研究内容

形の進化に興味があります.これまでは,交尾器の形を主要な研究対象としてきましたが,今後は興味の赴くまま研究対象を広げていきます.


交尾器の形は,一般に外部形態がよく似た近縁種間でさえ大きく異なることが知られています.さらに,単純に精子の受け渡しの機能だけとは思えない形状を持つものが多々あります(たとえば複雑すぎる形状,トゲトゲや極端に長い挿入器など).中でも,体長に匹敵するほど長~い交尾器は,学問的な魅力以前に多くの人を惹きつけるものがあります.私は,その虜になった1人です.この現象の進化史に興味があり,系統進化・発生・至近要因と究極要因の解明を目指しています.

これまで(これからも当面は),昆虫の交尾器を扱っていますが,興味は,「生物の形がどのように進化して,現在みられるような多様になったか」にあります.進化は単発の事象ですから,形の進化史は個々の分類群について調べ枚挙していく必要があります.ですが,進化は完全に無秩序に起っているのではなく,ある一定の規則性をもちます.私は,収斂進化した現象を対象に,遠縁の分類群について進化史を推定し,形の進化パターンを決定一般則を導き出そうと考えています.

現在進行中&これから発展予定の研究テーマ(一緒に研究してくれる人を探してます

  1. 昆虫交尾器のバイオメカニクスと進化学の融合

  2. オトシブミ類の形態進化

  3. ハムシの体形の進化的変遷

  4. 日本産ハムシの分布の変遷

  5. 交尾中ペアの固定とその視覚化に最適な方法の探索

  6. ジュズヒゲムシの形態・体系学

  7. 直翅類にみられる精包の多様性

  8. 現職への着任直前にクモの研究室にいて,クモの交尾器(Pedipalpi)の美しさにも魅了されており,クモでも機能形態学的研究を展開したいと思ってます.


手法

  1. 解剖

  2. 共焦点レーザー顕微鏡(自家蛍光,蛍光染色)

  3. µCT

  4. 走査型電子顕微鏡(常温,凍結)

  5. 組織切片(常温,凍結)

  6. 2-3のデータに基づく3次元モデルの構築

  7. 3Dプリンター

  8. ハイスピードカメラ

  9. 力計測