動物の消化液のように、食虫植物の分泌液にも消化酵素が含まれている。消化酵素の研究は1870年頃から進められ、これまでにアスパラギン酸プロテアーゼやリボヌクレアーゼなどの加水分解酵素が単離されている。このうち、いくつかの消化酵素は病害抵抗性タンパク質のホモログであり、祖先植物で生体防御に用いられていた遺伝子が獲物の消化に流用された可能性が高い。
獲物の捕獲に反応して、食虫植物が消化液の組成を能動的に変化させることも知られている。ウツボカズラ属の袋型捕虫葉は、獲物が捕獲されると消化液のpHを3程度まで下げることから、酸性環境が消化を促進する可能性が指摘されている。消化液の酸性化に関与する遺伝子の候補として、分泌腺で高発現する細胞膜プロトンポンプが単離されているが、実際の機能は未知である。
消化液によって分解された獲物は、吸収腺から取り込まれる。吸収腺ではアンモニウムトランスポーターなどの輸送体がはたらいており、低分子化した養分を細胞内に輸送している。吸収腺はエンドサイトーシスを起こすことが可能であるため、消化されていない高分子化合物であっても細胞内に取り込むことができる。吸収された養分は捕虫葉から運び出され、植物体の成長や種子生産を助ける。
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phodiesterase
Juniper, B.E., Robins, R.J., and Joel, D.M. (1989). The Carnivorous Plants (Academic Press: London).
福島健児, 長谷部光泰. 2014. 食虫植物はどのような遺伝的変化によって進化したのか?. 細胞工学 33(1): 96-100 より一部引用