研究領域

 認知神経科学、感情心理学、心理生理学、精神神経免疫学

研究の関心

人を含む生物がどのように不確実な(次に何が起こるか分からない)環境に適応しているのか、人間と環境のインタラクションの観点から研究しています。

特に、人が環境とインタラクションする際に生じる感情に興味があります。

なぜ、私たちは気分によって振る舞いが異なるのでしょうか。気分のいい時と悪い時で、私たちの行動が全く違うことは自身の振る舞いを振り返っても感じるところがあるのではないでしょうか。
このような感情と行動の関連性について、脳と身体の相互作用の観点から研究を行っています。

このような研究を行うことで、環境と人間のインタラクションの理解、その機序の解明とモデル化を通して、心身の機能を向上するための支援・介入技術の研究開発を進めています。

主要な研究テーマは以下のとおりです。

1.感情の推定と評価

怒ったときや悲しいときに心臓がドキドキしたり涙がでたりなど、感情の生起時には私たちの行動、生理状態に変化が生じます。
感情、行動、生理状態の関連性を明らかにすることで、感情の推定や評価を行うための研究を進めています。

2.感情が意思決定に及ぼす影響の研究

感情は私たちの選択行動に影響を及ぼすことが分かっています。
では、どのような感情状態のときに、どのような選択をしやすいのでしょうか。
感情がリスク、時間割引率などの意思決定パラメータに及ぼす影響を研究しています。

3.脳-身体の相互作用による認知機能、意思決定のゆらぎについての研究

私たちは、いつでも同じように外界を認識するわけではなく、外界の事象の感じ方は脳や身体の状態により影響を受けるといわれています。
このような事柄について、身体状態のゆらぎという観点から研究を行っています。

血圧、血液内のホルモンなどは、さまざまな経路で脳へと到達して認知機能や意思決定に影響を及ぼすことが分かっています。
このような身体が脳に及ぼす影響は内受容感覚(Interoception)とも呼ばれ、さまざまな分野で研究が進められています。

現在は、心臓の周期的活動、体内のホルモン濃度が意思決定に及ぼす影響について研究を行っています。

4.感情やモチベーションを中心とした行動変容に関する研究

感情が行動や意思決定に影響を及ぼすという観点から、個人がどのような感情状態のときにどのような行動を取りやすいかを把握できれば、
どのような感情状態のときにどのような外部刺激(運動を推奨するメッセージなど)を与えれば行動を望ましいように変化することができるか
を把握できる可能性があります。
現在、主にヘルスケアの文脈において、望ましい行動への変容プロセスにおける感情やモチベーションの役割と具体的な介入方法についての
研究を進めています。

※上記の研究について興味のある方は、気軽にご連絡下さい。