小西祥子(保健学博士)  Shoko Konishi, PhD

東京大学大学院医学系研究科 人類生態学教室 助教 
米国ワシントン大学人類学部 客員助教

Assistant Professor, Department of Human Ecology, Graduate School of Medicine, The University of Tokyo
Affiliate Assistant Professor, Department of Anthropology, University of Washington                                    


専門分野  Special field

人類生態学、生物人口学、環境保健学 Human Ecology, Biodemography, Environmental Health

人を取り巻く環境と人の健康との関連について研究しています。
環境曝露および健康状態を定量的に評価するため、バイオマーカーを利用しています。
バイオマーカーのin-houseアッセイによる測定方法の開発、妥当性の検証については、ワシントン大学人類学部生物人口学研究室 (Biodemography Lab) のKathleen A. O'Connor教授らと共同研究を行ってきました。

今年は出生の生物人口学に関する英語の書籍を出版しました。

Biodemography of Fertility in Japan
Authors: Konishi, Shoko, Tamaki, Emi, Yoshinaga, Jun
Springer, 2018



最近取り組んでいる主な研究課題は次の3つです。

1.ヒトの妊孕力の多様性の解明

子どもを生む生物学的な能力を人口学用語で「妊孕力(にんようりょく)」といいます。
月経周期あたりの受胎確率(=[ある周期で妊娠したカップル数]/[ある周期の開始時に妊娠していなかったカップル数])を測定したいくつかの疫学研究によると、妊孕力はカップル間で大きく異なる(heterogeneous, 異質性がある)ことがわかっています。
その間接的な証拠として、避妊をやめた複数のカップルを追跡すると、妊娠しやすいカップルが初期に妊娠し、妊娠しにくいカップルが残るので、見かけ上は追跡期間を通じて集団の受胎確率が低下します。

経験的にカップル間の妊孕力の異質性が知られている一方、どのような要素が妊孕力の高さを決めるのかについてはわずかなことしかわかっていません。
男女ともに年齢が上がると妊孕力が低下します。また当然ながら月経周期あたりの性交頻度や(排卵日に対する)タイミングは受胎確率に強く影響します。
しかし年齢や行動の影響を調整してもなお妊孕力の異質性が存在します。

妊孕力の異質性の解明を目指して、特に環境化学物質曝露の妊孕力への影響に着目しながら研究しています。

2.少子化に対する生物行動的要因の解明

日本や他の多くの国々で少子化(低出生力)が進行しています。
カップルが子どもをもつことを望まないこと、また結婚する男女が減っていることは低出生力の主な要因です。
一方、日本は世界で最も多くの不妊治療が行われていることから、妊娠を希望するカップルの妊孕力が低いことも低出生力の一因であると推測されます。

私たちは受胎待ち時間(避妊をやめてから妊娠するまでに要する期間の長さ)を指標として疫学調査を実施し、妊娠を希望する日本人カップルの妊孕力を測定しました(Konishi et al. in press, 人口学研究)。
今後はシミュレーションモデルを用いて、カップルの妊孕力が日本の出生力に及ぼす影響を推定する予定です。
また、性交の頻度やタイミングなどの変化が妊孕力への影響を通して出生力に及ぼしうるインパクトについても研究をすすめています。

3.大気環境の健康影響の解明

大気環境が人の健康に及ぼす影響について環境疫学の手法を用いて研究しています。
現在は特に、大気環境の健康影響の栄養状態による修飾について研究をすすめています。