ハエトリソウに昆虫の粉末を与えた場合、捕虫葉が閉じてから12-24時間後には捕虫葉のカリウム濃度はそれ以前の2倍程度まで上昇する(Scherzer et al., 2015)。ルビジウムも同じように吸収されるので、選択性の低いカチオントランスポーターが働いていることがわかる。また、消化吸収作用を誘導するコロナチン(ジャスモン酸)での処理前後でカリウム吸収活性が大きく変化するため(無処理ではほぼ無吸収)、この吸収作用は常にオンになっているわけではなく、おそらく獲物の存在に応じて活性化される。カリウム吸収はpH 4では活発だが、pH 8に調整すると止まるため、プロトン勾配が必要らしい。
ハエトリソウのESTコレクションから、シロイヌナズナのAtHAK5とAKT1にそれぞれオルソロガスな遺伝子DmKT1とDmHAK5が見つかり、カエルの卵母細胞を使ってこれらのトランスポーターの生化学的特性が解析された(Scherzer et al., 2015)。DmHAK5はプロトン駆動型の高親和性カリウムトランスポーターである。プトロンとカリウムの新ポーターとも言える。選択性は弱く、カリウムとルビジウムを同等程度輸送する(K+ = Rb+ ≥ NH4+ ≥ Cs+)。また、KmHAK5は獲物の存在に応じてCBL-CKPKキナーゼ複合体によって活性化される。低親和性カリウムチャネルDmKT1も、このキナーゼ複合体によって活性化される。つまり、このCBL-CKPKキナーゼ複合体が高親和性と低親和性両方のカリウム吸収経路を制御していることになる。
ちなみに、シロイヌナズナのAtHAK5とAKT1は根ではたらいているらしい。
Scherzer, S., Böhm, J., Krol, E., Shabala, L., Kreuzer, I., Larisch, C., Bemm, F., Al-Rasheid, K.A.S., Shabala, S., Rennenberg, H., Neher, E., and Hedrich, R. (2015). Calcium sensor kinase activates potassium uptake systems in gland cells of Venus flytraps. Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 112: 7309–14.