2025年12月に東京都立大学で集中講義を行いました。以下はその記録です。
講義タイトル:開放量子多体系の物理
日時:2025年12月10日3, 4限・12月12日2, 3, 4限・12月15日3, 4, 5限(5限はセミナー)
概要:
量子力学において、系と環境の相互作用はデコヒーレンスなどの散逸を引き起こすため、その理解は量子系の様々な応用にとって重要である。一方、近年の実験技術の進展により、相互作用する量子多体系に対する散逸の効果が系統的に調べられるようになってきた。本講義では、環境と相互作用する開放量子多体系の物理について、基礎から応用まで解説する。前半では、開放量子系の基礎方程式である量子マスター方程式を導出し、環境との相互作用が環境による量子測定の効果として理解できることを見る。後半では、磁性・超流動・強相関状態といった量子多体系の物理が散逸によって受ける影響を議論する。
内容:
1. 開放量子系とは
2. 量子マスター方程式
3. 量子マスター方程式の性質
4. 量子測定理論
5. 散逸による量子多体状態制御
6. 散逸と強相関状態
7. 非平衡場の理論
セミナー「開放量子多体系における超伝導・超流動」