ハエトリソウの消化液を採取し、カゼインを分解させるとアミノ酸の遊離が検出できるが、グルタミンの検出量が予測値よりも少ないため、消化液中にglutamine deaminaseの存在が予測された(Scherzer et al., 2013)。グルタミンに類似したアミノ酸であるアスパラギンは同条件下でほとんど分解されていない。消化液を熱処理するとglutamine deaminase活性は消失することから、タンパク質による分解である可能性が高い。右の図はScherzer et al. (2013)から引用した。
Scherzer, S., Krol, E., Kreuzer, I., Kruse, J., Karl, F., von Ruden, M., Escalante-Perez, M., Muller, T., Rennenberg, H., Al-Rasheid, K.A., Neher, E., and Hedrich, R. (2013). The Dionaea muscipula ammonium channel DmAMT1 provides NH4+ uptake associated with Venus flytrap’s prey digestion. Curr Biol 23: 1649–1657.
アンモニウム吸収
ハエトリソウは消化液の分泌に伴って、吸収腺のアンモニウム吸収活性を高める。下の図のCでは、赤線が消化液を分泌している状態、黒線が分泌していない状態でのアンモニウム吸収活性である(Scherzer et al., 2013)。ハエトリソウの場合、アンモニウムの吸収にはpHは重要ではない。
被子植物はAMT1とAMT2という2つのトランスポーター遺伝子族を持つ。ハエトリソウの消化腺に局在し、消化液の分泌に伴って発現上昇するアンモニウムトランスポーターとして、DmAMT1が単離された(Scherzer et al., 2013)。細胞膜が脱分極した状態ではトランスポーター活性はないが、過分極(-200mV程度)によってアンモニウムイオンの選択的なトランスポーターとしてはたらく。
ヒョウタンウツボカズラNepenthes alataからも、消化吸収腺のhead cellに特異的に発現するアンモニウムトランスポーターNaAMT1が報告されている(Schulze et al., 1999)。こちらは遺伝子発現が確認されたのみで、タンパク質の生化学的特性は解析されていない。
Scherzer et al. (2013)から引用
Schulze, W., Frommer, W. B., & Ward, J. M. (1999). Transporters for ammonium, amino acids and peptides are expressed in pitchers of the carnivorous plant Nepenthes. Plant J, 17(6), 637–646.
Scherzer, S., Krol, E., Kreuzer, I., Kruse, J., Karl, F., von Ruden, M., Escalante-Perez, M., Muller, T., Rennenberg, H., Al-Rasheid, K.A., Neher, E., and Hedrich, R. (2013). The Dionaea muscipula ammonium channel DmAMT1 provides NH4+ uptake associated with Venus flytrap’s prey digestion. Curr Biol 23: 1649–1657.