局地的大雨予測検討会

*情報提供していただける方は 7月1日(金)17:00までに情報をお送りください

メソ気象セミナーに先行して7月9日の午前に同会場で,局地的大雨に関する予測検討会を行う予定です.この予測検討会を通して,参加者間での気象数値モデルにおける知識・技術の共有を目指します.こちらの企画は任意参加となっております.

本セミナーに参加される方に以下に提示する局地的大雨3事例に関して気象モデルを用いて予測していただきます.そしてそれぞれの数値モデルで得られた予測結果を比較することにより,何が予測に対して重要であったかを検討します.ここで得られた知見は,学術論文として投稿する予定にしております.

対象事例

(事例1) 2014/09/10 東京大雨: P1h_max=100 mm (17:30 JST)

(事例2) 2015/07/21 栃木大雨: P1h_max= 90 mm (16:30 JST)

(事例3) 2015/07/24 渋谷駅冠水: P1h_max= 80 mm (16:30 JSTと17:00 JST)

* P1h_max: 前1時間積算雨量の最大値(気象庁解析雨量)

予測規則

<自由実験>

・気象モデル(物理モデル)を使用

・計算開始時刻は12JSTもしくはそれ以前,計算終了時刻は21JSTとする

・領域は標準実験(後述)と同程度もしくはそれより広くする

・少なくとも評価領域(南西端:138.1E,34.3N,北東端:141.1E,37.3N)は含めて下さい

・上記以外の制約はありません.

・特別な観測データなどを用いたデータ同化(12JST以降の同化は不可),アンサンブル,超高解像度実験も歓迎します.

<標準実験>

論文にまとめることを想定していますので,以下の標準実験も行って下さい.

・気象モデル(物理モデル)を使用

・計算領域の投影図法:ランベルト正角円錐図法

・計算領域

・(水平)中央経線の経度139.6°,標準緯度φ1 = 30º, φ2= 60º, 南西端:137.9E,34.2N

・(鉛直)モデルトップ20km程度

・格子解像度:水平1 km (格子数300×360), 鉛直 50 層(最下層の鉛直格子間隔100m以下)

・計算時間:各事例の日付の12JST~21JST(積分時間:9時間)

・初期値・境界値:気象庁MSM(気象業務支援センターから配信されているもの),ただし・地表面と100hPaより上のデータは自由

・物理スキームは自由

・データ同化は不可

評価手法

各自の自由実験のうちベストの結果に対して,位置ずれ・時刻ずれを考慮可能なFractions Skill Score(FSS)と呼ばれる指標を用いて予測の再現性を評価します(評価指標の計算は実行委員が行います).詳細は以下のとおりです.

・真値は気象庁解析雨量(水平格子間隔 1 km)の前1時間積算降水量(P1h)とする

・評価領域は計算領域の端10km程度を除く (南西端:138.1E,34.3N,北東端:141.1E,37.3N)

・各事例についてP1hに対するFSSを1時間毎に計算(12JST~21JST)

・FSS計算におけるP1hの閾値は50 mm (厳しい場合は閾値を下げます)

・様々な位置ずれ・時刻ずれを考慮したFSSを計算する.

・最もスコアの良い方を予測成績優秀者とし,記念品を贈呈します.

・FSSの詳細については,Roberts and Lean (2008, MWR)やDuc et al. (2013, Tellus)を参照してください.

Roberts NM, Lean HW. 2008. Scale-selective verification of rainfall accumulations from high-resolution forecasts of convective events. Mon. Wea. Rev. 136: 78–97.

Duc L, Saito K, Seko H. 2013. Spatial-temporal fractions verification for high-resolution ensemble forecasts. Tellus A 65: 18171.


提出資料

標準実験とベストな自由実験に関して以下の情報・データ・図・結果のまとめをご提出下さい.

・提出先

・メソ気象セミナー事務局 meso.discuss [at] gmail.com

・お手数ですが,[at] を @ に変えて送ってください.

・情報

・使用した気象モデルとその物理過程設定

・計算領域,計算開始時刻,積分時間,格子解像度,初期値・境界値の種類,データ同化の有無と使用した観測データ(自由実験のみ)

・各実験の前5分間積算地上雨量データ(12JST~21JST,5分ごと)

・ファイル形式:grads 形式(sequential)のバイナリファイル

・コントロールファイルもご提出下さい

・ 以下の評価領域に対して以下の緯度・経度座標(解析雨量の座標)に内挿して下さい

・南西端:138.10625E,34.30417N

・格子間隔:Δλ=0.0125º, Δφ=0.0083333º

・格子数:(NX×NY) = (241×361) → ほぼ3º×3ºになります.

・水平格子間隔1 kmが1kmより小さい場合は1km四方で平均後に内挿して下さい.

5分間雨量を提出いただくのは,参考のため5分間雨量の時系列も評価するためです.

5分間雨量は実行委員が積算しP1hを作成した後,FSSによる評価を行います.

・結果の図(9時間積算雨量の図)

・実行委員が確認するため9時間積算雨量(12JST~21JST)の図をご提出下さい.

・リファレンスとなる解析雨量のP9h(12JST~21JST)の画像は以下です.

9時間積算雨量

提出するモデルによる積算雨量の2次元描画の領域と色調は,上記の画像に合わせてください.

(領域は評価領域と同じで,南西端:138.1N,34.3E,北東端:141.1N,37.3Eです. 地図投影法は問いません.)

・結果のまとめ(PPT等)

・ベストの結果だけでなく,試行したものの失敗した結果もすべて提出してください.

その他お知らせ

・可能であれば,検討会当日に実験の詳細や結果に関する様々な物理量についてご紹介ください(時系列の図など簡単なものでも結構です).

・企業などの方で設定などを明かしたくない方は調整いたしますのでお申し出ください.

参考資料

以下に参考資料のリンクを示します.

局地的大雨3事例の概要・LFMの結果・環境場 [ pptx: 8 MB ]

降水強度のアニメーション [gif: 39 MB]