公共民俗学研究会・第8回ワークショップ「『実践』と関わる研究者のポジショナリティ」
投稿日: 2012/12/29 16:09:47
2012/09/03
公共民俗学研究会・第8回ワークショップ「『実践』と関わる研究者のポジショナリティ」のお知らせ(九州人類学研究会共催)
2012/09/20
公共民俗学研究会・第8回ワークショップ「『実践』と関わる研究者のポジショナリティ」のポスターを掲載いたしました。
公共民俗学研究会・第8回ワークショップ「『実践』と関わる研究者のポジショナリティ」の御案内
事前申し込みは不要ですので、ふるってご参加ください。
■研究集会名:「『実践』と関わる研究者のポジショナリティ」
■日時:2012年9月22日(土),13:00~17:00
■場所:九州大学箱崎文系キャンパス教育学棟1階会議室(143号室)
■趣旨
近 年、「公共○×学」が人文社会科学の流行りのようになりつつあります。それは昨今における学問や大学を取り巻く状況として、公共性が地域社会との関わりに おいて重視されていることの証左でしょう。とりわけ東日本大震災以降、地域社会との関わりが学会などで議論されることが多くなり、研究者の公共への実践関 与の事例報告も増えてきたと感じます。
しかしながら、そうした報告の多くにおいては、研究者がどのようなポジショナリティから地域社会と向き合い、実践的に関与しているかということが問題にされることは意外に少ないと感じます。
そこで今回は、九州・山口でそのような研究者の地域関与実践を自らのポジショナリティの問題と結び付けて活動する2名に発表をしていただき、「公共」および「実践」の意味をみなさんと一緒に考えていきたいと思います。
■発表者と要旨
・安渓 遊地 (山口県立大学国際文化学部教授)
「地域研究から商売・自然保護・選挙に深入り」
【要旨】
西 表島の古代的稲作と海上の道の研究をしていた30代前半まで、私はフツーの研究者だった。「本土なみ稲作」のかけ声のもと、水田での農薬散布が始まったの を見かねて、島に通って14年目の1988年、地元を巻き込む産直米「ヤマネコ印西表安心米」の企画・宣伝を担当した。慣れない商売の道は険しく、闇米扱 いしてくる役所や、持ち逃げ常習の詐欺師との駆け引きなど、ひとつ間違えば一千万円
単位の赤字を出しかねない真剣勝負の連続であっ た。「地域おこしに失敗したら研究者の責任は?」と日本民族学会で批判も受けた。山口県に住んで、瀬戸内海に計画された上関原子力発電所の予定地が生物多 様性の高い「奇跡の海」であることを、10年以上にわたって日本生態学会の仲間と研究し、学会要望書やシンポジウム、本の出版によって立証した。3.11 のあと、私は「よそ者のふり」をや
め、2012年の夏からは、山口県知事選挙での飯田哲也候補の応援を通して、エネルギー維新の実現を夢見ている。
・飯嶋秀治(九州大学大学院人間環境学研究院准教授)
「公共民俗学と水俣」
【要旨】
私 はこれまで、学部で地理学、修士で比較宗教学、博士で共生社会学を専攻してきたが、民俗学を専攻したことはない。それでも、国内外で調査を行ってきた結 果、国外ではインドネシアやオーストラリア、国内では栃木、茨城、福岡、宮崎、熊本などで主には宗教と生業関係の民俗調査を行ってきた。
さて、そうした先々の現地社会を、研究者は「フィールド」と呼称するが、そうした社会で時折、介入や関与を求められた際、私のことを地理学者として、比較 宗教学者として、ましてや共生社会学者として関与を求められたことはなく、せいぜい「学者」、多くは単に「人」としての関与が求められた、という程度で あった。
私が学問と実践について起点として考えるのは、この両者の認識の落差である。一方は、大学内の職業的役割で最初から、 ○○学者という専門家として寄与しようという姿勢で臨むのだが、現地社会からはそうした専門家としての関与は求められてこない。そこからの応答が学問に何 を問うてくるのか、ということを水俣の漁村に即して考えたいと思う。
■コメンテーター:
梶原 宏之(阿蘇たにびと博物館館長)
■コーディネーター:
菅豊 (東京大学東洋文化研究所教授)・永吉守(久留米高専等非常勤講師)
■主催/共催:
公共民俗学研究会/科研基盤研究(B)「市民社会に対応する『公共民俗学』創
成のための基礎研究」/九州人類学研究会
■問合せ先:
室井康成(muroi@ioc.u-tokyo.ac.jp)
永吉守(mnagayoshi@gmail.com)
※今回は九州人類学研究会との共催のため、会場は九州大学・箱崎文系キャンパス(福岡市)となります。