環境DNA

環境DNA分析の強みは、全ての生物が遺伝情報の記録媒体として持つDNAを標的とすることにより、塩基配列という共通尺度により分類群の階層を超えたあらゆる生物種とそれらの種内変異情報までを捉えられることです。当研究室ではとくに種内変異に着目し、環境DNAによる遺伝的多様性評価手法や個体群遺伝構造解析手法の開発を進めています。さらに開発手法を生物多様性保全へと活用する方策を模索しています。

2015年、世界に先駆け、環境DNAを用いて種内変異を捉えることに成功しました。

同種外来遺伝子型の侵入を迅速に把握するため、遺伝変異の最小単位である一塩基多型に基づ在来遺伝子型と外来遺伝子型の判別により、両者の存在比を定量する環境DNA手法を確立しました。さらに本手法野外適用し域における外来遺伝子型の侵入レベルを迅速に推定することに成功しました。「隠れた侵入」のスクリーニング法としての環境DNA分析の有用性が実証されました。詳しい説明はこちら

西日本におけるコイの在来遺伝子型と外来遺伝子型の割合(Fig. 3 in Uchii et al. 2016 Mol Ecol Res 16: 415-422)