各自が興味のある研究課題について計量経済学の手法および統計ソフト(Rなど)を用いた実証分析を行います。目的に合わせて適切な分析を行い、経済学を現実の問題に適用できるようになることが目標です。基本的には自分で研究課題を設定する必要がありますが、どうしても思いつかない場合は教員が関心のあるなにかしらの(主に教育、格差、不正、地域などに関する)テーマを与えます。
研究課題は自由ですが、データを用いた実証分析を行うので、データが全く手に入らない分野は扱うことが難しいと思います(アンケートなどを実施して自らデータを作成することは可能です)。分析手法がしっかりしていればスポーツや娯楽等を研究対象としても構いません。もし完成度の高い研究が実行できそうであれば、懸賞論文への投稿や政策コンテストへの参加、他大学とのインゼミ等も検討します。前所属(大阪市立大学)のゼミ生の卒業論文のテーマを下に掲載しておくので適宜参考にしてください。
データ分析に関する実践的な能力の習得を目指すため、参加者は統計ソフトを扱う必要があります。計量経済学のテキストで一般的に扱われる回帰分析等に加えて、その前段階である「Webスクレイピングを用いたデータ取得」や「大規模データの前処理・整形」なども扱う予定です。華々しいデータ分析のイメージとは異なる泥臭い作業も多くなりますが、そのような実務的な勉強をしたい学生の参加を歓迎します。
2025年度から開講予定なので、現時点では多くの事柄が予定(未定)となっています。参加希望者はその旨を理解(覚悟)したうえでエントリーしてください。逆に、先輩がいない雰囲気が好きな学生には向いているかもしれません。
太字は学部の優秀卒業論文賞を受賞した論文です。
公立高校入試における内申書制度が中学生に与える影響
全校行事が大学合格実績に与える影響:夏の甲子園を用いた分析
主観的評価のバイアスに関する実証分析:ゴールデン・グラブ賞のデータを用いた分析
都道府県知事の経歴が自治体DX推進率に及ぼす影響
外的要因が大学の単位取得率に与える影響
加齢に伴う生産性と報酬の関係の変化について:プロ野球選手データを用いた分析
都道府県知事選挙における投票率の増減要因
科学技術は差別を軽減するか:サッカーのVAR 判定を用いた分析
高速道路の新規整備が地方経済に与える影響
子育て支援政策が周辺自治体に与える影響:兵庫県の事例を用いたパネルデータ分析
就職活動における人気企業ランキングの決定要因
土砂災害と不適切盛土の公表がリスク認知に与える影響:熱海市伊豆山土石流災害の事例を用いた分析
名プレイヤーは名マネージャーになれないのか?プロ野球のデータを用いた分析
警察の検挙目標が取り締まり行為に与える影響
福島原子力発電所事故による島根原子力発電所周辺の人口への影響
多様性への配慮が人々に与える影響:映画レビューによる分析
主観的評価のバイアスに関する研究
無意識の思い込みが支援行動に与える影響
プロ野球における複数年契約と成績の関係
当日の環境が試験結果に与える影響
競馬場が治安に与える影響
社会関係資本の豊かさの違いによるごみ袋有料化制度の減量効果
参加条件はありませんが、「データ分析」や「経済学の社会実装」に関する実践的なスキルの習得に意欲的な学生を受け入れます。
受動的な「学習」ではなく主体的に「研究」をやってみたい学生、特に(他大学も含めて)大学院進学を考えている学生を大歓迎します。
主要な関心は教育経済学ですが、不動産、花粉症、都市緑地、航空騒音、感染症予防などに関する実証研究も並行して行っています。
一般的な政府統計よりも、衛星画像や購買記録、位置情報、不動産取引、気象・環境などに関する非伝統的なマイクロデータを使用した研究が多いです。
興味・関心の幅が広いので、面白そうと思ったら専門外の分野でもとりあえずデータを集め始める癖があります。
具体的な研究についてはResearchページおよびResearchmapをご覧ください。
中島 賢太郎・手島 健介・山﨑 潤一『歩いて学ぶ都市経済学』日本評論社, 2025年
スティーヴン D. レヴィット・スティーヴン J. ダブナー『ヤバい経済学(増補改訂版)』東洋経済新報社, 2007年
伊藤 公一朗『データ分析の力 因果関係に迫る思考法』光文社新書, 2017年
蓼沼 宏一『幸せのための経済学 効率と衡平の考え方』岩波ジュニア新書, 2011年
佐野 晋平『教育投資の経済学』日経文庫, 2024年
北村 周平『民主主義の経済学 社会変革のための思考法』日経BP, 2022年
田中 隆一『計量経済学の第一歩 ─ 実証分析のススメ』有斐閣, 2015年
星野 匡郎・田中 久稔・北川 梨津『Rによる実証分析 (第2版): 回帰分析から因果分析へ』オーム社, 2023年
デイヴィッド シュピーゲルハルター『統計学の極意』草思社, 2024年
永田 和宏『知の体力』新潮社, 2018年
酒井 聡樹『これからレポート・卒論を書く若者のために』共立出版, 2015年