基礎法学総合シンポジウムについて


この度、基礎法学系学会連合は、日本学術会議の法学委員会と共催し、2020年10月31日(土)午後1時から午後6時,Zoomによるオンライン開催により、「人・移動・帰属―変容するアイデンティティ―」をテーマとした第12回基礎法学総合シンポジウムを開催いたします。

基礎法学系学会連合は、基礎法学関連諸学会(日本法社会学会、日本法哲学会、法制史学会、比較法学会、比較家族史学会、民主主義科学者協会法律部会)から構成される連合体であり、日本学術会議の新体制の発足されたことを受け、今後の基礎法学を含めて法律学全体の発展のために、2005年に設立された連合体です。

基礎法学系学会連合の主たる活動が基礎法学総合シンポジウムの開催であり、基礎法学のみならず実定法、実務の様々な領域から多角的な議論がおこなわれることを目的として、2007年以降、第10回目までは毎年、その後は隔年、乃木坂にある日本学術会議講堂にて、日本学術会議法学委員会との共催で、公開シンポジウムとして開催され、その成果の一部は、法律時報などの法律系雑誌で公開されております。

さて、基礎法総合シンポジウムでは、6学会うち1つの学会が企画責任学会となり、今まで、「私と公」、「市民社会」、「動物と法」、「権利」、「所有」などの、現代的なイッシューから古典的で原理的なものまで多種多様なテーマにつき、異なる基礎法学分野や実定法学の報告者やコメンテーターをお招きし、11回のシンポジウムを開催して参りました。

第12回基礎法学総合シンポジウムは、2020年4月25日土曜日、日本学術会議行動にて開催予定でしたが、新型コロナウィルス蔓延による影響を受け、延期となっていました。「人・移動・帰属―変容するアイデンティティ―」という今回のシンポジウムテーマは、時宜に適ったものであり、2020年度内の開催を実現するために、Zoomによるオンライン開催として2020年10月31日土曜日に開催する運びとなりました。

「人」は古典的には権利義務の結節点であり、「国民」としてのアイデンティティを付与され、国家の管理に服する存在でした。しかし、人の国際移動の活発化によってこの前提は崩れ始めています。国際的に移動する「人」は、人の移動を制御しようとする国民国家の移民法制を逆手に取りつつ、複数の国家にまたがる越境的な関係の中で自らの権利や自由を確保しようとしています。

こうした現代的な現象を前に、本シンポでは、「人の移動」という視点から、法学の基礎的概念である「人」、そして国家や市民社会の役割を再検討します。

本シンポジウムを広く周知して、できるだけ多くの関心ある皆様の参加いただければと考えております(ポスターのPDFデータも準備しました)。ご参加の程、どうぞよろしくお願いいたします。

以上


2020年7月

日本学術会議法学委員会委員長 松本 恒雄

第12回基礎法学系総合シンポジウム開催責任者 大西 楠・テア(比較法学会)