アセモグル & ロビンソン『狭い回廊』
輪読用メモ
(2021年度安藤ゼミ)
英語版の書影
本ページは、ダロン・アセモグル & ジェイムズ・ A・ ロビンソン(2020) 『自由の命運:国家、社会、そして狭い回廊 』( 原題:"The narrow corridor: States, societies, and the fate of liberty")[Amazon 上] [Amazon 下] の2021年度ゼミ輪読用のメモページです。輪読には日本語版を用います。
本書は、「自由」に関する古今東西の多岐に渡る歴史現象や時事問題を、「狭い回廊」というシンプルな概念を用いて分析しています。このアプローチが個別事象の分析にどこまで成功しているのか、各事象について素人である私たちには、厳密な評価は難しいです。
一方で、この本を通じて、
(1) 一般性のある仮説・概念・理論を構築すること
(2) それらを用いて様々な歴史・経済・社会事象を実証的に分析・考察すること
(3) (1)や(2)の妥当性を批判的に検証すること
という社会科学の基本的な方法論を、様々な歴史現象や時事問題を題材として学ぶことができます。
この本を読むことを通じて、そのような「方法論的態度」を学び、仮説・概念・理論を通じて世の中を見るとはどういうことかを考えてほしいと思います。
文明論的な印象を受ける本ですが、自分たちの身近な経験・生活や時事問題にも引き寄せて考えられるようにします。
※リンク先の記述(とりわけWikipediaの記述)については、記述の正確性が担保されていない可能性も高いことを常に念頭において読むようにしてください。とくにWikipediaについては、本文の記述そのものよりも、下部の「著作」、「出典」、「脚注」、「関連項目」などから、より専門的な研究やより広い文脈を理解するために使用する、という意識をもって利用してください。
序章
ジョン・ロックの自由論について
ジョン・ロック [Wiki]
『【ジョンロックの思想とは】『統治二論』からわかりやすく解説』 [リベラルアーツガイド]
ジョン・ロック『統治二論』[内容・目次]
シリアの内戦について
ギルガメシュ叙事詩
サフラジェット運動
映画「未来を花束にして」(原題:Suffragette) [Link] [Wiki] [Facebook]
「女性参政権運動について描いた映画『サフラジェット』の邦題が『未来を花束にして』に…公開を喜びつつも何とも言えない気持ちになる人々」[togettor]
Women’s suffrage: After 100 years since millions of women got the vote around the world, how do their rights compare now? [Independent]
『女性のいない民主主義』(前田健太郎)[Link]
【第一波フェミニズムとは】背景から具体的な運動までわかりやすく解説 [リベラルアーツガイド]
第1章 歴史はどのようにして終わるのか?
歴史の終わり(民主主義と自由主義経済の勝利) VS アナーキー VS デジタル専制体制
フランシス・フクヤマ (1989)「歴史の終わり?」(原題:The End of History?) [JSTOR] [全文]
フランシス・フクヤマ (1991) 『歴史の終わり』 (原題:"The End of History and the Last Man") [解説記事] [2015年のフクヤマ氏インタビュー]
ロバート・カプラン (1994) 「迫り来るアナーキー」(原題:The Coming Anarchy) [Link]
ユヴァル・ノア・ハラリ (2018)「なぜテクノロジーは暴虐を利するのか」(原題:Why Technology Favors Tyranny)[Link]
この記事は、ユヴァル・ノア・ハラリ (2019)『21 Lessons 21世紀の人類のための21の思考』[Link] に基づいている。
コンゴ民主共和国と戦時性暴力
内務省イギリス国境局 (2012)『コンゴ民主共和国』(法務省入国管理局による仮約)[Link]
デニス・ムクウェゲ(2018年ノーベル平和賞受賞者「戦場や紛争地域において兵器として用いられる戦時性暴力を終結させるための努力に対して」)
米川正子(2016)「ノーベル平和賞以上の価値があるコンゴ人のデニ・ムクウェゲ医師 ―性的テロリズムの影響力とコンゴ東部の実態―」[Newsweek]
特定非営利活動法人RITA-Congo[Link]
ナイジェリアとラゴス
ナイジェリア
ラゴス
ウォーレン・ショインカ
ドイツ第三帝国の官僚機構
【官僚制とは】日本の特徴からウェーバーの議論までわかりやすく解説 [リベラルアーツガイド]
アドルフ・アイヒマン [Wiki]
中国の労働教養/共同体矯正制度/楓橋経験
「裁判無しで拘束、中国が労働教養制度を廃止へ 国営メディア 」(2013.1.21) [APF]
「ハロウィーン用品からSOSの手紙、中国労働教養所の実態告発」 (2013.11.7) [CNN]
「監視先進国の中国、密告アプリには市民がためらい 違法行為などを通報する市民には報酬が与えられる」 (2018.1.2) [Wall Street Journal]
梶谷懐 (2019) 「新疆ウイグル自治区で 復活する「労働教養所」」(2019.1.4) [東洋経済Plus]
「中国・強制労働施設の実態を暴くSOSの手紙 絶句する衝撃作「馬三家からの手紙」3月公開」 (2020.2.22) [映画.com]
野嶋剛 (2020) 「中国の「強制収容所」から米国に届いた告発の手紙 ドキュメンタリー映画「馬三家(マサンジャ)からの手紙」」(2020.3.27) [Wedge]
ホッブスの『リヴァイアサン』
「【ホッブズの『リヴァイアサン』とは】内容・議論をわかりやすく解説」[リベラルアーツガイド]
「ホッブズ『リヴァイアサン』を解読する」[Link]
橋本努「ホッブズ『リヴァイアサン』岩波文庫 」レジュメ[Link]
第2章 赤の女王
古代ギリシャのアテナイ
アルバニアの山岳地域
建国初期のアメリカ合衆国
ナイジェリアのティブ社会
レバノン
レバノンのごみ問題
レバノン:廃棄物問題が公衆衛生リスクに 野焼きをやめて長期的な管理計画を(2017.12.1) [Human Rights Watch]
中国の官僚制度と汚職
「狭い回廊」の数理モデル論文
Acemoglu and Robinson (2018) The Emergence of Weak, Despotic and Inclusive States [WP]
第3章 力への意志
ムハンマド
シャカ
カメハメハ一世
シェワルナゼ
第4章 回廊の外の経済
グェンベ・トンガ
RCD-Goma
イブン・ハルドゥーン
収奪的成長(と専横的成長)
Acemoglu (2015) "Why Nations Fail?" THe Pakistan Development Review, 54:4, pp.301-312 [Link]
Acemoglu and Robinson (2019) Rents and economic development: the perspective of Why Nations Fail, Public Choice, 181:13-28 [Link]
「既得権益層が居座り続ければ、国は衰退する ダロン・アセモグル米MIT教授インタビュー」(2013) [日経ビジネス]
「MIT教授が説く、裕福な国と貧しい国が生まれる根本的な理由」(2016) [News Picks]
Book Information 『国家はなぜ衰退するのか』(毎日新聞社 新聞研究本部 位川一郎) [Link]
梶谷懐(2014)「なぜ中国経済論は収斂しないのかーアセモグル・ロビンソンの制度論から考えるー」 JRIレビュー, Vol.3, No.13, pp.8-24 [Link]
専横的成長とその終焉・不在
バラ革命 [Wiki]
前田弘毅「グルジアのバラ革命-「革命」にみる連続性ー」スラブ研究センター研究報告集 No.16 第1章 [Link]
宇山智彦・前田弘毅・藤森信吉「 グルジア・ウクライナ・クルグズスタン三国「革命」の比較 」スラブ研究センター研究報告集 No.16 第4章 [Link]
第5章 善政の寓意
コムーネ
シエナ [wiki]
アンブロージョ・ロレンツェッティ(「ノーヴェの間(九頭の間)」のフレスコ壁画を書いた画家) [wiki]
「ノーヴェの間(九頭の間)」のフレスコ壁画(「善政の寓意」、「悪性の寓意」、「都市と田園における善政の効果」、「都市と田園における悪政の効果」)[イタリア政府観光局]
ポデスタ [コトバンク]
中世の商業革命
[TBA]
包括的経済制度/包括的政治制度
第4章の「収奪的成長(と専横的成長)」を参照
古代アメリカ大陸の初期国家形成
第6章 ヨーロッパのハサミ
クローヴィス [世界史の窓]
クローヴィスの改宗 [世界史の窓]
サリカ法典 [コトバンク]
イギリスの議会 [世界史の窓]
チャーリズ・ティリー(1998)『イギリスにおける民衆闘争 1958年-1834年』 [Amazon]
キャロライン・ノートン [Wiki]
第7章 天命
第8章 壊れた赤の女王
カースト [コトバンク]
アンベードカル [世界史の窓] [Wiki] [Biography online]
日本の身分制
第9章 悪魔は細部に宿る
チャールズ・ティリー [英語wiki]
プロイセン [世界史の窓]
アレクサンドル・リトヴィネンコ [google]
アレクセイ・ナワリヌイ [google]
痩せ細ったナワリヌイ氏、公判でプーチン氏を「裸の王様」と非難 (2021.4.30) [BBC]
コスタリカ [外務省基礎データ]
第10章 ファーガソンはどうなってしまったのか?
第11章 張り子のリヴァイアサン
第12章 ワッハーブの子どもたち
第13章 制御不能な赤の女王
ナチス [コトバンク]
ポピュリズム [コトバンク]
第14章 回廊のなかへ
第15章 リヴァイアサンとともに生きる
ベヴァリッジ報告
ハイエク
スウェーデン社会民主労働党(SAP)
緑赤連合 [wiki]
リーマンショック
GAFAM
AIと不平等
対テロ戦争
エドワード・スノーデン
権利
ベヴァリッジ
世界人権宣言
metoo運動 [Wiki]
#MeToo運動とは?きっかけ、日本や韓国での動きについても解説![なるほどSDGs]
#MeToo運動に火をつけたニューヨーク・タイムズ記者が語る。ハリウッド実力者の性暴力、女性たちはなぜ実名で証言したのか [Business insider]
アセモグル&ロビンソンの関連研究業歴
著作
Acemoglu and Robinson (2006) "Economic Origins of Dictatorship and Democracy" [DOI] [GoogleBook] [日本語書評1] [日本語書評2]
ダロン・アセモグル & ジェイムズ・A・ロビンソン (2012)『国家はなぜ衰退するのか 権力・繁栄・貧困の起源』(原題:"Why Nations Fail: The Origins of Power, Prosperity, and Poverty" )[Amazon上] [Amazon下] [日本語書評1] [日本語書評2] [日本語書評3]
ジャレド・ダイアモンド & ジェイムズ・A・ロビンソン (2010) 『歴史は実験できるのか』(原題:"Natural Experiments of History") [出版社] [GoogleBook]
論文
Acemoglu and Robinson (2018) The Emergence of Weak, Despotic and Inclusive States [WP] (「狭い回廊」の数理モデルの論文)
講演資料
Acemoglu and Robinson (2018) The Narrow Corridor to Liberty: The Red Queen and the Struggle of State against Society [PDF]