食虫植物のメインの獲物である昆虫にはグルカンは含まれていない。しかしながら、菌類の細胞壁や植物片(特に花粉)はグルカンを含み、食虫植物がそれらを消化吸収している可能性が指摘されている(Michalko et al., 2013)。
モウセンゴケDrosera rotundifoliaにLaminaria digitata (コンブの一種)由来グルカンであるlaminarinを与えると、触毛の屈曲を引き起こすことができる(下図:Michalko et al., 2013)。論文中には型番までは示されていないが、Sigma社の精製品を使っている(おそらくこれ:外部リンク)。この製品にはβ-1,3結合した直鎖状グルカンに少量のβ-1,6結合による架橋が含まれるらしいが、どの程度の精製度か不明なので、屈曲運動の原因が不純物によるものではないとする証拠はまだない。ちなみに、Santa Cruz Biotechnology社の同等品(外部リンク)は、純度>96%らしい。また、モウセンゴケの消化液中にはacidic endo-β-1,3-glucanase活性を有する~50 kDaのタンパク質が含まれている。このタンパク質は無処理の消化液中にも含まれるが、laminarinでさらに誘導される。gelatinでも多少は誘導されるが、laminarinに比べれば小さな反応である。また、laminarinはプロテアーゼ活性をほとんど誘導しない。消化液に添加したlaminarinは次第に分解され、オリゴ糖や単糖を生じる。laminarin濃度は添加からの経過時間に従って直線的に減少していくが、単糖濃度は途中で頭打ちし、減少へ転じるので、著者らはモウセンゴケによる単糖の吸収を予測している。
Michalko et al. (2013)から引用
Michalko, J., Socha, P., Mészáros, P., Blehová, A., Libantová, J., Moravčíková, J., and Matušíková, I. (2013). Glucan-rich diet is digested and taken up by the carnivorous sundew (Drosera rotundifolia L.): implication for a novel role of plant β-1,3-glucanases. Planta 238: 715–25.