ですが紹介します。
たぶん YouTube にアップされていると思います。一度聞いてみてください。「あー、この曲ね」と思う曲があります。
読売ジャイアンツ応援歌「闘魂こめて」
阪神タイガース応援歌「六甲おろし」
NHKスポーツ中継テーマ曲「スポーツショー行進曲」
1964年東京オリンピック行進曲「オリンピック・マーチ」
映画「モスラ」挿入歌「モスラの歌」
アニメ「ドカベン」挿入歌「ああ甲子園」
夏の甲子園行進曲「栄冠は君に輝く」
映画「長崎の鐘」挿入曲「長崎の鐘」
「イヨマンテの夜」
「高原列車は行く」
「オリンピック賛歌」(編曲)
1年延期になってしまった東京オリンピック、来年の夏には「オリンピック讃歌」を聞くとができることを期待しましょう。もちろん表彰式での「君が代」とともに。
♪ 第4話 音階のお話
私たちが普段使っている音階の元を発明したのは誰でしょう。私もそれを知った時は驚きました。その人は「ピタゴラスの定理」で有名な古代ギリシャの哲学者、数学者のピタゴラスです。ピタゴラスが発明した音階を「ピタゴラス音階(律)」と言います。
どのように発明したかについては、今回は置いておきましょう。
ピタゴラスという人は多彩な才能のもった人だったのですね。
その後、「純正律」、「平均律」等、いくつか音律が作られました。音律によって微妙に音の高さが異なります。ここでは、その中の一つで、現在もっとも使われている「平均律」で話を進めます。
ラ3とラ4との関係は1オクターブ(octave)になりますね。で、ラ3の周波数は220Hz、ラ4の周波数は440Hzです。つまり、1オクターブ高い音の周波数は倍になります。
では、それぞれ隣り合う音階はどれくらい音の高さ(周波数)の違いがあるのでしょうか。
隣り合う音階の周波数はどの音階でも比率が同じになっています。その比率r は割りきれないのですが、約1.05963094になります。音階は比率r で並んでいます。つまり、比率r の等比数列になっています。
r を数学的に式で表しますと、1オクターブは12音階で周波数が倍になりますので、12√2 ≒ 1.05963094となります。
ラ4は440Hzですので、ラ#4は、440Hz×r で約466.164Hzになり、シ4は、440Hz×r×r で約493.883Hzとなります。
♭ 第3話 音の速度にまつわるお話
音が空気を伝わる速さ(音速)は毎秒約340mです。(気圧などによって多少変化します。)
この音速のことをマッハ1といいます。よくジェット戦闘機の速度をマッハという単位で表しますが、マッハ1のジェット戦闘機といったら、このジェット戦闘機は毎秒340mの速度で飛ぶという意味です。マッハ2でしたら秒速680mとなります。
この音速が問題になる陸上競技があります。100m走などの短距離走です。ご存じの通りスタートの合図はピストルの音で行います。
ということは、一番早くピストルの音を聞くことができる選手が一番有利になります。一番早くスタートできますから。その選手はピストルに一番近いコースの選手です。逆に一番不利なのはピストルから一番遠いコースの選手です。
短距離走は1/100秒を争う競技です。コースによってピストルの聞こえる時間が違っていては大きな有利、不利が生じます。そのため、現在公式な競技会においては各コースにスピーカーを設置するなど、すべてのコースで同時にピストルの音が聞こえるようにしています。
話はかわりまして、電磁波の仲間である光はどのくらいの速度で伝わるのでしょうか。とてつもなく速いです。秒速3×108m(30万km)です。想像つきませんよね。30万kmは約地球7周半の距離になります。
ちなみに電磁波の仲間にはいろいろあります。違いは周波数です。電磁波の仲間を周波数の低いほうから高いほうに並べると以下のようになります。
電波
赤外線
光(可視光線)
紫外線
X線
γ線(放射線の一つ)
電磁波って不思議ですね。周波数が違うだけで、目に見える光になったり、γ線のように生物に大きな害を与えたり。
ところで、これからの季節、雷が発生することが多くなりますね。
光と音の速度差を利用すると、自分と雷とのおおよその距離を知ることができます。光の速度はとてつもなく速いので、私たちが普段生活している中ではほぼ無限と考えます。そして音の速度は毎秒約340mですよね。
ですから、稲光が光ってから雷鳴が聞こえるまでの時間を測ればいいのです。
光ってから雷鳴が聞こえるまでの時間が1秒だったとすると、自分と雷の距離は約340mということになります。2秒ならば680mです。
雷には、くれぐれもご注意を。雷が鳴り出したら、安全なところに避難しましょう。
♯ 第2話 ピアノってなんでピアノなの?
ピアノ(p )に対してフォルテ(f )がありますが、なぜ楽器のピアノをピアノと呼ぶのでしょうか。フォルテって楽器はないの?
ピアノが発明される前までの鍵盤楽器といえばチェンバロでした。姿形はピアノとよく似ていますが、音の出し方がピアノと異なります。
チェンバロは爪で弦をはじいて音を出します。そのため、音の強弱を出すことができません。
そこで、イタリアのクリストフォリという人がどうにか音の強弱を出せないものかと考え、1797年にピアノの原型を発明しました。
その音の出し方は、ハンマーで弦を叩くという方法です。
これでしたら鍵盤をたたく強さなどによって、音の強弱を出すことができます。
そこで、ピアノは弱い音から強い音まで出せるという意味で、最初はピアノフォルテまたはフォルテピアノと呼ばれていました。現在はこの名前を縮めてピアノと呼んでいます。
それで現在でもピアノを略記号でpf と表します。
その後、さまざまな改良が重ねられ、豊かな表現ができる現在のピアノに至っています。
♪ 第1話 音ってなあに? 周波数ってなあに?
音とは科学的にみるとどのようなものなのでしょうか?簡単にいいますと音とは空気の振動の波です。音波ともいいますよね。
空気が振動していると、その空気の振動が私たちの耳に音として聞こえるのです。
つぎに、音楽でもよく使われますが、周波数ってなんなのでしょうか?
みなさんの中には音の高さのことを周波数というのだと思っている方がいらっしゃるかもしれません。周波数とは音の高さのことではありません。(結果的に周波数の違いが音の高さの違いになるのですが。)
周波数とは1秒間に発生する(繰り返す)波の数のことを言います。音でいえば、1秒間に空気が振動する回数のことです。
そしてHz(ヘルツ)は周波数の単位です。1秒間に波が100回の早さで繰り返されていれば(音なら、1秒間に空気が100回の早さで振動していれば)、100Hzと表します。
ですので、音以外の波も周波数で表します。たとえば電磁波の仲間の電波。NHKの第一放送(東京)が使用している電波の周波数は594kHzという具合に。
音は、周波数が低ければ低いほど(繰り返す波の数が少なければ少ないほど)低音になり、高ければ高いほど(繰り返す波の数が多ければ多いほど)高音になります。
ご存じの方も多いと思いますが、ハ長調のラ(ラ4)の周波数は440Hzです。
楽器や声でラ4の音を出すと、空気が1秒間に440回の早さで振動するのです。
ピアノでしたら、ラ4の鍵盤をたたくと、ハンマーがラ4の弦をたたきます。すると、弦が1秒間に440回の早さで振動し、結果的に弦が空気を1秒間に440回の早さで振動させるのです。(ピッチ以外の音は考えないことにします。)
そしてこの空気の振動が私たちの耳に伝わり、ラ4の音と認識するわけです。
しかし、すべての空気の振動が音として人間に聞こえるわけではありません。人によって差はありますが、人間に聞こえる音の周波数はだいたい20Hz~20kHz(20000Hz)といわれています。
ちなみに20kHzを超える空気の振動を超音波(人間が聞こえる音の周波数を超えているので)といいます。
また、年齢とともに耳が遠くなるといわれますが、年を重ねるにつれて高い音が聞こえなくなってくるのが原因だそうです。
自分で測ってみたのですが、私の場合14kHzくらいが限界でした。昔はもっと高い音も聞こえたのに。年は取りたくないものです。
* 1kHz=1000Hz