日本−ノルウェーシンポジウム・人材募集

・ノルウェーは天候も爽やかに暖かく(時々暑く……13度から25度くらいまで)、色とりどりの花が咲いてきてなかなか美しくなってきています。また、ルスという、日本でいうと「荒れる成人式」に近いような(しかし一ヶ月も続く)、高校生が暴れる奇妙な伝統行事などもあります。先日は、朝の6時にルスたちが爆音で歌い踊っていました。


日本・ノルウェーの魚類生物学共同シンポジウムを開催しました。今まではヒトのゲノムデータをメインで扱っていたのですが、こちらに来てからサカナやブタ(できたら植物も)、など、いろいろな面白い生物へと研究対象を広げていこうとしています。そこで、今回は魚類の研究者のネットワークを広げようと、国際シンポジウムを計画しました。日本の基礎生物学研究所に15年前に短期留学していた同僚が、講演者の人選を助けてくれました。

 オンラインプラットフォーム(Zoom、Gather.town、Padlet)による研究集会でしたが、なかなかおもしろかったという声が届き、嬉しく思っています。学生や若手研究者も楽しそうに交流していました。今後も共同研究などが発展していくと良いと思います。

Gather.town でポスター発表と懇親会を開催しました。参加者はアバターを用いて、発表したり、ポスターを見たり発表を聞いたりするほか、ピアノを弾いたり、ゲームで遊んだりもできます。





・お声がけいただいて、東京大学新領域研究科のオムニバス講義と、一般向けのデジタル進化生物セミナーでお話をする機会を頂きました。久しぶりでした。東京大学の講義では学生さんが40人くらいいて、三時間一方通行で話すと退屈させてしまうのではなかろうかと、進化シミュレーション実習やグループワーク、クイズを入れて色々と工夫をしました。実は、ノルウェーの春学期の授業のアンケートで、「速くてついていけなかった」という声も届いたので、改良を加えたつもりです。


・6月はファカルティデベドップメント(新任教員の訓練プログラム)がたくさんあり、プロジェクトマネジメントの方法などを、グループワークを通して学びました。ありがたいのですが、他の仕事とタイミングが重なりなかなか大変でした。以前所属していたシカゴ大学による学生指導法プログラムも(時差のせいで夜10時からでしたが)なんとかオンラインで修了しました。オンラインミーティングはビデオオン必須で長時間、連日になるとなかなかつらいものがあります。

人材募集について


 学内の研究費がおりたので、博士課程の学生を募集しました。かなりいろいろなプラットフォームに広告を出しました。ありがたいことに、世界中の60人以上から応募が来て驚きました。


 しかし、困ったメール、印象の良くないメールもたくさん届きました。例えば……。


1.「履歴書を見て下さい」(他に何も書かれていないメール)


2.「私はマテリアル工学の修士号を持っています。あなたの研究室で研究したい」

3.「私はマテリアル工学の修士号を持っています。あなたの研究室でゲノム進化学を研究したい」

 分野を変えるのは必ずしもマイナスではありませんが、そこに論理的なつながりが必要ですし、全くゲノム進化学を学んだことがないが関心だけはある、という人よりは、ゲノム進化学の分野ですぐに使えるような知識や経験(例えばプログラミングや統計など)がある人を採りたいものです。


4.“Dear Sir...” (相手の名前を書いていないメール。しかも私はSirではないです)

 これは、ランダムにいろいろなところに送っているのだろうなという印象を受けます。


5.「早く前向きな返事をください」

 ちょっと失礼で押し付けがましいのではないでしょうか。明記された締切より前に結論は出しません。


6.「私は貧しい環境で苦学して……」

 採用に一番大切なのは能力です。


7.「私は中国語を話せます」

 私の研究に中国語は関係ありません(なお、この人は中国人ではなかったです)。履歴書の片隅に書く文には構いませんが、カバーレター(応募動機)に関係のない技能がハイライトされていると、研究の内容をよく読んでいないのではないかという印象を受けます。


 こちらが関心を持つメールは、「なぜ興味を持ったか、どんな技術を持っているかが簡潔に、論理的に書かれており、CV(履歴書)がついている」ものです。もちろん、その興味や技術が私の研究と強く関連している場合です。これに加えて、これからは、サンプルのプログラミングスクリプトを送ってもらうことにしました。

 また、応募者からの問い合わせかと思って聞いていると、「この求人サイトに載せませんか」という営業電話であるということもありました。次回からは電話番号は載せず、メールアドレスは少し探さないとわからないようなところに載せようと思います。


 とはいえ、上層部の応募者は、かなり熱心な良い人が集まってきてくれたと思います。面接に進んだトップ候補者に対しては、よりかれらの興味や技能を知るために、大学の慣習を破ってたくさん独自の課題を出してしまいました(プログラミング、これまでの研究の発表、研究プロジェクトのキーコンセプトについての説明など)が、皆真面目に取り組んでくれました。現在、選考を進めていますが、新たな学生と研究していくことを楽しみにしています。


(6.24.2021)